4 時間稼ぎ
密偵「カエサル、敵からの文です」
カエ「ありがとやで」
なになに、ふむふむ
まあ要約するとこんな感じやな
『ローマに迷惑は決してかけないので、我々の移動を認めて欲しい』とのことや
答えはNoや。理由は三つ
一つは、規律の保たれていない集団なんて問題を起こすに決まっとる
二つは、仮にローマで問題を起こさなくとも他で問題を起こすのはあきらかや
そうなってみい、難民やらなんやらが出てきてローマに押し寄せるに決まっとる
そんな面倒くさいことゴメンや!
三つは、「密偵、お前の出番やで」
密偵「はい、説明します」
密偵「私たちの父親の代にローマは今回の敵ヘルティー族と戦っています」
密偵「ですが、父たちは負けました」
密偵「でも、それには理由があります」
カエ「全部まで言わんくてええ」
カエ「要はワイらローマ人と敵には因縁があるっちゅうことや」
密偵「えぇ…ちゃんと調べたのに……」
カエ「落ち込むなや、お前にはもっと大事な仕事がある」
カキカキカキ
カエ「ほれ、これを相手に持っていってくれや」
密偵「えっとなになに」
『お前たちの言い分は分かったで
でも、そんなすぐには答えれんわ
だから、半月後にまた返事する 堪忍してや』
密偵「カエサルこれって……」
カエ「もちろん時間稼ぎの常套句やで」
密偵「そんなの分かってます!」
密偵「もっとぼやかしてちゃんと書いて下さいよ」
密偵「こんなの持っていったらその場で殺されますよ!」
カエ「こんなのってお前……!」
カエ「いや、確かにお前の言うとおりや」
カエ「ちゃんと書くわ」
密偵「お願いしますよホントに…」
参考、引用文献
ローマ人の物語 塩野七海
ガリア戦記 著ユリウス・カエサル 訳國原吉之助