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ふぅ、やっと都市ゲネーブに着いたで
さすがにずっと馬に乗ってたら疲れたわ
一休みせなな
Zzz…
ラビ「起きろ!カエサル!!」
カエ「うーん、おはようやで……」
ラビ「しゃっきっとしろ一大事だ!」
カエ「ん?何があったんや?」
ラビ「説明は頼む」
密偵「はい」
カエ「おう密偵やん、おかえりやで」
密偵「はい、ただいまです」
カエ「今回はちゃんと調べてきたか?」
密偵「はい、敵の総勢が判明しました」
カエ「やるやんけ」
カエ「まあ、しょせん蛮族の一部族やせいぜい数千、多くて数万ぐらいやろ」
密偵「三十万です」
カエ「は?」
密偵「正確に言いますと、戦闘員十万、非戦闘員二十万です」
カエ「なんやねんそれ民族の大移動やんけ…」
密偵「どうやらそのようです。詳しい理由ははっきりとしません」
カエ「ほーん、てか待てや!」
カエ「ワイの預かっとる軍団の数って確か…」
ラビ「第Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹ軍団の四個軍団、計二万四千人」
ラビ「その内すぐに出撃可能なのは第Ⅹ軍団の六千だけだ」
おいおいおい聞いてへんぞ
総数で十倍、戦闘員だけでも四倍の敵の相手をしろやと
んなもんまともに戦ったら負けるに決まっとるやろ
やばいヤバいなんか手を打たんと…
まあ、とりあえず出来る事は増員やな
兵の質は大事やが、人手がないことにはどうにもならんわ
カエ「二個軍団を新設するで」
密偵「そんな急に増員なんてできるんですか?」
ラビ「無理だ、まず金がない」
カエ「そんなもんワイが払ったるさかい問題やない」
密偵「へえ、カエサル太っ腹ですね」
カエ「誰がデブや!いや…言葉の綾やな」
ラビ「フン、どうせクラッススに借りるんだろ」
密偵「えぇ…借金なんですか…」
カエ「別にええやろ金は金や」
ラビ「国家予算の一割近い額の借金をしていてよく言うよ」
密偵「ええ!そんなに!」
密偵「で、でもよくそんなに借りれましたね」
ラビ「まあ貸し手のクラッススも国家予算の半分の資産をもつ化け物だからな」
ラビ「類は類を呼ぶんだろうさ」
カエ「誰が化け物や、それにあんな守銭奴とワイを一緒にすんなや!」
密偵「まあ、一応お金の面は解決ですね、他に問題は…」
ラビ「元老院だな、軍団の新設には彼らの承認が必要だ」
カエ「そんなもん無視すればええだけやろ」
密偵「ダ、ダメですよそんなの…国家の決まりを破るなんて」
カエ「お前なローマと元老院は別個のもんやで」
密偵「?」
カエ「分からんなら別にええ」
カエ「元老院がタダの助言機関やってことは皆もう忘れとるしな……」
カエ「しゃーないわ」
密偵「はあ……でも、必要な手続きを無視するのは……」
カエ「まだ、こだわるか……」
カエ「だったら、元老院どもの体たらくを思い出してみいや…」
カエ「どうや?」
密偵「……クソですね」
ラビ「ゴミだな」
カエ「そこまで言われると一応元老院議員のワイも耳が痛いんやが」
カエ「まあ、そんな奴らに義理立てしてワイらが死んだら元も子もないやろ」
密偵「それもそうですね」
カエ「納得して貰えてよかったで」
カエ「という訳でラビリヌスは軍の編成と新設を任せるで」
ラビ「分かった引き受けよう」
カエ「密偵は引き続き情報の収集や」
密偵「了解です」
カエ「任せたで」
カエ「そんじゃワイは第Ⅹ軍団を連れて先に行っとるわ」
密偵「え?」
カエ「ん、何や?ワイに他にできることないやろ?」
密偵「いや、え?」
密偵「総大将が寡兵で戦場に真っ先に向かうって……え?」
ラビ「こういう奴なんだよ。当たり前に当たり前じゃないことをする」
ラビ「お前も付き合っていくうちに慣れていくさ」
密偵「わ、分かりました」
なんや?ワイは当然のことをしとるだけやろ?
それなのになんで不思議がられるんや?
ホンマに不思議やわ
参考、引用文献
ローマ人の物語 塩野七海
ガリア戦記 著ユリウス・カエサル 訳國原吉之助