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後に伝説となる英雄たち  作者: 航柊
第2章 学院生活編
39/123

第三十八幕 精霊後始末part3

更新遅れました。




オラシオンを主たるリオナにむける。


リオナの姿に心が、そして傷がズキリと痛む。

決して消えることの無い傷にして私の呪い。

リオナは乗り越えた。乗り越え、さらにその先へと歩を進めた。


だが私はどうだ。今のリオナを見て私は諦めを感じてしまっている。


そして私は魔力を練ろうとして失敗する。


あの日から魔法を封じてたのはリオナだけでは無い。私もまた、あの日から血統魔法(リネージュマジック) 煌炎(プロメテシア)を使えていない。

リオナに残る傷が、あの時、リオナの全身を包んでいた火傷の痕が、魔法を使おうとする度に鮮明に蘇る。

私だって何度か乗り越えようとはしたさ。

けどどれだけ月日が経とうとも自らの手で主を、親友(とも)を焼いたという事実が私の心を焼くのだ。

だが私はそれでもいいと思っていた。

元より煌炎は私の手に余る魔法だった。それにこの傷のおかげで私は魔法の制御を失うことは二度と無いと誓えるからだ。

私は私なりに自らの傷と向き合ってきたつもりだった。

だがリオナはそれを良しとしないと言う。



魔力をただ散らす私にリオナは憐憫を込めた視線をぶつけてくる。


その冷たい瞳が私を射抜く。


その顔を幾度と見ただろうか。

あれはリオナが期待を裏切られた時に見せる表情だ。


私はリオナが思っているより強くは無いのだと、言えたらどれだけ楽だろうか。

本音を言えば【煌炎】を操りたい。私が使えると知った時の両親の嬉しそうな顔を覚えているからだ。だが使えない。この魔法が主を傷つけたと知った両親の顔が忘れられないから。

私の心は私が思っている以上に弱いのだ。



リオナが剣を振るうのと同時に氷の蝶が舞い襲う。

私はリオナの剣を受け止めながらなんとか蝶を中等魔法の【フレイム】で撃退する。だが当然ながら火力が足りない。

焼き尽くせずにカレンの腕が凍りつき激痛が走る。

この痛みを私は知っている。

そしてこの氷が普通の炎では相殺出来ないことも。




「のうカレン。お前は何時から妾の後ろを歩くようになったのじゃ...。いや、これも妾が招いた結果なのであろうな。」


リオナはただ一言そう呟く。



リオナ・ノア・エルフィニアは後悔とは程遠い人物だ。


だがそんな彼女が後悔していること。

それは従者であり親友とも言える存在。

カレン・アストリウスのことである。




妾から見るカレン・アストリウスという人物は天才なのだ。

家事、政治、社交性、剣術、魔法。

その他ありとあらゆる面において優秀である。

剣と魔法こそ妾が勝っているものの他の面では比べるまでもない。

それがまだカレンが従者になる前に抱いていた感想だった。まあ今も余りの変わらないのだが。

カレンが妾を観察していたように妾もまた王宮で働き始めたカレンを観察していたのだ。

だからこそ、カレンが妾に忠誠を捧げた時とても嬉しかったのだ。カレンならば妾の足りない部分を補ってくれる、そしてお互いに高めあえる相手であると、そう思っていたから。


かつてのカレンは溢れる自信に満ちていた。

それはまるで燃え盛る業火の如く。

共に剣を磨き、魔法を学び、共に切磋琢磨する良き友であったと言える。

妾の右腕として、妾に並ぶ偉大な魔導士になると妾もカレンも思っていたのだ。


だがそんなカレンから妾は奪ってしまったのだ。その自信を。


あれからカレンは一歩身を引くようになってしまった。猛々しい炎はいつしか理性を宿すようになり、そうしてカレンは天才から優秀になった。

傍から見ればそれは良い変化に見えたかもしれない。だが妾には耐えられなかった。

カレンが妾を天才だと一括りにする一般人と同じになっていく気がして。

そうさせたのは妾だと言うのに。




リオナの魔法から冷気と共に意思が流れ込んでくる。同等の魔導士は魔法をぶつけ合うだけでお互いの意を知ることが出来るという。

だが私とリオナのこれは会話などではない。あいつの意思が勝手に流れ込んできてるだけだ。私の思いなど伝わりはしないだろう。だから口を開く。伝えなくてはならない、例え真意でなくとも主の激情に負けているなどと微塵思っていない私の意志を。



「なあリオナ。私は一人の魔導士である前にお前の従者でありたい。お前を支えられればそれでいいと思っている。

私の炎はお前を支え、守るものであってお前を傷つけていいものでは断じて無い!お前の後ろを歩くのが何故悪い!何故分かってくれないのだ...。」


私は真っ直ぐにリオナの目を見てそう告げる。



その言葉を受け冷気が爆発する。

リオナの感情に呼応して支配下たる空間に吹雪が吹き荒れる。


「構わぬ!!!いくらでも傷つけるが()いわ!あの時も聞いたはずじゃ!共にあろうと言ったのは貴様だと。妾の望む共にあるはこんな形では断じてない!妾の隣に立つ魔導士は貴様でなくてはならないのだカレン!貴様こそ何故分からぬのじゃ...。」


全てを凍てつかせる激情をその身に受けカレンは己の血が湧き立つのを感じる。

だがそれをカレンは鋼の理性で抑える。

だが溢れ出る思いは炎となり剣を赤く染め上げる。


「このわからず屋が!私だって...本当は...!!!」


その激情は氷礫(つぶて)となり剣を覆う。


「本当はなんじゃ!口にしてみろ!!!」


炎と氷、相反する属性を纏う剣がぶつかり合う。

一度(ひとたび)二度(ふたたび)三度(みたび)


そこに正誤は存在しない。どちらも正しく、どちらも間違いであるかもしれない。



カレンはその剣戟の最中にてかつてリオナによって凍らされたはずの己の血が自らの炎によって溶けていくのを感じていた。


凍てついているはずなのに身体は熱を帯びていく。


「熱いな。」


自然と口から漏れていたその言葉にカレンは笑ってしまう。自分の思考とは別に身体はこの剣戟を求めているのだ。


だが血統魔法を使わないカレンと氷魔法の極致に踏み入れたリオナとではどちらが優勢なのか言うまでもない。




徐々に私の身体が凍りついていく。

一思いに凍らせないリオナに徐々に苛立ちが募る。私は私が思う以上に沸点が低いらしい。身体に走る熱い衝動のままに魔力を集中させる。


だがいっときの感情で塞がる程、私の傷は浅くは無いのだ。でなければあの日から3年ただ涙を流すはずはないのだから。


次の瞬間霧散する魔力をみて私は嘲笑を浮かべる。

なにが天才だ。


ふっと身体から力が抜ける。足が止まり、立ち尽くす。身体を流れるアストリウスの血だけはまだ熱を持っているがそれ以外は一瞬にして冷えきってしまった。


「私はお前のようにはなれないよ。」


その言葉を聞いたリオナも動きを止める。


だかそれも一瞬。黙ったままその目に涙に見えるものを溜めながら剣を振り上げる。


私は目を閉じた。




だか来るはずの衝撃は来なかった。

リオナが振り下ろした剣は受け止められていた。

リオナの兄たるデュナミスの手で。


「兄上!!!」


リオナは激怒する。これは主と従者の問題であると言わんばかりに。


「少し黙れリオナ。お前は口下手が過ぎる。」




そしてデュナミスは振り返り、カレンを一目見てそして奥にいる己の従者を見据える。



「なあルーカス。従者ってのはなんだ?」


何事も無かったかのように飄々と問いかける。

デュナミスの従者たるルーカスはその問いに淡々と答える。


「主を敬い、その命をかけて仕える者。」


「模範解答なんざ要らねえよ。お前はどう俺に仕えてるか、この馬鹿に少し教えてやれ。」


「なるほど。先程の解答は従者たるもの常々心に留めておかねばなりません。

ここからはベルティエス家に名を連ねる私の独り言です。」


カレンは思わず目を見開く。ベルティエスの家名はカレンにとって大きな意味を持つからだ。


「貴方が秘匿されていたベルティエス家の後継者でしたか...。」


ルーカス。その本名は

ルーカス・E・ベルティエス

アストリウス家が王家の懐刀であるならベルティエス家は王家の盾と呼ばれる名家である。

そしてルーカスはカレンを真っ直ぐに見据えて口を開く。



「真なる従者とは、主の後をただ歩く者にあらずその横に共に並び立ち、その力を主に捧げる者であると。

主が正義へと進むならばその知恵と力を持って主を支えねばならない。

主が悪へと進むのならばその知恵と力を持って主を止めねばならない。

なればこそ、力無き従者など不要。

主を支えたい、その身を捧げたいと言うのならば吠えてみせよ。その身に流れる血は何と叫ぶ!カレン・アストリウス!」


その優しくも厳しく、そして怒りの籠った声はカレンの心の奥底まで響き渡る。


そして溢れる想いは言葉となってカレンの口から告げられる。


「私は...!負けたくない!こんな、私が居なければ何も出来ない馬鹿に負けたくなんか無い!けどこいつは凄い。初めて見た時から私は勝てないって分かっていたさ。せめてこいつの隣に立ちたいと!何度思ったか分からない。だけど私は弱い.....。たった一度の失敗で心が折れてしまうほど。弱いんだよ...私は。」


カレンの独白。誰一人として聞いたことの無い少女の本音。


「良く吠えた。良く零した。お前のような者に出会えて妹は果報者だな。」


デュナミスはそっとカレンの頭を撫でる。


「そんなお前の背中を俺が押してやろう。さあ行け、愛すべき馬鹿な我が妹に目にものを見せてやれ。」


カレンの心に巣食う恐怖が暖かい光にかき消されていく。

デュナミスは【護心(ライオットハート)】をカレンにも掛けたのだ。



万能感が私を包む。暖かい...。

これがさっきあいつも受けた【護心】か。

これは凄いな。デュナミス様は何と素晴らしいお方だろうか。ルーカス殿も。

おっと、凄い顔でリオナがこっちを見ている。仕方がないな、こいつは。

恐怖はあるのに足が竦まない。血が滾る。

今なら使えるという確信がある。恐怖が有るからこその制御を手放さない自信も。

オラシオンを握る手に力を込める。


「デュナミス様、シリウス様にティナ様、ルーカス殿も。心配も迷惑も掛けた。だからこそ、どうか見届けて欲しい。」


カレンは振り返り頭を下げそれだけ言う。

そしてリオナに向き直る。


「行くぞ、リオナ。ここで言うのもあれだがデュナミス様の魔法は反則だな。ずるいぞお前。」


「ふん。それには同感じゃ。だが貴様も受けたのであれば既に対等じゃ。来い。」



オラシオンを正眼に構える。

沸き立つ血の赴くまま、衝動のままに詠唱を紡ぐ。


"古より紡がれ続ける永久の灯火

罪も 願いも 祈りも 我らすらも 薪とし

現在(いま)へと繋げられる悠久の聖火

いま 現出せよ 原初の炎よ"


血統魔法(リネージュマジック) 煌炎(プロメテシア)


心の炎を現世に現す。

主を守り、止める為の真紅に煌めく対魔の炎。


そして歌は繋がる。


"我が願い 我が祈りに呼応せよ 聖なる炎よ

我が身 我が剣に纏いて邪を撃ち祓え

ただ一人ここにあり 薪をくべて大炎を紡ぎながら

円環と守護を司りし乙女は歌う

それは終わりではなく 始まりであると"


炎歌巫女(プロメラージュ) 火焔再誕(リバーサスフレイム)


炎が爆発する。だがその場に居合わせた者が感じたものは熱さではなく温もりであった。


カレンの四肢を炎が覆う。

いや、鎧を象ると言った方が正しいかもしれない。

カレンは纏ったのだ炎の鎧を。


全てを凍てつかせるリオナの氷気とカレンの全てを包む慈愛と浄化の炎がぶつかる。


「いくぞリオナ。」


再び剣戟が始まる。

だが先程とは比べものにならない。

互いの剣がぶつかり、炎と氷が舞い散る。

そこにあるのは歓喜のみだった。


剣、そして魔法から互いの意を知る。


な!?あの時リオナの魔法は成功していた??アイシスがわざと失敗させたと!?


一度目のぶつかり合いでカレンは驚きで思考を乱される。


心が乱れておるぞ?まあなんだ、許してやるのじゃカレン。アイシスも我が身を守ったに過ぎん。


二度目の氷と炎をぶつけ合う瞬間にリオナの悪い笑みが流れ込んでくる。


そうならそうと早く言え...。まあ言ったところで私が魔法の制御を誤ったのは変わらないだろうしな。


その...ごめんなさい、カレン。


お前が謝る必要は無いぞアイシス。馬鹿な主君に互いに世話が焼けるというものだ。


何が馬鹿じゃこの弱虫が。


三度目にて互いの意を完全に理解し合う。




先に剣を納めたのはリオナだった。


「やめじゃやめ。妾の目的は果たせた。これ以上やると姉上が胃痛で倒れてしまうからのう。」


「ん。シリウス様もう倒れる寸前。無敵のシリウス様を倒すのは家族?」


「シ、シリウス様申し訳ありません。ご迷惑をお掛けして...。」


「はぁ...カレン、お前には苦労をかけるな。今度酒でも飲もう。それとお前に客が来ている。」


クイッと入口に目線をやるシリウス。

すると扉が開かれ、いるはずの無い人物が現れた。


「勝手に見せて貰ったぜ。いい炎だ。そうだろ?カンナ。」


「ええ。流石は名高いアストリウス家のご令嬢と言った所でしょうか。さて、49期生カレン・アストリウス、ギルド プロメテウスは正式に貴女をスカウトします。」


現れたのはプロメテウスのマスターたるアルザ、そして十傑第8位を預かる"陽華" カンナであった。


「スカウト...?私にですか?」


「そうだ。いい炎を使うやつがいるっていう情報が入ってな。わざわざ見に来てやったがその甲斐があったっていうわけだ。俺たちと来い、カレン・アストリウス。お前の炎を俺たちがさらなる大火に変えてやるよ。」


カレンは驚き戸惑う。そして困ったようにリオナ、そしてシリウスを見る。


「自由になさいカレン。残念だけど早い者勝ちがルールよ。」


「カレン!!! この続きは魔導大祭でじゃ。お前が妾に並ぶというのならばそこまで登ってこい。妾は必ずお前を待つ。だからゆくがよい我が親友(とも)よ。」


許可は得た。ならば答えは決まっている。自らの気持ちなど最初からひとつしかないのだから。


「申し出、有難く承ります。このカレン・アストリウス、不肖の身なれどプロメテウスに我が炎と剣を捧げましょう。」


「ならばよし!委細は任せるぞカンナ。俺は帰る!邪魔したなシリウス。」


それだけ言うとアルザは炎に包まれて消え...たように見せかけて消えなかった。


「んだよ、誰か使ってやがんな。まあいい。飯でも食っていくから食堂借りるぜ。」


そう言い扉から出ていった。


「相変わらず騒々しいやつだ。お前も大変だろう、カンナ。」


「そういうものとして扱えば案外楽なものですよシリウス様。

では入団するということでカレン、そう呼ばせていただきます。

カレン、貴女には私の付き人として共にアルザ様の補佐をしてもらいます。詳細は明日正式にギルドに来た時に説明します。よろしいですか?」


「分かりました、カンナ殿。ご指導ご鞭撻の程宜しくお願いします。」


「ん。おめでとカレン。けどこれからはライバルでもある。」


「ティナ様、ありがとうございます。お手柔らかに頼みますよ。」



正直まだ夢の中にいるような感覚だ。

だがこの身に走る血がこれが真実であると告げている。ならばより一層の努力をしなければならないだろう。あのリオナ・ノア・エルフィニアの隣に立たなくてはならないのだから。




「何はともあれ万事解決だな。これからも妹を頼むぜカレン。」


「デュナミス様...なんとお礼を言っていいか...。」


「あーあー堅苦しいのは好かん。俺はリオナにお兄ちゃんと言って貰えただけで一年は生きていけるからな。お前からの礼はリオナに返してやれ。」


「それでも、感謝を。ルーカス殿も。」


カレンは頭を下げる。最上級の感謝を込めて。


「カレン殿。私がベルティエス家である事は他言無用でお願いしますね。またどこかで話すことがありましょう。」


「当然です。その時は是非。聞きたいことも沢山あるので。」


「じゃあ俺たちは仕事をしなきゃいけないんでな。またな、リオナ、ついでに姉上も。」


そう言い部屋を出ようとするデュナミスをシリウスが引き止める。


「おい待てデュナミス。質問に答えろ。お前程の人物が何故ここにいる。その仕事とはなんだ。」


その質問にデュナミスは足を止める。

そして先程までの明るい雰囲気とは打って変わって神妙な笑みを浮かべる。


「俺は王国魔導騎士団団長だぜ?魔導騎士団の仕事はただ一つ。この国の危険を取り除くだけだ。まあもう終わってるかもしれんがな。」


ここに居る者は皆聡い。その言葉だけで事情を知る者は理解する。

瞬間リオナが弾かれたように走り出す。

そしてそれをルーカスが阻止する。


「そこを退くのじゃ!」


そう吠えるリオナを横目にシリウスもまた理解する。


「デュナミス!貴様学院の生徒に手をかけたのか!!! それに何処でそれを知った!?」


「はっ。俺たちにも目はあるんだぜ?それが例え法の外にいるこの学院でもな。それに俺が殺せと命じたのはこの国に害する可能性がある死精(バン・シー)だ。生徒なんて言っちゃいないさ。」


「戯言を。契約者が無事で済むはずがない事ぐらい知っているだろうに...!」


だがシリウスにはまだ余裕があった。何故か、学院で何かあれば即座に念話が届くはずだからだ。


「ああ姉上。少しばかりルーカスに結界を弄らせてな。外部からの情報と転移は全て遮断させて貰ったぜ?流石にかの閃光を無理やり抑えるのは無理だからな。」


止めるのが無理ならば初めから何もさせなければいい。合理的だ。


パチンとデュナミスが指を鳴らす。その瞬間ルーカスの結界が弾ける。


するとどうだ。念話を待つ必要も無い程の警報が鳴り響いている。


「くそっ!デュナミス、貴様覚悟しておけ。」


「俺たちもまた法の外にいる魔導騎士団だ。それに俺たちは仕事をしただけだからな。何も責められるいわれなどない。」


「ん。シリウス様、ここは私が何とかする。行って。」


「私も、ご助力致しましょう。」


ティナーシャの周りに七色の宝石が浮く。

その姿はティナーシャが本気で戦う時の姿だった。そしてカンナも刀を抜く。

シリウスはそれを見ると「任せる」と一言だけ告げリオナとカレンを掴み"閃光"の名の通り光とともに消える。



デュナミスも動き出そうするがその眼前に光の壁が出現する。ルーカスの前には炎の壁が。


「行かせない。私、怒ってる。」


デュナミスはそっと剣を抜きかけるがそっと納める。


「お前らと戦う気は無い虹姫。お前が足止めをするというならそうされようじゃないか。」


「む。戦わないの?」


「別に事を荒立てる気はねえからな。それにもう一人の副団長を行かせてある。少し馬鹿だが腕は立つしな。だがお前が足止めしないなら俺たちはどっか行くかもしれないぜ?」


「む。それは困る。なら見張っておく。」


「ふっ、そうしな。おいルーカス、剣を仕舞え。」


「ですがデュナミス様。」


「やめとけ。虹姫と陽華が本気なら俺たちも只では済まん。血は流さないに越したことはない。」


そう言いベンチに座るデュナミス。


だがそこで扉が開かれる。


「おもしれぇ事になってんじゃねえか。なぁおい!お前とは一度戦ってみてえと思ってたんだ。」


紅蓮を纏う男、アルザ・ラス・アストリアだ。

アルザは拳に炎を纏いデュナミスを挑発する。観念したようにデュナミスもまた剣を抜く。


「やれやれ戦う気は無かったんだけどなっ!」


「はっ!言ってろ!」


超越者同士の戦いの火蓋が切って落とされた。




シリウスは予めマークしてあったギルドの外に転移する。


「走るぞ。」


アルフェニス!どうなっている。


念話を飛ばす。すると直ぐに返事が帰ってくる。


君こそ何をしていたんだい。とりあえず森の方だ。説明は後だ。


森へたどり着いたシリウス達はそこで目を疑うこととなる。


森の一部が真っ黒な結界らしきものに覆われていたからだ。


そしてそこの前では王国騎士団であろう者達とアルフェニス、そしてアイリスが向かい合っていた。



次回 死精騒動編



設定詰め込みすぎてる気もしますが気まぐれにも読んでくれると助かります。

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