表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後に伝説となる英雄たち  作者: 航柊
第2章 学院生活編
31/116

第三十幕 エリザベート・メルクリウス

雪が凄くてお出かけしんどい





1を極めるより100を知る魔導士でありたい


〜エリザベート・メルクリウス〜





「おっと...部屋を壊さないようにしないとダメね。」


ベティの右目が輝く。

その輝きと共に教室に結界が出現する。


「これでいいわね。アナタたち運が良いわよ?私の魔法が見られるなんて。」


そう言うとベティの構える杖に凄まじい魔力が、マナが集まっていく。自らの魔法力とは別に世界からマナを集めているのだ。



テレジアはいても立っても居られなったのか最後列から気づけば俺の隣に立っていた。

それでいてめちゃくちゃはしゃいでいる。


「凄い!凄いよお兄ちゃん!多分そろそろお兄ちゃん達にも視えると思うよ!」


その時、不意にマナが色を帯びる。

テレジアの見えている世界がこちら側に現出される。

俺たちにも視えるほどに魔力が高まっていく。


その色は六色。赤、青、緑、黄、白、黒。


六属性全てである。


その魔力を束ねながらベティは口を開く。


「授業を再開するわよ。あまり言いたくは無いのだけれど私は超越の魔導士でありながら超越魔法を使えないのよねぇ。けれど私は超越の位を拝命している。何故だか分かる?はいレギ、答えなさい。ちなみに魔眼じゃないわよ。」



俺はこのマナの流れを見たことがある。俺とテレジアには見慣れたものだったから。

皆はそれが何か察しはついているだろうが理解はしていないだろう。


何度も目にしたこれは


「複合魔法...ですね。」


「せいか〜い。これから見せるものをしっかりと目に焼き付けなさい。誰もが辿り着ける、その極致を見せてあげる。」



"其は世界を形造る六の鍵 世界を彩る六の色

我が祈り、願いに応えよ 虚影の神よ"


【虚ろなる世界】ハロウワールド



詠唱を終えベティが杖で床を鳴らす。


その瞬間 世界が塗り変わった。


気がつくと俺たちは草原の上に立っていた。

空は青く 水溜まりに触れることも出来た。

風を肌で感じる、目の前で見せられなければとても魔法で作られたとは思えないほど精密だった。


生徒達から思わず感嘆の声が漏れる。

馬鹿でも分かる。とても素晴らしい魔法だった。


「少しは私のことを敬う気になったかしら?」


ベティは視線の先、木の葉で作られた椅子に腰掛けていた。


「これが全属性を使用した複合魔法。"世界"系統の魔法...。マスターですら結界石に属性を封ずる事でしか発動出来ないのに。」


俺は思わず声を出していた。



「全属性を超越に限りなく近いレベルまで鍛え上げ、魔眼を用いてあらゆる複合魔法を扱う高等魔導士、それが私の正体。」


そう言うとベティは両目に魔眼を出現させる。

赤い六芒星の刻まれたその魔眼は今まで俺たちが目にしたものとはランクの違いを感じさせる。


「【真理の魔眼】この魔眼は物事の本質を見抜く。これによって私は様々な複合魔法を組み上げた。その功績をもって私は超越至ったわ。どうかしらテレジア。これがアナタの質問への答えよ。」




「凄い!凄いよベティ先生!けどもう一つ!私にはベティ先生の魔法とティア様の魔法の違いが分からないの。違うってことは分かるのにその違いがマナを見ても分からない。」


はしゃぎながらも真剣な光をその目に宿し質問するテレジア。


ベティは一つ溜息をつきながらそれに答える。


「そう...アナタ既にティア様のあれを見たのね...。そうねぇ、あれは"世界系"のさらに上

"星"に位置する魔法よ。まあ今説明するのもあれだしまたいつか教えてあげる。精進なさい。」


「??? 凄いってことだね!!!」


何も分かってない気はするがテレジアは納得したらしい。


「ふふっ。それで合ってるわ。」


それを見てベティは笑い俺はやれやれと頭を振った。



「ほ、他にも見せてもらうことってか、可能ですか...!」


若干裏返った声でそう質問するのはエイル。

その目は溢れんばかりの好奇と希望の光で満ちていた。


「もちろん。次々行くわよ、しっかりと見ていなさい。」


そう言うとベティは様々な複合魔法を披露する。


その光景に俺たちは言葉も無く両の目でそれを焼き付ける。


風と闇を合わせた"風域"


レギが使用した【瞬天瞬回(イベイション)

もここに属する。


火、水、風を合わせたのが"氷"


某姫様が得意とする魔法。


その2つ以外の魔法は正に未知。

初めて目にする魔法に俺たちの心は踊る。



水、風、雷を合わせて"嵐"


火、水、風、雷を合わせた"大地"


火と光を合わせた"太陽"


闇と光を合わせた"月"



その他にもまだベティの使える複合魔法はあるらしいのだが俺たちを巻き込むリスクがあるとの事で披露されることは無かった。



だがもう充分だった。


俺も、テレジアも、カレンも、エイルも、グランも。


皆が皆、魔法という神秘に更に魅せられていった。


そして自覚する。目の前に立つ魔導士がどれ程の高みにいるのか、そしてその魔導士から学ぶことの出来る自らの幸運を。


それと同時に浮かび上がる疑問。

それを問おうとした瞬間にカレンが先に口を開いていた。


「ベティ先生。先生程の魔導士が超越魔法を修得していないなどとても信じられない。

超越魔法とは、一体どれ程のものなのですか。」


奇しくもカレンは俺と同じ疑問を抱えていたようだ。


「痛いとこを突くわねぇ。そうねぇ、私は確かに超越魔法を修得出来るだけの技量を持ってるわ。けど超越魔法はそれだけでは修得出来ないみたい。」


「「みたい?」」


今度は俺とカレンの声が重なる。


「超越魔法は人によって修得条件が変わるの。しかもそれが何か分かることは無い。

その条件を満たした場合のみ超越魔法の試練の門は開く。

私の門は開かなかった、それだけ。」


そう言うベティはどこか寂しげだった。


「気分を害されたのならすみません。」


思わずカレンはそう口にしていた。


「気にしてないと言えば嘘になるわねぇ。けどだからこそ全属性を鍛え上げれたわけだし超越の魔眼には認められたからそれでいいのよ。アナタたちは私には得られなかった"何か"を見つけられるよう頑張りなさいな。」




そしてベティが再び杖で床を鳴らし魔法を解く。


そして生徒たち全員の目の前に分厚い魔導書がいつの間にか置かれていた。


"魔導学入門" 〜特別編〜


一般的なタイトルに加えて禍々しい文字で描かれた特別編という文字が目につく。


「アナタたちにはここに書かれていることをこの一年で覚えてもらうわ。妥協はしないわよ?私の教え子なのに優秀じゃない魔導士なんて許さないから。」


そう言い放つベティ。

その言葉により一層気を引き締めるのは生徒たち。


「あ、そうそう。口で言っても理解出来ない子には身体に刻み込んであげるわぁ。」


ニヤリと笑いながら唇を舌でなぞるベティ。


その姿は正に "快楽の魔女"の二つ名の通りであった。





そして時は戻りベティの厳しい声が響く今に至る。


既にベティの問いかけにに分からんと答えたリンドールが雷を落とされて少し黒焦げになっていた。


ベティは事ある毎に質問を投げかけるのだ。

生徒たちの思考を促すために。

間違ってもいいが何かを答えればいきなり魔法が飛んでくることは無い。生徒たちはリンドールの犠牲によってそんな法則を見出していた。


だがカレンが3回目の間違いを答えた時にキンキンに冷えた水をぶつけられた為再び生徒たちに緊張が走る。



だがそんな切迫した空気の中で私は呑気にマナに話し掛けてみたのだ。


そして何故かベティはそれを止めようとも咎めようともしない。

生徒たちも必死であり一番後ろに座るテレジアを気にも止めないのだ。



「ね〜私にもベティ先生みたいな魔法使えるかなぁ?」


「.....」


当然マナは何も答えない。


「ん〜流石に喋ってはくれないよね〜。」




「じゃあ風のマナ、こっち来て。それで雷のマナはそっちにいける?」


私は初めて自分の意思でマナそのものを動かしてみることにした。命令してみたのだ。

今まではただお願いしていただけで動いてくれない子達もいた。けど今回は明確な意思を込めて命じてみた。


するとどうだ。


マナたちは私の言う通りに動いたのだ。


「じゃあ火はこっち、水はこっち。」


私はなんだか楽しくなって色々命令してみる事にした。


くるくる回らせてみたり、8の字に飛び回らせたり。


そして次は


「火になぁれ。水になぁれ。」


ぽんっぽんっと私の指に火や水、雷、風の球が出現する。



「ふふっ。いい子たち。そうだ!もしかしてこんなのもできるかな。」



魔法は思いつき。


内緒の私の座右の銘。


そして私は火と水、そして風のマナに命ずる。


思いのままに言葉を紡ぐ。



"溶けて交ざり合い 生れなさい 氷の子よ"



火、水、風を司るマナはテレジアの命を受けて互いにぶつかり、溶け合い、交ざり、そして新たな姿として生まれ変わる。


世にも珍しい氷のマナの誕生である。


「あはっ。やっぱり私天才かも〜」


笑顔を見せるテレシア。だがその瞬間氷のマナはパキンと言う音ともに儚げな氷華を残して溶けるように消えてしまう。



「...あちゃ〜。やっぱそう簡単にはいかないか〜。」


しばらく虚空を見つめていた私は溜息をつく。


だがそこで私はマナたちが何かを訴えていることに気がつく。

マナが怒っているのだ。だがマナたちは激しく点滅するだけで怒ってるという事実だけしか分からない。


気が短い私は我慢できずに大きな声を上げてしまった。


「ん〜もう!それだけじゃなんなのか分からないの!喋って!!!」


私のその言葉にマナたちが一瞬の静寂のあと震え始めた。

同じ色のマナたちが集まっていく。


授業を聞いていた皆も私の声に驚き振り返る。


ただ一人を除いて。



「はぁ。まさか未来視で見た時は目を疑ったものだけれど実際に目にしたらそうも言ってられないわねぇ。」


教壇にいたはずのベティ先生がいつの間にか私の隣に立っていた。



「テレジア。アナタやってくれたわねぇ。」



気だるそうにただそれだけ口にして。



勢いで書いたので変なとこあるかも

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ