第三幕 魔導院
適当解説
この世界には空気に加えてマナがそこら中を漂っています。マナは魔力の源です。空気中のマナと自らの体内にあるマナオリジンを組み合わせて魔法を行使します。
--転移門前
魔導院は王都に存在するため王都近郊以外の生徒は転移門によって移動するのが常識である。なお王都の防衛上の理由から緊急時や一定以上の魔導階級の者で無ければ基本的に朝と夜の転移しか利用することが出来ない。
すなわち朝を逃したら遅刻確定である。
「やばいって!転移門そろそろ閉まっちゃうよお兄ちゃん。」
「入院式遅刻はまずいよなぁ...。クラス分けもあるはずだし。」
「「「すみません! 乗ります」」」
転移魔導士にギリギリで声をかけ滑り込む。
声が一つ多かった気もするけど気のせいだろう。
テレジアと共に一息ついていると気のせいではなかったらしい予期せぬ3人目から声をかけられた。
「君たちも魔導院へ行くのかい?」
飄々としたその男はなぜだか魂に響くような声で問いかけてきた。
レギはなんとも言えないその感じに違和感を覚えて一瞬返答を躊躇っていると...
「私たち今日から魔導院に通うんです!君たちもってことはお兄さんはもしかして魔導院の先輩ですか?」
「そうだね...一応先輩ってことになるのかな?僕の名前はアルだ。よろしく。」
パチリとウインクを決めるのはアルと名乗る一応先輩らしい男。
「あ、私はテレジア、こちらは兄のレギです。よろしくお願いします。アル先輩。」
「レギです。いきなり質問で申し訳ないのですがアル先輩はこんな田舎まで何しに?」
「少し薬草を取りにね。深緑草は森の少ない王都では取りにくいから。おっと、そろそろ転移が始まるよ。」
--3.2.1 "2"名、王都に転移開始 。
「ここが魔導国エルフィニアの王都か...。」
「綺麗... そしてあれが。」
「「魔導院」」
魔導国エルフィニア これが俺たちの国の名前。
その名の通り魔法が溢れる国、そして魔法が生まれた国。
その王都に目的地である魔導院はある。
魔導士はその国の要であり宝。そんな魔導士を教育する場である魔導院は国にとって最も重要な施設の一つ。故に王都のほぼ中心、王城のお膝元に立地していた。
「あれ?アル先輩いつのまにいなくなっちゃったんだろう。」
「多分あの人上等クラスぐらいあると思うよ。だから俺たちなんかに気づかれないように姿を消すのも簡単だろう。」
「へ〜 全然そんな雰囲気感じなかった。凄いねお兄ちゃんは。」
「お前が能天気すぎるだけだろ...けどお前ならすぐ見分けれるようになるさ。」
そう言いながらテレジアを見る。テレジアはマナに愛されている。テレジアが転移門から外に出た時空気が揺らいだ気がした。周囲のマナがテレジアを歓迎しているのだ。改めて大した妹だと心の奥底で思う。
「ま、先輩なら院内で会えるだろうし会ったら色々聞いてみよ〜!さ、行こう! お兄ちゃん。」
「ああ、次席のお前を遅刻させるわけにも行かないしな。」
--転移門上空監視室
「これで今年の生徒は以上か?」
「はい。先程の2名で新規生徒の転移は完了しました。」
「ご苦労、あれが次席のテレジアか。直接話してどうだ?"アル"フェニス。」
「彼女はマナに愛されてますよ。少しだけ探ろうとしたら彼女の周りのマナに拒絶されましたからね。」
「まあお前はマナに嫌われてるしな。そうか、ならば予定通り彼女は私が預かろう。」
「品定めは済んだかい?閃光の魔女さんよ。」
「黙れジーク その名は好きではない。」
「はいはい、んじゃ、さっさと帰りますか。」
「そらそろ戻らないとアイリス様から叱られるからな。」
--魔導院前 審判の門
「わあ 噂には聞いてたけど凄いね。」
「ああ、これが敵意あるものを排除する審判の門か。」
「そこの二人。入院者か?」
「はい。レギと妹のテレジアです。」
「よし、お前らが最後の入院者だ。これを付けて門をくぐれ。」
渡されたペンダントを付けて門をくぐると景色が一変する。
左には濃厚なマナを栄養に成長すると言われる魔導樹の森。右には王都の半分はありそうな巨大な図書館。そしてその中心に建つ王城と見間違うような巨大な城にも似た校舎。
その壮大な景色に圧倒されていると
「ようこそ"魔導学院"へ。 驚くのも無理ないわ。この景色こそ真の魔導院の姿。院生の象徴たるペンダントを手にし、門をくぐらなければ辿り着けない神秘の街。
ああ、ごめんなさいね。私は学院長のティアよ。よろしく。」
「「よ、よろしくお願いします。」」
「早速だけどペンダントを手に取って【No.(ナンバーズ)】と詠唱してみて。」
「「ナンバーズ」」 テレジアNo.2、レギNo.101
「数字が浮かんできたでしょ?それが49期生の中での貴方たちの魔法力の序列よ。」
「もちろん今後の成長次第でその数字は変動するわ。けれど現時点では妹が次席、兄が末席、厳しいようだけど現実を受け止めてちょうだい。」
いきなり告げられる現実。だがそんなものは折り込み済みだ。
「自分に才能が無いのは自覚してます。ですが101?魔導院の入院者は100名のはずでは?」
「貴方を入学させたいって提言してきたやつがいたの。いずれ出会うでしょうから感謝しなさい。」
「貴方にとってここに来れたことが幸か不幸かは分からないけど...。」
悪戯な笑みを浮かべてティアは告げる。
だがそれでも少年は揺らがない。
「幸せですよ。夢への1歩ですから。」
「お兄ちゃんは大丈夫です。」
俺の言葉を聞いて何故か隣のテレジアがドヤ顔で宣言してるけどそれはスルーすることにした。
「そう。ではこちらに、皆が待っているわ。」
ティアは二人の言葉に頷きにっこりと笑う。
気がつけばもう講堂が目の前であった。
そしてそんなレギとテレジアを遠くから見つめる影が一人。
「君たちには期待しているよ。」
その男の名はアルフェニス・ジェラキール。
六属性のうち闇を極め、深淵の称号を与えられし
超越魔道士 アルフェニス
好きな要素積み込みました。
アルフェニスは胡散臭いけどどこか神々しいcv櫻井さんイメージです。




