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後に伝説となる英雄たち  作者: 航柊
第1章 出会い編
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第十五幕 頂点たる魔導士たちpart2

演出考えるのが大変です。



意識はある。目の前で何が起きているのかも認識は出来る。けれど身体も口も動かない。


意識だけが取り残されている奇妙な感覚。まるで目に見えない水に浸かっているようだった。


静寂の海に沈みながらレギはなんとか意識を壇上へ向ける。


______________


壇上で睨み合うアルザとラグナ。

二人が放つ圧倒的なプレッシャーに従者たちも少しばかり気圧されるが...


「ちっ 今お前とやり合う気はねえよ。代わりに魔導大祭ではボコボコにしてやるよ。」


やり合う気は無いといいながらも纏ってるオーラを強めるアルザ。


「戯言を放つな。貴様ごときに後れを取る私ではない。」


アルザの放つオーラに顔色一つ変えずに周囲の空気から水滴を作り出すラグナ。


「はいはい。そこまでにしなさい。二人ともぶっ飛ばすわよ? ほら、ナギア、魔法を解いて。」


アルザの無茶な行為までは遠目に見ていたティアだったが一触即発の二人に痺れを切らして仲裁に入ってきた。少しだけ素が出たのは気のせいだろう。


「はいは〜い!ティア様の仰せの通りに〜。」


解放(エヴェイユ)


ナギアが解呪の呪文を放つと波を打つように会場が息を吹き返す。


「今の魔法は多人数制圧魔法か...。不意をつかれたとはいえ凄まじい効力だな。」


「当たり前でしょ?十傑六位、幻雨のナギアの得意魔法よ?私たちにどうにか出来るわけないじゃない。」


上級生の方からそんな声も聴こえてくる。


「あれがシェイド先輩のライバルか...。」


レギは事前に聞いていたシェイドの話を思い出していた。

聞くところによると序列はシェイドのが上ではあるが1対1の直接対決では負け越しているらしい。


「対人制圧のスペシャリスト、幻雨のナギア...か。シン、お前の先輩もバケモンだな。」


「ははは、ナギアさんは姉上が直々に鍛え上げたらしいからね。僕にとっての姉弟子にあたる人物さ。」


そんな会話を他所に壇上では...


「ティア様に言われちゃしょうがねえ。帰るぜ、カンナ、カリマ。ラグナ、今年は10年に一度の"魔導王祭"もある。首を洗って待ってな。」


「望むところだ。貴様のそのプライド、粉々に砕くのを楽しみにしておこう。」


そう言葉をぶつけ合いながらアルザたちプロメテウスの面々が炎と共に壇上から消える。


______________


「さて、邪魔者はいなくなったな。

新入生諸君、私がギルド サルドメリクのマスター

ラグナ・メラ・エルフィウスだ。

お前たちの入学を歓迎する。誇り高き魔導学院の名に恥じぬよう研鑽に励むことを願っている。」


新入生から拍手が上がる。


「ここからが本題だ。在学生、新入生問わずよく聞け!我々が求める人材はただ一つ、賢者であること。我がギルドに愚者は必要ない。


水魔法は変幻自在、留まることの無いの知識の結晶だ。

それに加えて今年は魔導大祭を我々が征する。

まだ見ぬ賢者たちよ、我々に力を貸してくれ。


サルドメリクの目は学院中にある。日々研鑽を重ねよ。さすれば自然と手は差し伸べられるであろう!」


その最後の言葉と共に会場から歓声が上がる。


「力ではなく知識なら僕でも...!」


「馬鹿ね!力も知識も付けるのよ!出なければ選んでなんか貰えないわよ!」


水魔法を得意とするもの達から様々な声が聞こえてくる。


「ん〜素晴らしい演説です!ラグナ様〜。けどまた騒がしくなっちゃいましたね〜また黙らせますか〜?」


「いや、我々を讃える声だ。そのままにしておけ。

ミストレイ、仕上げだ、やれ。」


「御意。」


ラグナがそう呼びかけると何も無いはずの空中から頭からローブを纏った人物が出現する。


「あれは...!ミストレイ様!?」


「滅多に人前に姿を見せないと言われる序列9位の男、幻想のミストレイ...。」


パチンっとミストレイと呼ばれた男が指を鳴らす。


幻影雨(ミラージュレイン)


その瞬間に会場の周りの空気が水に溶ける。

晴れていたはずの会場の空が歪む。

実際に雨が降り始めた訳では無いのに雨が降っている感覚がある。手にかかる水滴がこれは現実であると語りかけてくる。

実際には雨は降っていない。けれど身体が、心が雨が降っていると認識し始める。現実と夢幻の壁がごちゃ混ぜに溶けていく...。


「こんな大規模な天候を操作するなんて信じられない...。」


新入生の中からそんな声が聞こえる。


恐ろしい魔法だとレギはそう感じる。


それもそのはずこの魔法の正体は強い催眠香の効力を持つ霧と水滴を利用した光の乱反射で幻惑を作り出す魔法。加えて魔法を受けた対象者が現実と信じれば実際に身体に影響を及ぼす現実と夢を書き換える超高等魔法。


レギは魔法の効力を理解してはいないものの肌でその危険性を感じていた。


そもそも新入生の中で魔法にかかっていることを認識しているのが少数だろうとレギは分析する。


実際俺もこの魔法を行使するミストレイと同レベルの魔導士、アシュレイたちとの修行によって魔法知覚が多少なりとも磨かれていなければこれが魔法だと認識することすら叶わなかっただろう。


新入生の多くは声を上げた生徒と同様に雨を降らしている魔法であると感じているはずだ。

在学生の中でも認識出来ないものも半数ぐらいいるのではないかとレギは考える。それ程までに洗練された魔法であった。


そんな中、現実なのか夢なのか分からない上空の雨たちが集まり形を成し始めた。そこに出現したのは巨大な龍だった。


そして龍はゆっくりと会場に向かってくる。


「化け物がこっちに来る!」


「自分の身は自分で!


"汝 我が盾となれ"【守護土人形(ガルディアン)】」


幻惑に強く囚われた生徒たちには化け物が襲ってくるように見えるらしい。中には守護魔法を使う者までいた。

そんな幻惑に囚われた者達のイメージによって龍は半空想の世界から現実へと降り立ちレギたちに牙を向こうとしていた。


それを察知したレギやリオナら一部の新入生や在学生たちの中でも実力に秀でた者達がそれぞれ対策を打ち出そうとしていたそんな中、先頭の方にいたシンがおもむろに立ち上がり、その腰に指していた剣を抜く。柄に近い所に蒼の宝石が埋め込まれた美しい剣だった。


「さすがだね、レギ、初見でこの魔法を知覚するなんて。いい環境に身を置いている証だ。じゃあ僕は頼まれた仕事をこなしてくるよ。」


一瞬てレギの隣に来るとそう言い放ち、迫り来る龍に跳躍する。


"契約の名の元に 力を示せ 激情の奔流よ"


蒼剣(アクア・ラ・スパーダ)


シンの剣に埋め込まれた宝石が蒼の閃光を放ち、その剣を覆う様に水の刃が出現する。


水の刃を纏った剣を掲げシンが龍に迫る。

そして眼前にまで迫った龍をシンは一振の元に一刀両断してみせた。

シンの水の刃によって両断された龍は綺麗に雲散霧消し晴れた空が顔を出す。


そしてシンはそのままラグナたちの立つ壇上へ降り立つ。


「ひゅ〜凄いね〜さっすがラグナ様の弟君♡。」


「ラグナ様が早々に引き入れたのだ。この位はやって貰わねば困る。」


ナギアとミストレイがそれぞれ口を挟む。


「上々だ、シン。貴様の剣、我々に捧げてもらうぞ。」


「はい。私、シン・アルバ・エルフィウスはギルド サルドメリクの為にこの剣を振るうと誓います。」


そう言い膝を付き剣を捧げるシンと捧げられるラグナ。その儀を祝すように晴れ渡った空に虹が掛かる。その2人の光景があまりに様になっていたため会場からは大歓声が上がる。


「シン君、私たちを守ってくれたの...?かっこいい...。」


先程まで幻惑に囚われていた同級生はその幻惑を切ったシンに心を奪われてしまったようだ。


そんな歓声の中を凛とした声でラグナが言い放つ。


「この場を借りて宣言する!

我々ギルド サルドメリクは49期生No.4 シン・ニア・エルフィウスを正式にスカウトし、新団員に加える!我々は新入生であろうと実力のある者は引き入れる。この者の実力は魔導大祭でしかと目にするがいい。」


その言葉に新入生と在学生も大きくざわつく。


「エルウィウスってラグナ様の本名と一緒...?てことはあいつは弟って事か...またバケモンが入学してきやがったな...」


「シン君があの大海の魔女の弟だったなんて...」


「本名初めて聞いたな...だけどシンの実力を見ればその名がしっくりきちまうのが悔しいぜ。」



「ではでは〜可愛いナギアちゃんを助けてくれる人達をいつでも募集してるかね〜みんなも頑張ってね〜」


そうナギアが手を振り、最後に声を掛ける。

そしてミストレイが手を掲げ振り下ろすと気がつけば壇上からサルドメリクの面々が姿を消していた。


会場からは大きな拍手と歓声が上がる。


そして気がつくとシンは自分の席に座っていた。


だがそんなシンを同級生たちが囲い...


「シン君ほんとにラグナ様の弟なの!?」


「シン!俺に水魔法を教えてくれ!俺もサルドメリクに入ってみせる!」


などと当然のように質問攻めに遭っていた。

それにウンザリしたのか最初の数問に答えたら

現幻(リアルミスト)】で作り出した分身を身代わりに気配を消してそっとレギのいる最後尾に逃げてきた。


「少しは君の気持ちが分かったよ...。」


と初日やこの一週間でレギが質問攻めに遭っていた

ことの大変さを理解したようにシンが声を掛けてくる。


「ギルドマスターの弟とあっちゃあそりゃみんな興味が湧くさ。それに多分お前の場合先輩方から絡まれることが増えそうだな。」


「僕が思ってた以上に姉様は人気みたいで驚いたよ...。まあ姉様に迷惑をかける訳には行かないからなんとかするさ。」


「偉大な姉サマや兄サマを持つと苦労するんだぜ。

うちも色々大変だからな...。」


と話を聴いていたヨルハがため息混じりにそう零す。


「そうだヨルハ、さっきの...」


レギが思い出したようにカンナのことを質問しようとしたら天から突風が吹きレギの話を遮る。


「ようやく俺の出番か!待ちくたびれたぞ全く。」

一陣の風と共に壇上に現れたのは緑の髪を後ろで束ね葉っぱを加えた偉丈夫だった。


「待たせたなお前ら!ここからは俺

ジークヴァルト・クローディア様率いるギルド カノープスの時間だ!。盛り上がっていくぜ?」








14話でアルザの名前をプロメテウスからアストリアに変えました。把握よろしくお願いします。

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