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後に伝説となる英雄たち  作者: 航柊
第1章 出会い編
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第十二幕 強者



レギは困惑していた。


どうして困惑してるのかって?


それはレギの周りをぐるぐる周りながらじーっと観察してくるピンク髪の少女のせいだった。


「ふむふむ。ふむふむふむ。なるほどな!おいジェラ!こいつ雑魚だな!」


初対面なのに雑魚呼ばわりされレギは心にダメージを受けた。


「ははは、これは手厳しい。まあメルヴィと比べたらね。」


「まあ確かにそうか。後輩!お前クラスはいくつだ?」

「クラス?」


レギは聴き慣れない言葉に首を傾げる。


「ああ、この子はまだクラスⅠだよ。というか昨日入学ばかりでクラスの意味すら知らないよ。」


魔導学院には学年が存在しない。その代わりに存在するのがクラスと呼ばれるもの。

クラスⅠからクラスⅥまで存在し、学院の用意する様々な試験を突破することで数字が上がっていく。

この数字は魔導士の階級とは別に魔導学院内での権限を意味しており数字が高ければ高いほど学内での自由度は高くなる。

レギはまだ授業すら始まっていないため説明すらされていなかった。


「・・・は?」


「ああそいえばメルヴィはずっとここで寝てたから会議に参加していなかったね。入学試験で見かけてね、他に取られる前にティアさんに頼んでスカウトさせてもらったんだよ。」


ポカーンとしてるメルヴィにアルフェニスがそう説明する。

新入団員をスカウトする時はギルドメンバーで会議を行って決定するのだとアルフェニスがレギにも説明する。


「なるほどな〜まあ後でジェラには色々問いただすとして... よし!ならばついてこい後輩!我が遊んでやるぞ!」

一応納得はしたらしい。そしてレギに興味を持ったのかレギの手を取り図書館を出るメルヴィ。


「メルヴィ先輩、どこへ向かってるんですか?」

レギが尋ねるが。


「...」 メルヴィは反応を示さない。


「メルヴィ先輩?聴こえてますよね?」


「...」レギの手を握るメルヴィの手に力が込められ爪が少し食い込む。


「あの...メルヴィ先輩 痛いです...。」


「...」力を緩めるどころかどんどん強くなってる気がする。


「メルヴィの自己紹介を思い出してごらん。」


小声でアルフェニスがアドバイスをくれた。


「あ..... キティ先輩。」


「ん!なんだ後輩!我の名を呼んだか?」


手の力を緩め晴れやかな笑顔のメルヴィが振り返る。


「どこへ向かってるんですか?」


レギはなんとか笑顔を作りそう質問する。レギはそっとメルヴィには逆らわないと心に決めた。


「演習場だ!我の下につくということはそういうことでよいのだろう?ジェラ。」


「そうだね。合ってるよメルヴィ。」


2人の話についていけていないレギ。


「そういうこと とは?」


「さっき後で説明するって言ったけどギルドメンバー、団員にはそれぞれギルド内外での役職が振られるのが通例でね。例えばノーチェは秘書兼後衛魔導士だね。我々ディアボロスの団員はギルドの役割もあってほとんどが後衛魔導士や工作員、治療魔導士のような非戦闘員の子がほとんどなんだ。

そしてディアボロスの中でたった3人しかいない戦闘魔導士。それがそこのメルヴィ、そして副マスターのアシュレイ、もう1人はシェイドっていう君はまだ会ってない子だ。そしてレギ、君が4人目だ。」


「自分の立場を理解したか?後輩。さあ着いたぞここがディアボロスの魔法演習場だ!」


両開きのドアを勢いよく開けるメルヴィ。そしてそこで待っていたのは...

四隅に魔法陣によって結界が張り巡らされた部屋と2人の人物。


「随分遅かったですねマスター。どうせメルヴィが寝ていたからなのでしょうが...」


「メルヴィに期待する方が間違ってるぞアシュレイ。それよりそいつが例の。」


「文句は我より強くなったら聞いてやるぞ!アシュレイ。」


さらっとアシュレイより強い宣言をするメルヴィの発言に驚愕を禁じ得ないレギ。


「アシュレイにシェイドも待たせてしまったね。レギ、この3人が君直属の先輩であり師になる子たちだよ。」


アルフェニスの発言でレギは現実に戻される。


「レギです。よろしくお願いします、先輩方。」


「うむ。さて、早速だ後輩 お前の力、我に見せてみろ!遠慮はいらん お前ごときに傷つけられる我ではない。」


控えめな胸を張りそう宣言するメルヴィ。

だが先程までの天真爛漫な雰囲気とは違い今は静かに緋色の瞳を爛々と輝かせ、周囲の空気が程の魔力を纏っている。


それだけでレギはメルヴィの持つ実力を感じ取る。計り知れない実力者であると。だがレギは笑う。そして今の己の全てをぶつけるべく【風域】瞬天舜回(イベイション)【バースト】を発動させ領域を展開させる。


「いきます。」


その一言と同時にレギの姿が掻き消える。そして本気でメルヴィに撃ち込むが...



「ふむ、たしかによく考えられた魔法だ。その齢にしてこの魔法を組み上げるのは大したものだ。

それにそういうことか...。確かにこれは真似出来ん。だがそれ故に我はお前を否定しよう。」



メルヴィは振り向きもせずにレギの剣をどこから取り出したのか短剣で受け止める。レギは再び距離を取って攻撃するがメルヴィはそのことごとくに反応し受け止める。そしてメルヴィは加速に入る直前、少しの隙をつきレギの背後を取る。


レギが別の場所へ飛んでも再び背後を取られ続けた。そして


「この魔法に頼るのはやめろ。初等魔導士にしては素晴らしい魔法だ。だが所詮風中級魔法【瞬風(アクセラル)】と同程度、お前の目指す高みには通用しない。」


メルヴィそう言い放ち今度はレギの剣を素手で受け止め逆の手でデコピンを炸裂させた。そのあまりの威力にレギは結界に覆われた壁まで吹き飛ばされてしまった。


「ついつい力が入ってしまった 許せ!後輩。」


天真爛漫な雰囲気に戻りメルヴィが謝ってくる。


「なんとか大丈夫です...。」


そう答えるレギだったが立ち上がれずにいた。




暫く天井を見上げていたレギだったが


「負けたくないです。誰にも...。弱くても勝ちたいです。」


気がついたらレギは立ち上がりリオナに負けた時から抱いていた本音を零してしまっていた。


その言葉に


「ふん、"弱くても"だと?自惚れるなよ。弱い自分を肯定するな。弱いままでいようとするな。負けたのなら、才能がないのなら、あがけ。」


二人の戦いを観ていたアシュレイがそう言い放つ。


「ふっ、お前が言うと説得力が違うなアシュレイ。」



「レギ。アシュレイもね君と同じ魔法力に乏しい末席だったのさ。まあ君ほどでは無かったけどね。」


その一言にレギは唖然とする。当たり前だ、たった一度しか見ていないがアシュレイの実力は疑いようの無いものなのはレギでも分かる。それに食堂で使用した【領域(テリトリー)】はとても魔法力が低いとは思えない規模と効果だった。

だがそれと同時にこのギルドに案内される時にアシュレイが言った


「貴様も這い上がってこい」その言葉の意味を理解した。


「後輩。そう悲観するな。魔法力を上げる方法は"ある"

今のお前にはまだ教えてやれないがな。


高等まで上がってこい。自ずと道は開けるだろう。」


「!?」


メルヴィのその言葉にレギは声にならない声をあげた。


「レギ、君にとっては長く苦しい道だろう。けれど例えどれだけ困難でも可能と不可能は違う。君ならやれると、そう信じたから私は君を招いた。3年だ。18になる前に君にはメルヴィたちと同じ学院内で選抜される[偉大なる魔導士]インペリアルウィザード


の30人に名を連ねて貰うよ。」


「[偉大なる魔導士]...。」


「まあその頃には我々はいないけどな!後輩よ、お前は我々の後を継いでもらう。覚悟はよいな?」


「ちなみにこれまで2人ほど逃げられてるからね...毎回もう少し優しくしてあげてって言ってるんだけど...。ただ実力は間違いないよ。なんせたった3人で他のギルドの戦闘魔導士たちと張り合ってるからね。盗めるものは全部盗むんだ。そしていつか君が彼女たちとお互いに高めあうことを期待するよ。」


[偉大なる魔導士]インペリアルウィザード


高等魔導士以上に至った生徒の中から超越魔導士、神域魔導士たちによって推薦、審議の元選抜される魔導学院最高の30名の生徒たち。


1位から30位まで序列が付けられており中でもトップ10は通称「魔導十傑」と呼ばれておりその魔法や特徴を元に2つ名が拝名される。十傑に選ばれる魔導士はほとんどが在学中ながら超越の域に到達する者たちである。


ディアボロスが誇る3人の戦闘魔導士、その序列は


序列1位 「吸血姫」 メルヴィ・キティ・ラミア(45期生)


序列2位 「黒剣」 アシュレイ・ブラック(45期生)

序列5位 「深影」 シェイド・イレイザー(45期生)



絶対の"強者"たち。







レギとメルヴィの名前のやり取りやりたかったやつです(n番煎じ)

料理作りながら考えたので変なとこあるかもです。

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