第一幕 プロローグ 英雄
厨二病発症した時に更新します
「英雄になりたい。」
少年はそう願った。少年は英雄の物語が大好きだった。
けれど英雄はなりたくてなるものではない。
誰かに求められて、手を差し伸べた者こそが英雄と呼ばれるのだ。
だがそれを少年が理解するのはまだ先のこと。
いつの時代にも英雄と呼ばれる者はたくさんいる。
誰かを助けた。村を救った。魔物を討伐した。
誰かにとっての英雄もそこら中にいるだろう。
助けてもらった。大事なものを拾ってもらった。1人だった自分に声をかけてくれた。
そんな英雄たちが日々生まれて、そして消えていく。
けれど誰かが言った
「語り継がれてこその英雄だろ」と。
そう、この世界にはかつて本物の英雄たちがいた
人の悪意によって産み落とされた竜たちから世界を取り戻した本物の英雄たち。
世界中で語られ続け知らぬ者などいない伝説。
____________ここまで伝承文
って書いてあるけどほんとかどうかは誰も分からない
なぁんて物語はお終い
次々!
世には面白いものが溢れているんだから。
.....それは他愛無い物語
神へと挑んだ 愚かな男の物語
特筆すべき点は何一つとしてない
だから誰も紡ぐ必要が無い
ボクもわざわざ語る必要が無い
ただそれだけの物語だった
けれど人々は違った
ヒトは彼を英雄と呼んだ
不思議じゃないか?彼は何も成してないのに
彼は神に挑み そして負けた
ただそれだけなのに
だがそれをヒトは語った 描いた 謳ったのだ
誰かが言った 英雄神話
ボクらは笑った 滑稽じゃないかってね
けどボクらは確かに魅せられた
いつしか夢中になっていた
悠久を生きる上位精霊であるボクらは総てを知ってる気でいた
そんなボクたちにヒトは様々な未知を見せてくれた
ボクらが不要と断じたものを拾い上げるし 必要なものを簡単に捨てる
そんな彼らが 彼女らが面白くて 気が付けば隣人として並び歩いていた
未知を示したヒトの輝きに いつしか没頭していた
そして魅せられたならば 責務を果たさねばならない
紡がなければならない
描かなければならない
伝えなければならない
歌わなければならない
仮にヒトの世が滅びたとしても
そこにあった輝きを 軌跡を
繋いでいかなければならない
ヒトが作り上げた物語を終わらせてはならない
そしてその時の果て ボクらは出会う
"後に伝説となる英雄たちに"