おにぎりこわい
とある町の学生寮でのお話。
そこに住む、福田、渡辺、佐藤、高橋の四人は、毎晩渡辺の部屋に集まっては他愛もない雑談をするのが日課になっていました。
この日もいつもの様に雑談を楽しんでいると、福田が突然みんなに尋ねます。
「人間誰しも怖ぇものがあるってもんだ、佐藤は何が怖ぇんだ?」
「俺か?俺はスズメバチだな、あいつらまじ怖い、高橋は?」
「俺はやっぱコロナだな、俺肥満だから重症化マジヤバイ、渡辺は?」
「俺は…彼女」
渡辺のジョークにその場が笑いに包まれ、満足そうに胸を張った渡辺が、最初に話題を振ってきた福田に質問しました。
「で、お前は何が怖いんだ?福田」
「俺か?まぁ、俺様はお前らみたいなビビりくんと違って怖ぇ物なんかない!って言いたい所だけど、実は一つだけあるんだ」
「何だよ?教えろよ」
「実はな…おにぎりが怖ぇんだよ」
「おにぎりぃ?お前ふざけてんのか?」
「いや、マジだって、最近のおにぎり色んな具が入ってるじゃん、もう何が入ってるか考えただけで失神しそうになってくる…、あぁ、ダメだ、考えたら眩暈がしてきた、もう部屋に戻って横になるわ」
そういうと福田は部屋に戻って横になって眠ってしまいました。
それを見て渡辺が二人に相談を持ち掛けます。
<三十分後>
「おい、そろそろ福田の奴目を覚ましてるんじゃないか?様子見に行ってみるか?」
「そうだな、目覚まして枕元のおにぎりの山見て、また失神してるんじゃないか?」
「かもな、はっはっは、まずはこっそり覗いてみようぜ」
福田の部屋の扉をそっと開けて隙間から覗いた渡辺は、目を見開いて振り返りました。
「おい、あいつパソコンの前で美味しそうにおにぎり食ってるぞ!」
三人は血相変えて部屋の中に飛び込んだ。
「おい、お前!おにぎり怖いとか騙しやがったな!とんでもない野郎だ!」
「まったくだ、お前にはしてやられたよ!」
三人は呆れた様に福田に尋ねます。
「お前が本当に怖いものって何なんだよ?」
「本当に怖ぇものかい?今なろうに小説投稿したんだけど、本当は【ポイント】が一番怖ぇんだ」
お後がよろしいようで。
ポイント怖いポイント怖いポイント怖い