ホームパーティー(1)
「えぇ〜それではぁ。アイ君の昇進と、フェス君の帰還をお祝いして、かんぱ〜い!」
「乾杯!」「かんぱーい!!」「乾杯〜!」「乾杯」「………………。」
イェナーの音頭を受けて、ヤヌアール達は手にしていた、それぞれの飲み物が入ったグラスを掲げた。
テンションはそれぞれ違っていたが、久々のホームパーティーを楽しみにしていたのは皆同じ。
ヤヌアールの自宅にシュトラント一家を招き、女性陣で食事の準備を。男性陣に部屋の飾り付けを任せて、夕方の五時からの開催となった。
魔界では十六で成人となり、飲酒喫煙も可能だ。今年で十七になるヤヌアールが最年少なので、ドリンクは基本酒類しか用意されていない。
ヤヌアールのグラスに入っているのは、度数の低い発泡酒だ。一口だけ飲んで、隣にいたシュトラントに視線を向ける。すると彼もこちらを見ていたようで、すんなりと視線が交わった。
「久し振りだな、こうして集まるのは」
「そうだな。父さん達も楽しみにしてたし、俺も楽しみにしてた」
「私もだよ」
久し振りに一同に会した両親達は、にこやかに会話を弾ませている。
…………約二名、全く表情が動いていないが。
「豪華な飯も食えるし」
「ははっ、そっちか」
確かに、イェナーもエーデも料理上手だが、何品も大量に作る機会は無い。それこそ、パーティーでないと食べられない物だって用意されている。
シュトラントの言う事も最もだった。
「早速なんか食おうぜ。ヤヌアールはどれ作ったんだ?」
「そこのグラタンだ。ふふん。自信作だから、不味いとは言わせないぞ」
「それは楽しみだなぁ」
ニマニマと笑みを浮かべながら皿に取り分けるシュトラントを見つめながら、ヤヌアールも自分の皿に料理を取り分ける。
母の手伝いとして料理はしているが、得意という訳ではない。たまにだが失敗もしてしまうし、母やエーデには劣ると自覚している。
パクッ、と口に運んだシュトラントの感想を待ちながら、酒を口に運んだ。
「ん! 美味い!」
「ほ、本当か!?」
「あぁ……流石、ヤヌアールだぜ」
ニッ、と笑みを向けられて。少しだけ。ほんの少しだけドキリと心臓が高鳴った。
「そ、そうか……そうか……。へへっ、やったな」
褒められて悪い気はしない。ニヤけそうになるのを必死に堪えて、誤魔化すように取り分けたパスタを口に運んだのだった。