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幼馴染と行くあべこべ世界  作者: ミルフィーユ
第四章:組織との戦い
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#97:動揺と交渉

「渉殿大丈夫でござるか?」

「春香!」


 扉が倒され、その場所には春香が立っていた。その後ろには柚香や楓たちの姿もあった。


「お前たち、渉殿を離すでござる」

「そういうわけにはいかないな」

「ふっふっふーこれも仕事なので許してほしいのです」


 二人はそう言うと剣を構えた。そして彼女たちと春香が踏み込もうとした瞬間に、事態は動いた。


「あれ……理科お姉ちゃんなのですか!?」

「ふっふっふーそうなのです!……って恵理?」


 目の前にいる理科と呼ばれていた女性は日向さんを見ると驚いたような様子をmしえた。


「ど、どうして。組織は、貴方が深刻な病気にかかって、直すにはお金が必要だって言われて」

「何を言ってるなのです?私はずっと元気でしたよ?」

「私と出会う以前の彼女は分からないけど……少なくとも、大学で出会ってからの恵理は毎日健康そうにバカ騒ぎしてるわよ」


 組織の片方の女性はそう言うと、膝を地面につき、絶望したような表情を浮かべた。


「そちらの女性はもういいでしょう。貴方は、渉様を解放していただけませんか?」


 柚香はそう言うと、理科さんとは別のもう一人の俺を監視していた女性に向かってそう言った。


「あたしは傭兵のようなもんだ。事情があってお金を稼がなきゃならない。この仕事はたくさんお金がもらえていいんだ」

「お金ですか……それなら、後でお支払いしましょう」

「お金ねぇ。でもこの仕事から足を洗えとでも言うんだろう?」

「そうですね。どちらにしろこの組織は潰すことが目的ですから」

「……だったら、断る」


 女性はそういうと大剣を構えた。


「何か組織に思い入れでも……?」

「いやぁ、単純にな。少し前までのあたしだったらそれでも良いって言ってたかもしれないけど。今のあたしには無理なお願いだね。こんなあたしを可愛いとほめてくれた極上の美少年を、あたしがみすみす手放したいと思うか?」

「渉、また口説いたの?」

「いや……そんなつもりじゃないけど」

「わーお。流石渉君」


 楓がジト目で俺のことを見てきた。反対に桜はクスっと笑い、何となく納得したような表情を浮かべた。別に口説いたつもりはないんだけどなぁ。


「まぁ、これ以上は説得は無駄だぜ?どうせ離してもお前たちがこの子を独占する未来だって見えてるしな。それが王家のやり方だろう?」

「いえ、そのようなことは……」

「俺は自分が好きだと思った人と付き合う」

「へぇ……それじゃああたしはどうだい?」

「分からない。俺のことを拘束してるけど。貴方が本当に悪い人なのかどうかは分からない。ただ……仮に今仲間になったとしてもすぐに付き合うことはしないし、友達になって付き合えるかどうかで見極めるつもりだ」

「……そうか。やっぱり無理だな」


 俺がそう言うと、彼女はため息を吐いた。そして、再び大剣を構えていた。


「かかってきな。これ以上の言葉は不要だ」

「仕方ありません。貴方とは話し合いで解決できると思いましたが、そうも行かないみたいですね」

「ああ。理科戦えるか」

「ふっふっふー余裕ですよ……といいたいところですけど、今の私には無理です」

「そうか。じゃあせめてその子を見張っといてくれよ」


 里香さんの方は、深刻な病気だと思っていた日向さんが目の前に元気な姿で現れて、目的を見失ってしまっているのだろう。どうやら、戦いに参加する気力もないらしい。こちらとしてはありがたい。一応柚香たちも武器は持っているんだろうけど、ここは春香が相手をするみたい。


「それでは渉殿は解放してもらうでござる」

「へっ……させねえよ」


 女性の大剣と春香の刀が、激しく打ち付けられ、戦いの火蓋が切られた。


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