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幼馴染と行くあべこべ世界  作者: ミルフィーユ
第三章:幸せな日々
89/124

#89:ビーチボール

作者ページから他の作品も是非チェックしてみてください。

「それじゃあ渉、早速プールに入ろ」

「ああ、そうだな」


 俺は、楓に手を引かれてプールの中に入る。先ほど、準備運動もしたし準備は万端だ。遅れて桜たちも俺を追いかけるようにして入ってきた。


「渉君も、楓ちゃんも早いよぉ。それで何して遊ぶ?」

「でしたら折角ですので、これとかどうでしょう」



 柚香がそう言うと、ボールを取り出した。


「これはビーチボールなのです!」

「確かに普通に泳ぐよりも楽しー」

「それだと渉とどさくさに紛れて体触ったりできるかもしれない。よし、やろう」

「光沙あまり過激なのは許さないよ?」


 日向さんと由衣の二人がまず初めに興味を示した。他の面々も賛成という感じだった。若干一名目的が違っていて、彼女の親友に止められている人がいたけどまぁビーチボールで遊ぶということに対しては賛成なので構わないだろう。


 とはいえ、全員でやると流石にあれなので、交代で行うことに決まった。皆の希望で俺は一周回るまでこれをするとして、最初は楓と桜と由衣、次が千佳姉と五月と碧、その次が愛結と光沙と日向さん、最後に春香と柚香と真里菜という組み合わせだ。


「それじゃあまずは私たちの番だよー」

「ええ、渉。覚悟」

「って、ちょっと待て」

「あ、あはは。楓ちゃん張り切ってるなぁ」


 始まるや否や、ボールを手にした楓がものすごい勢いで、俺にめがけてボールを投げてきた。いきなりボールが飛んでくると思っていなかった俺は、反応することが出来ずにそのまま俺の顔にボールが当たった。


「わ、渉大丈夫?興奮しすぎて、つい」

「いや、大丈夫だけど。もう少し威力を抑えるか、投げる前に言ってくれると助かるかなぁ」

「う、うん分かった」

「それじゃあみんな行くよー」


 由衣の合図に合わせて再びボールが投げられた。今度は先ほどとは違い、山なりにゆっくりとボールが飛んできた。俺はしっかりとキャッチをすると桜の方に投げた。先ほどの失敗を活かしてか、これ以降楓が早い球を投げてくることはなかったので、みんなで楽しみながら遊んだ。




 一通りビーチボールで遊び終わった。ボールが違う位置に飛んで行ってしまい、それを取りにいったりしていて、意外と疲れた。勢いをつけて投げていたわけでもなく、普通のボール遊びって感じだったけど、意外とプールの中で遊ぶと結構疲れる。




「お兄様ー」


 休憩のために一旦プールから上がり、プールサイドで休んでいると可愛らしい声が聞こえてきた。声のする方を見ると、そこには俺めがけて走ってくる美柚ちゃんの姿があった。そして、俺の目の前まで来ると俺に飛びついてきたので、そっと抱っこするような形で支えた。


「美柚、プールは走っちゃダメってお母様に言われているでしょう?」

「でも、お兄様が来てるって聞いて、お勉強終わらせたから少しでも早くお兄様に会いたいと思って」

「勉強を終わらせてきたのは良いことです。でも、だからといって走ってはいけません。怪我をしてラどうするんですの?」

「それは、ごめんなさい」


 柚香は本気ではないにしろ怒っている。俺に会いたいという理由で走ってきているのが可愛いらしい。とはいえこのまま怒られ続けるのもかわいそうに思えてくる。


「柚香、その辺にしてやってくれ」

「渉様。で、ですが……」


 俺は美柚ちゃんに近づいてそっと優しく頭をなでた。


「俺に会いたいっていうのは嬉しいけど、プールサイドは滑りやすくて危険だからね。次からはちゃんと歩いてこようね。走ってきて怪我をしたら、悲しいからね」

「はい分かりまし、お兄様」

「渉様に免じて、私もこれくらいにしておきますわ」


 美柚ちゃんはじっと俺の方を見てきた。


「やっぱりお兄様は優しいです。私お兄様と結婚します」

「美柚ちゃん!?」

「美柚!?」


 そう言うと、彼女は俺に抱き着いてきた。そんな彼女を楓たちは優しく見守っていた。ちなみに復活した月夜さんはその光景を見て、顔を真っ赤にしてあたふたしていた。

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