#84:逃走劇
久しぶりにあべこべ要素出してみました。何か最近薄かったような気がしたので、偶には。
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二週間ほど前から、新作「彼女が出来てから始まるハーレム作り」という作品を毎日1話ずつ投稿しています。よければ、是非こちらも覗いていってください。
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一応後書きの方にも同じリンクを貼っておきます。
「はぁ、楽しかったね渉」
「う、うんそうだな」
「私もお兄ちゃんとお姉ちゃんたちと遊べて楽しかった」
「私も、渉君と楓ちゃんのイチャイチャを見てたらすごく楽しかったかなぁ」
桜が揶揄うようにそう言った。イチャイチャって確かにずっと楓が腕を絡ませてきたし、客観的から見たらそう見えるのかもしれないけど。そう思っていると、今もなお俺に腕を絡ませてきている楓の腕がブルブルと震えだした。
「み、見てたの!?」
「そりゃあ、四人出来てたわけだし見てないほうがおかしくない?」
「お兄ちゃんと楓お姉ちゃん凄く仲がよさそうだった」
「うぅ」
楓は可愛らしく嘆いたような声を出すと、俺の胸に顔を埋めた。おそらく相当恥ずかしかったみたいだ。俺はそんな彼女を抱きしめてあげ、頭をそっと優しくなでた。
「あーお兄ちゃんずるい。碧にもやって」
そう言って碧が俺の元まで走ってきた。
「あはは、渉君大変そうだね~」
「桜、どうにかしてくれ」
俺は桜に助けを求めた。すると彼女は腕を組み右手をグーにして自身の唇に当てた。
「んー頑張れ☆」
頑張れじゃねえよ。まるで語尾に星が見える様なほど、明るくはっきりと笑顔で言われた。その後俺は落ち着きを取り戻した楓に離れてもらい、碧にも同じことをしてあげた。彼女も恥ずかしそうにはしていたものの、とても嬉しそうだった。
――そんなことを人前でしていたら、当然目立つわけで。
「きゃあー男の人よー!」
「しかもあの子女の子と抱き合ってない」
「私も抱き着きたいー!」
そう言って俺の方にたくさんの女性が走ってきた。最近は、学校とかでも皆が慣れてくれたおかげで忘れていたけど、この世界の女性は肉食だ。前に五月や柚香が教えてくれたけどすっかり忘れてた。
しかし女性たちが走ってきている方向は建物の入口。これでは、逃げられないのではないだろうか。俺も楓も桜もこういった事態には余り慣れていないので、テンパってしまっていた。一応護衛の人がいたみたいだけど、流石にこの人数を対処するのは難しいみたいだ。
「私に任せて、お兄ちゃん」
すると碧は俺の手を引きながら誰かにメッセージを送っていた。そして、すぐにスマホを仕舞った。
「今から、この建物の屋上に向かうよ」
「え?屋上って入れるの?」
楓が碧に言ったことに対して驚きながら聞いていた。確かにそうだ。基本的にはこう言った施設の屋上には入れないし、仮に入れたとしても展示スペースとか休憩所とかになっており、さらに入口が一か所しかないことが多いため逃げ場がなくなってしまうのではないだろうか。
そう思ったのだが、碧には何か考えがあるみたいだし、俺にはほかの代案が思いつかなかったのでそれに乗っかることにした。
俺たちはそのまま屋上まで向かうと屋上には二人の警備員がいた。やはり、この建物の屋上には入れないのではないだろうか。
「あっ、お待ちしていました」
そう思っていると警備員の一人がそんなことを言い、俺たちが困惑している間に、残りの警備員が屋上へのドアを開けてくれた。
「ありがとうございます」
「いえいえ、男性の安全を守るのも私たちの役目ですからね」
警備員の女性はそう言うと、俺たちが扉を追加したのを確認した後扉を閉めた。
そして、俺たちは屋上への小階段を登って、屋上への扉を開いた。するとタイミングよく上からヘリコプターが降りてきた。そして目の前のヘリポートに泊まり、ドアが開く。
「お兄ちゃん、乗るよ!」
「ああ」
そして俺たちはヘリポートに乗り、何とか危機から脱することに成功した。
――余談だが、碧がチャットを送っていた相手は柚香が作った俺用の緊急メッセージを発信するグループだったらしい。それをたまたま見ていた柚香やそのお付きの人たちが連携をしてヘリコプターを飛ばして助けに来てくれたらしい。
国家権力をそんなことに使っていいのかは分からないが、とにかく助けられたことに変わりはない。後で柚香とそれと彼女に連絡を入れてくれた碧にも何かお礼をしないとだな。
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