#82:青春?
サブタイトルはネタ切れ。
「またデートしてきたんだね、渉君」
日向さんと月夜さん、それから千佳姉の三人とデートが終わり、家に帰ると桜が笑いながらそう言ってきた。
「ああ、まぁ色々あったんだよ」
「お疲れ様。でも、この世界で生きていくならこんな物じゃないだろうし、困ったら何でも言ってよ?」
「うんうん、私たちが力になるからさ」
そう言うと、楓と桜は二人で俺のことを抱きしめてきた。うっすらと甘い香りが鼻を、柔らかい感触が体を刺激しており、さらには最愛の彼女たちが目前にいるということもあって、嬉しさも当然あったのだがそれよりも恥ずかしさが勝ってしまい目をそらした。
すると、桜が再び俺の真正面に移動して視界をさえぎるように立った。
「それでね、疲れてるところ悪いんだけど渉君明日いいかな?」
「明日……?」
疑問に思っている俺に、桜ではなく楓が答えた。
「ここ最近渉とデートする時間がなかったから、久しぶりに取りたいなぁって。彼女が増えてきてるから、あんまりわがままを言いたくはないんだけど」
「いや、俺も二人と行きたいから……その」
「やった決まりみたいだね、よかったね楓ちゃん」
「う、うん」
桜に言われ、頬をピンク色に染めて俯いてしまった。何だ、この可愛い生物。そんな楓はこの世界だけじゃなくて、たくさんの男子がいる世界でも俺のことを好きといってくれたんだもんな。そう思うだけで、嬉しくなり無性に彼女を抱きしめたくなり、そっと抱きしめた。
すると桜が急にせき込むような演技をした。
「いい雰囲気の所悪いんだけど、私も行くからね?あと碧ちゃんも行きたいって言ってたからよろしく」
「分かった」
桜はこの世界では有名なアイドルをやっている。俺と再開した後は仕事を少し減らしているみたいだが、それでも仕事のオファーがたくさん来るほどだ。光沙先輩と碧は特に桜のファンらしい。そんなこともあってか、碧は桜がこの家に来た際にすぐに彼女にも懐いた。
そして今では俺といる時以外では、桜と一緒にいることが多いらしい。桜も妹ができたみたいで、毎日一緒に遊んでいるのだそうだ。そんなこともあってか、今回のデートは碧も一緒に行くらしい。碧も碧で天使のようにかわいいからな。あんなに自分のことを想ってくれる可愛い妹とデートか……やべぇ、今からドキドキしてきた。膝の上にちょこんと座ってきたりすることはあるけど、実際に一緒に外にデートとして一緒に遊びに行ったことはほとんどない。それに、加えて先ほどあんなに可愛らしい様子でデートに誘おうとしていた楓も来るし、デートとか慣れたと思ったんだけどなぁ……
「悪い、ちょっと部屋に戻ってるわ」
「渉君、さては照れてるねぇ?」
「う、うるさい」
それと初恋の桜。勿論俺の彼女たちは全員大好きだし、愛しているけど特に可愛い三人といっても過言ではないからな。明日、嬉しさと恥ずかしさと幸せで死んでしまうかもしれない。
……いや、駄目だ。俺は全員幸せにするって、この世界で生きると決めたときに誓っただろう。大人数でデートすることもあるだろうし、これくらいで死んじゃうなんて言ってたら駄目だ。でも、彼女たちとデートできる。それが幸せなことなんだということだけは絶対に忘れてはいけない。たとえ、この世界の男が、誰一人そんなことを思っていなかったとしても。
「さてと、それじゃあ彼女たちのために何かするか」
俺はそう言うと明日のデートに向けて、部屋へと入った。
碧はちょくちょく出てくるけど、デートはなかったのでこんな展開に。
次回は、楓と桜と碧の三人とデートする予定です。