#71:同棲する彼女たち
修正しました。思った以上に投稿できていたみたいで、最後の数行だけでしたが投稿しなおしました。
「それじゃあ、家に帰ろうか」
「渉君の家は本当に広いからねー」
「流石渉ね」
「真里菜さんの荷物は既に運び込むように、他のメイドに手配させておきました」
五月がそう言うと、真里菜がぎょっとした目で彼女のことを見た。
「貴方メイドだったのかしら?全然そんな様子なかったのだけれど」
「あはは、まぁ最近メイド服着てないですからね。渉君が望むならいつでも着ますよ?」
彼女はそう言うと俺の方を見てきた。五月のメイド服姿か。見せてくれるというなら、是非見てみたい。俺がそう言うと、真里菜からはジト目を向けられ、五月は照れたように今度着ると言ってくれた。
「渉、帰るよ!」
俺たちがそんな話をしていると教室の外から俺を呼ぶ声がした。そちらの方向を見るとそこには、楓と由衣がいた。
「由衣も一緒なのか?」
「折角真里菜さんも来ることだし、集まらないってことで由衣も呼んだの」
「なるほどな」
「私もたまには渉君の家でのんびりしたいー」
「分かった」
ということで愛結先輩と光沙先輩それから柚香を除いた俺の彼女たちが泊まりに来るそうだ。愛結先輩は明日のデートを楽しみたいらしく、泊ってからよりも朝迎えに行きたいとのことだった。柚香は用事があって来れないそうだ。
「ひ、広いわね」
「真里菜の家とそれほど変わらないと思うけど」
「いや、まぁ私の家も普通の人に比べれば広いとは思うんだけど、これはね?」
「確か真里菜さんの家よりも広かったと思います」
五月がそんなことを言った。ある程度の大きさは知っているらしい。一体なのんためにと思ったが、深くは聞かないことにした。俺は柚香の手を引き、家に案内した。
「お兄ちゃん、おかえりなさい」
碧がそう言うと、俺の胸に飛び込んできた。俺はそんな彼女の頭を優しく手で撫でてあげた。すると彼女はとろけるような表情を浮かべていた。
「真里菜お姉ちゃんの部屋に案内しますね」
そう言うと碧は、真里菜の手を取って既に荷物が運び込まれている部屋へと入っていった。
あんなことがあった後ではあるのだが、真里菜は経った数時間で俺たちの家に適応しているというか、辛そうな表情を見せることはなくなった。とても楽しそうな表情をしている。気さくに話しかける桜がそういう雰囲気にさせているのだろうけど、真里菜が幸せそうにしているのを見て一安心した。
夜一人で自室にいると、楓が俺の部屋に入ってきた。
「彼女、だいぶ安定してきたね」
「楓、分かってたのか?」
「まぁ、渉の考えていることはなんとなくね。何年間私が貴方のことを見てきていると思ってるの?渉の考えていることくらいお見通しよ?」
「そっか」
「今回私は頼ってもらえなかったし、柚香さんとかに任せておけば大丈夫だと思ったから何もしなかったけど、私のことも頼ってよね?」
楓はそう言うと俺のことをじっと見つめた。やっぱり彼女はこう言う時にカッコよくカリスマ性に溢れていると思う。そんな彼女が俺に対して、そう言ってくれることはとても嬉しい。彼女がいなければ俺はこの世界で、こんなに幸せに生きることはできなかっただろうと思う。
「楓、ありがとな?」
「何よ、突然」
「いや、何でもない」
「……そう」
俺たちは俺の部屋のベッドに二人腰掛けながら、肩を寄せ合っていた。
「好きだ、大好きだ楓」
「知ってる。私も渉のことは大好きだよ。どうしたの急に?」
「いや、なんとなく」
理由はない。けど、なんとなくずっと支えてきてくれた彼女にそう言いたかっただけだ。そんな俺を見て楓はクスっと微笑ましいものを見るように笑った。
「それじゃあ、他のみんなには悪いけど今夜は二人きりで寝よっか?」
「ああ、そうだな」
俺たちはそう言うと、ベットの中に入った。ベットの中に入ると彼女は俺に顔を近づけてきた。その日は恥ずかしさで寝付くまでに時間がかかった。