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幼馴染と行くあべこべ世界  作者: ミルフィーユ
第三章:幸せな日々
70/124

#70:初心な真里菜

久しぶりに優君登場です。

「あっ、渉君久しぶり」


 教室に入ると、優が可愛らしい笑顔で俺のことを呼んだ。


「おはよう、優。もう体調は大丈夫なのか?」

「えっとね、良くなったって言ってた。激しい運動しなければ大丈夫って言ってたかな」

「渉君も優君に会えて嬉しそうだね」


 桜はそう言うと、俺たち二人を見た。


「本当、渉君?」

「まぁ、そうだな。同性の友人がいると、気が楽になることがあるからな」

「えっ、渉君そっちの気が……」

「ねえよ!?」


 優が首をこてんと可愛らしく傾げた。くっ、そんなに可愛らしい目でこっちを見ないでくれ。




「お、おはよう渉。あれ、中里君も。二人とも今日は早いのね」

「おはよう。僕は久々に渉君に会えると思ったら張り切りすぎちゃって」

「俺は別にいつもと変わらないぐらいだぞ。だよな、桜?」

「うん、私たちはいつも通りに出たよ?真里菜ちゃんがいつもより遅いんじゃない?」

「そうかしら……?」


 真里菜はそう言うと、教室にある時計を見た。


「確かに、来るのが遅かったみたいね」

「珍しいな。真里菜はいつも俺たちよりも早く来るっていうのに」

「真里菜ちゃん、ひょっとして渉に見せるためにオシャレ頑張ってきた?」

「ふえっ、そんなわけ……いや、そうよ」


 桜に指摘されて、真里菜は恥ずかしそうにそう言った。彼女は桜のからかいにはどうやらめっぽう弱いらしい。そんな俺たちを見て優が驚いていた。


「矢部さんって渉君と付き合ってましたっけ?」

「いえ、この間付き合ったばかりよ」

「そうそう二人とも……特に真里菜ちゃんは初心な状態だから、優しく見守ってあげてね」

「は、はい頑張ります」


 桜が優に変なことを吹き込んでいた。


「別に私はそんなに初心じゃないわ」

「渉君に見せるために、時間を忘れてまでオシャレに没頭していたのにどこが初心じゃないっていうの?」

「それは別にいいじゃない!」


 彼女はそう言うと、再び顔を真っ赤に染めた。


「幸せなんですね」

「え?ええまぁ、そうね。渉のおかげで色々助けられたのは事実ですし」


「真里菜さんはこれから同棲できるの楽しみにしているんですよね」


 少し遅れて教室に入ってきたであろう五月が、いつの間にか真里菜の後ろを取ってそう言っていた。真里菜は少し驚いた様子を見せるも、五月の方を向いた。


「いいじゃない。五月だって似たようなものでしょう?」

「住んでいるのは隣の家なので違います」

「渉君、何かあったの?」


 一人だけ、真里菜に何があったのかを知らない優が聞いた。俺は真里菜の方を向き、放してもいいかどうかを聞いた。彼女が頷いたので、俺は優に話した。


 真里菜が監禁されたこと。嫌いな男の物にされそうになったこと。それを俺が助けたことなど。

「ひ、酷い。矢部さん大丈夫だったの?」

「えええ、心配してくれてありがとね。でも、私は大丈夫。ヒーローが助けに来てくれたんですもの」


 そう言って真里菜は俺のことを見た。


 それから、今日から家に引っ越すことも話した。さすがに真里菜一人ではあの部屋は持て余してしまうだろう。家自体は、彼女の家の使いの人たちに整理させたりはするらしい。売ったりすることも、考えたらしいのだが後々のことを考えると手放すには惜しいだろうとのことだった。


 真里菜の同棲に一番反対したのは、光沙先輩だった。


「私も同棲してないのに、ずるい」


 だそうだ。事件にあった真里菜の気持ちを察してか、愛結先輩が彼女を何とかなだめてくれた。彼女には一番苦労を掛けているのかもしれない。ちなみに今度デートすることを約束させられた。光沙先輩はこれだけは譲れなかったらしい。愛結先輩は申し訳なさそうにしていたが、俺も二人とは出かけたいと思っていたので


「俺も二人と一緒に行きたい」


 と伝えておいた。

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