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幼馴染と行くあべこべ世界  作者: ミルフィーユ
第一章:学校編
7/124

#7:握手会

7話です

 それからしばらくすると担任の先生と思われる人が入ってきた。


「白川君、大丈夫でしたか?」

「あ、はい」


 北原と同じくショートカットだが、彼女とは違い落ち着いた雰囲気を醸し出していた。生徒たちから俺を独占するなとか早くホームルームを始めろといった声が上がった。先生はもう少し話したそうにしていたが、すぐに切り替えた。


「先生の話長かったね」


 ホームルームが終わると五月が俺の席の前に来て、そう言った。確かにホームルームは長く感じた。周りからの視線に耐えるという意味だが。


「委員長もそう思うよね」


 五月は俺の席の左に座っている女子に声をかけた。肩ぐらいまでの長さの髪、そして眼鏡をつけていて。本を読んでいてるその様子は、委員長をやっているとは思えないほどおとなしそうな人だ。委員長と呼ばれた女子は本を読むのを辞めてコチラを見た。


「そうかしら、別に長いとは感じなかったわね。それに、貴方途中からウトウトしてなかったかしら?」

「いやっ、そんなことないよぉ」


 五月は委員長に眠りかけていたことを指摘されると、かなり動揺していた。俺でも分かるぐらいだったので、本当に寝かかっていたのだろう。しかし、話に集中していたなら五月が何をしているのか見えない気がするんだけどな。きのせいだろうか。


「それと、白川君。記憶喪失後は初めてということになるのかしら」

「そうだね」

「五月、私のこと紹介してなかったのね……まぁいいわ。私の名前は矢部 真里菜よ。よろしくね、白川君」


 彼女はそう言うと俺に手を差し出してきた。俺は彼女と握手すると、教室が一瞬で騒ぎだした。


「委員長そこ私と代われー」

「王子ぃ」

「委員長と王子、いい」


 教室の半分ぐらいの女子生徒が倒れた。別に大したことはしてないと思うんだけどな。かろうじて倒れなかった女子たちが俺に対して、手を繋いでほしいと言ってきた。最初は断ろうと思ったのだが、断り切れず授業開始のチャイムが鳴る直前まで俺は女子たちと代わる代わる握手をしていた。何だこの状況。俺が手を握ると女子たちは一生この手を洗わないとか結構やばい発言をしていたので、流石に洗いなさいと言った。そして、鼻血を出したりする生徒もいて結構大変だった。そういえば矢部さんは俺と手を繋いだ時、何も反応しなかったな。俺が他の女子たちと話している間も少し笑っていたような。嵌められたというのか……まさかな。




「渉、一緒にご飯食べよ」

「やっほー、五月、渉君。さっきぶり!」


 昼休みの時間になると楓と由衣が俺たちの教室にやって来た。そういえば弁当を持ってきていなかったけれど、どうやら楓が持ってきてくれたらしい。


「元気してた!」

「うん!」


 手を握りあって何やら話している五月と由衣。元気してたって朝会ってたじゃん。何年ぶりの再会シーンだろうか。楓も若干引いているように見えた。


「そうだ!委員長も一緒に食べよ」

「私が?いいのかしら?」


 五月が委員長に言った。委員長は最初は遠慮していたのだが、五月の我がままに折れるような形で俺たちと食べることになった。


「真里菜はー渉のことどう思ってるのー?」

「私ですか?」

 

 実は矢部さんと由衣たちは初対面だったらしい。しかし、由衣のコミュ力は半端なく色々なことを聞いていた。矢部さんはその雰囲気についていけず、コチラに助けを求めてきたのだが、何となく助けないでおいた。別にさっきのは確証ないから、別だよ?きっと、うん。

しばらくすると五月もその話題に乗り出して、俺のことについて語りまくっている。


「渉、やっぱりクラスが違うと……その、寂しいもんだね」

「そうだな」

「これからも一緒に、食べよ?」


 不安そうに俺に聞いてくる楓はめちゃくちゃ可愛かった。やはりこの世界でも俺は幼馴染の彼女には勝てないようだ。俺がいいよと答えると楓は凄く幸せそうな表情を浮かべていた。


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