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幼馴染と行くあべこべ世界  作者: ミルフィーユ
第一章:学校編
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#6:あべこべ世界の学校

 お待たせしました、ようやく学校です。

「「「行ってきまーす!」」」


 翌朝、早めに俺たちを迎えに来た五月と、学校に向かった。何でこの学校にしたのかと聞いたら、電車通学なんて危なくてさせられないという理由らしい。どれだけ過保護なのだろうか。




「あれ、渉君じゃない?」

「渉様ー」

「天使降臨」


 俺が学校に近づくと、近くにいる女子生徒たちがひそひそと俺の方を見ながら話している……別に俺は、様付けされたり天使って呼ばれたりするほどの人間ではないと思うんだけどなぁ。五月が俺の左手と、楓が右手と手を繋いでいるんだけど、どうも先程から右手が強く握られている気がする。痛い、勘違いじゃないよな、これ?楓の方を向くと頬を膨らませて、いかにも拗ねているといった感じだ。この流れを毎日やるとでもいうのか?


「おっはよー、楓、五月、渉君!」

「おはよう、由衣ちゃん」


 突然楓の後ろから抱きつくようにして飛び込んだ。彼女は北原 由衣。事件前から俺たちの特に楓の親友だったらしく、五月とも仲が良かったらしい。俺たちが入院していた間は心配してはいたものの、会う勇気がなくずっと泣いていたらしい。記憶喪失ということは何故か広まっていて、彼女は自分からそう説明してくれた。


「あたしのことは由衣って呼んでね!そうそう、楓ちゃん、あたしたち同じクラスだし、案内してあげる、行こっ!」

「分かったわ。渉、先に行くね」

「おう、行ってこい」


 そう言うと、楓は由衣と一緒に先に校舎に入って行ってしまった。俺も五月に連れられて教室に入った。ちなみに、1年生は5クラス存在していて俺たちが4組、楓たちは1組に所属しているらしい。


 俺が4組に入ると、先に来ていた女子たちの視線が俺に集中した。


「おはよう、渉君」

「おはようございます」


 すると皆がおはようと言ってきた。俺は前の世界ではクラスの中心にいたわけではないからこうも視線を浴びるとなんか気恥ずかしい。


「おはよう」


 一応俺も笑顔で挨拶を返しておいた。するとみんな一瞬固まった。どうしたのだろうかと思った瞬間皆がおかしくなった。


「渉様が、挨拶を返してくださった」

「天使様」

「神よ!」

「私はこれだけで一日、学校に来たかいがあった」


 一体どうしたのだろうか、皆顔を真っ赤にしている。鼻血を出している娘や、俯いている娘、俺のことを神とか天使とか呼んでいる人がいた。俺が不思議に思っているとふと楓の言っていた言葉を思い出した。――この世界は男性が1人に対して女性が1000人の世界であるということを。母さんや碧、千佳姉ぇは俺が転生する前の俺とも当然生活していたわけだ。だから男に対する耐性がある程度ついているのだろう。この世界の男性は女性に対して優しい言葉をかける人はあまりいない、故に優しくされると男性への耐性がないためこのようになってしまうそうだ。


 この世界は男性を優遇している点がたくさんある。たとえば、この学校は男子が入ると奨学金が貰えるらしい。この他にも充実した制度があり、学校は男子を積極的に集めているらしい。その結果、この学年には俺を含め各クラスに2人ずつ男子がいるんだという。けど、男子はある程度出席すれば卒業できるのであまり学校に来ないらしい。


「渉の席はこっち、私の隣だよ!」


 俺は自分の席に座った。俺の右の席には五月が座っているのだが、前に後ろ、さらに左隣りの席の人はどんな人かは分からない。この世界に来てから学校に来るのは初めてだ。故にとても緊張している。さらに、周りは女子だらけ。男子と話してみたかったけど、時間を見るにこれから来る可能性は低そうだ。となると、俺は1人で過ごすことになるのか。


「おはようございます」

「おはよう」


 隣の席に座っている女子が話しかけてきた。彼女は矢部 真里菜。長い髪を後ろに纏めている。いわゆる、ポニーテールというやつだろう。このクラスの学級委員を務めているらしい。話してみると穏やかそうという印象を受けた。そのあと、少し彼女と話し込んでいると、五月に腕を引っ張られた。

「楓ちゃんがいないときぐらいはあたしともっと話して」


 目に涙を少し浮かばせて、上目遣いをしてきた。正直今の彼女は凄く可愛い。そんなことを言われたら断る理由もないし、そもそも断る意味もない。それからは、周りからの眼を気にしながらも、五月と矢部さんとチャイムがなるまで話した。

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