#56:エピローグ
前話で一章終了するといいましたが、エピローグつけたほうがいいかなぁと思い付け足しました。
2章どんな話にするかは考え中。要望とかありましたら、是非。参考にさせていただきます。
「渉様」
「ちょっ、柚香!?そんなにくっつかれると恥ずかしいんだけど」
「いいじゃありませんか。ようやく恋人になれたのですから、腕に抱き着いてても」
「まぁ、それはそうかもしれないけど」
俺の腕に抱き着いている彼女の名前は天王寺 柚香。先日俺の新たな恋人になった彼女であるのだが、実はこの国の王女である。あたりを見回しても元の世界とあまり変わらないような気がするが、違う国である。
「じゃあ反対側は私がもらうわね」
そう言うと、柚香が抱き着いていない反対側の腕に一人の少女が自身の腕を絡ませてきた。彼女の名前は一条楓――いや、今は白川楓か。彼女は元の世界の幼なじみであり、俺の彼女だ。付き合ったその日に転生するなんて思ってもみなかったけど、一応全盛からの彼女でありこんなことを言うのはあれだが、俺の最愛の人でもある。とは言え、好きじゃなかったらほかの子とは付き合ってなかったということだけ弁明させてもらいたい。
「朝からお暑いね、渉君?」
そう言って、にやにやとして俺たちのことを見つめているのは桃乃 桜だ。彼女は俺の初恋の相手だった。よく楓と3人で遊んでいたが、幼いころに事故で無くなってしまった。もう二度と会えないと思っていたんだけど、転生した世界に偶然彼女も転生しているらしく、晴れて再開した。聞けば、桜は当時俺のことが好きだったらしいのだが楓の気持ちにも気づいておりアプローチはしてこなかったそうだ。しかし、元の世界でも2人で彼女になることを計画していた上に、このような世界で再開し桜は俺の彼女となることになった。
たまに俺たちのことをからかってきたりもするんだけど、そんな彼女とのやり取りも楽しいと思っているのはここだけの秘密だ。
「ずるいです。私も渉君とイチャイチャしたいです」
「ずるいー。私もー」
彼女たちは五月と由衣だ。この世界の俺たち――元々の肉体に宿っていた人物の俺の幼馴染が五月、楓の親友が由衣だったらしい。転生当初は双方の違いでいろいろ大変だったが、今では恋人にまでなった。
「そうだそうだー!渉君を独占するなぁ!」
「光沙、私たちは最年長なんだから我慢しなさい」
「でも……でも」
「はいはい」
こんな会話をしているのが光沙先輩と愛結先輩だ。光沙先輩は男子生徒と張り合ったりするなどこの世界の女性の中では珍しい一面もある。一方で愛結先輩は俺たちが通う高校の生徒会長を務めている。どちらも学校中の女子から人気が高く、告白される回数も数多である。
そんな彼女たちも俺の恋人だ。最初は俺が愛結先輩に近づこうとしていると思ったのか、滅茶苦茶警戒されていたのだが、たまたま桜のライブに行くことがありそれで仲良くなった。話している内に彼女は俺が悪い奴じゃないと分かったようで、自身も惹かれたと後に話してくれた。今では、愛結先輩よりも俺のことが好きらしい。ちなみに、光沙先輩の言動が幼くなるのは昔からの癖らしく、ああなった時の彼女はしばらく放っておくしかないと、愛結先輩がため息を交えて話してくれた。
「渉がお姉ちゃんからどんどん離れていくよー」
「千佳お姉ちゃん、だらしないよ。しゃっきとして。それにお兄ちゃんは私たちの恋人になってくれたんだから離れることなんてないよ」
千佳と碧。この世界の俺の姉と妹だ。最初は姉妹と付き合うことに抵抗はあったのだが、彼女たちの本気の気持ちを受け取って付き合うことにした。俺自身、彼女たちを姉妹とも思っていたんだけど女の子としてもつねに意識させられていたと言うのも一つの原因だろう
。
俺は最初はこの世界に転生して不安な気持ちでいっぱいだった。しかし、元の世界にいたときには相手にもされないような美少女の彼女たちができて、毎日楽しく学校に通っている。前の世界とは違い、クラスでも外を歩いていても目立つというのが難点だがそんなことも忘れるくらい楽しく生きている。