#51:三連休 一日目
三連休編一日目の話です。
何気に先輩コンビメインの話出したの久しぶりな気がします。
4作品投稿企画2つ目になります。
「おまたせ、渉」
「少し遅くなってしまったかな?」
朝ごはんを食べて、準備をしてそろそろかなと思いリビングで待機していると玄関から二人の女性が入ってきた。光沙先輩と愛結先輩だ。
「相変わらずリムジンカーなんですね」
「当たり前でしょ。渉を獣たちから守るためだもん」
「ふふふ、それじゃあ早速行こうか」
俺は二人の先輩に、それぞれの手を引かれて光沙先輩の所有するリムジンに乗り込んだ。
「うわっ、近くないですか?」
「うふふ、いいじゃないか。なぁ、光沙」
「うん。私たちはもっとイチャイチャする権利があると思います!」
リムジンの中でそう言いながら、くっついてくれる二人。やっぱり二人とも凄い美人だよなぁ。そんなことを考えていると、突然顔が引き寄せられて柔らかい何かが当たった
「よしよし、私の可愛い渉ー」
「渉が可愛いのは否定しないが、ちょっとずるいんじゃないか?」
「いいじゃん。今は私が可愛がるのー」
「分かった分かった。じゃあ私はおとなしく見ていることにするよ」
愛結先輩がそう言うと光沙先輩がより力を強く入れた。光沙先輩は独占欲が強いような気がする。目的地に着くまでずっと光沙先輩に抱きつかれたので、愛結先輩が間に入ることが出来ず拗ねてしまい、二人で宥めることになったのはまた別の話だ。
「ここは水族館ですか?」
「イルカとか見たいらしいぞ。光沙は前から三人で来たいと言っていたからな」
愛結先輩がそう言うと、光沙先輩は嬉しそうに笑った。どうやら水族館に来たかったのは本当のようだ。
「それじゃあ、さっそく見て回ろうよ!」
「はいはい。時間はあるんだ、あまり急いじゃだめだぞ、光沙」
「はーい」
こうしてみると、愛結先輩と光沙先輩は親子って感じがする。水族館ではイルカを見たり、ペンギンを見たりアザラシを見たりした。終始光沙先輩ははしゃいでおり、とっても楽しそうだった。そんな彼女の様子を見て、俺と愛結先輩は微笑ましいものを見る様な目で光沙先輩のことを見た。
「うわぁ、凄い可愛い」
ペンギンのショーを見ていると、光沙先輩がそう言った。残念ながらイルカのショーは時間的に行っていなかったんだけど、代わりにペンギンのショーに参加したんだけど、結果的に楽しめているからいいか。
そう思っていると、ひっそりと愛結先輩が手を出してきた。俺はにっこりとほほ笑むと彼女の手を取った。一瞬驚いたような表情をした彼女だったが、直ぐにうれしそうな表情を浮かべ俺の方にもたれかかってきた。
「大好きだぞっ、渉」
「……愛結先輩」
囁くように小さな声で言われてびっくりした。彼女の顔を見ると、悪戯が成功した子供のような表情でニヤニヤと笑ってきた。やられっぱなしは悔しいな。何か、彼女を恥ずかしがらせることは出来ないだろうか。
やっぱりこれしかないか。俺はそう思い、両手で彼女の肩をつかんだ。突然のことに愛結先輩は驚いた表情で見てきた。俺は構わず、顔を近づけ彼女の唇にそっとキスをした。
「あー、ずるいっ!私にもしてください」
「光沙先輩、見てたんですか!?」
「うん、というかそんだけ右でイチャイチャされてたら流石に気になるもん」
光沙先輩は頬を膨らませて、不機嫌さをアピールしながらそう言ってきた。少し怒っているんだろうけど、その表情は可愛らしいものだった。
「分かりましたよ、光沙先輩」
「いいの!?」
「はい。俺も光沙先輩としたいですし」
「うん、じゃあ来て」
光沙先輩がそう言うと、俺は彼女にもキスをした。その後再び愛結先輩にも迫られ、それから交互に迫られたせいでショーに集中することは出来ず結局ショーが終わるまでキスを交互に繰り返していた。観客の視線は既にショーから俺たちへと移っていたのだが、そんなことは知る由もなかった。