#50:由衣
由衣回です。
ついに渉と由衣の関係に決着がの時が!?(書いてみたかっただけ)
いつも誤字報告ありがとうございます。とても助かっています。
「由衣、話がある」
「うん、どうしたの?」
俺がそう言うと、彼女はいつになくまじめな表情で俺のことを見つめてきた。心なしか焦っているようにも見えるんだけど、どうしたんだろうか?まぁ、いいや俺は俺の気持ちを伝えるだけだ。
「俺が最初にこの世界に来た時、由衣のこと前の人格の楓の親友くらいしか思っていなかった。それでも一緒に生活してみて、由衣と一緒に居ると幸せだって感じたんだ」
ここから先は少し恥ずかしいんだけど、彼女にきちんと俺の気持ちを伝えるためにも絶対伝えきる。
「今日のデートでそれは確信した。由衣には分からなかったかもしれないけど、俺は今日一日ずっとドキドキしていた。楓がいたからっていうのもあるけど、いつもの比じゃなかった」
「さっきキスした時、あれは完全に俺がしたかっただけだ。それだけ、君のことが好きなんだ!よかったら、俺と付き合ってください」
「うん、私も渉のこと大好きー」
そう言うと由衣は俺に跳び込むようにして抱き付いてきた。正直言って滅茶苦茶かわいい。すると彼女は何を思ったのか、近くで俺の告白を見ていた楓の手を取り、俺と楓の体を密着させた。
「これからもずっと一緒だからねー」
「ええ、そうね」
「そうだな」
彼女は俺たちを抱き寄せるとそう言った。そんな俺たちを祝福するように、夜空に浮かぶ真っ白い月が俺たちのことを照らしていた。
「おや、上手くいったようだね」
「渉とデート……うぅ羨ましい」
家に帰ると、愛結先輩と光沙先輩が出迎えてくれた。どうやらこの間の運動会の褒美の話を聞いて、由衣にアタックをさせようとしていたらしい。俺が告白しなかったら由衣の方からするつもりだったのだとか。
「全くこっちは一日中暴走する光沙を止めるので精一杯だったんだぞ」
「だって……私もデート行きたかったんだもん」
そう言ってへこたれる光沙先輩。確かに、彼女とはあまりデートに出かけていない。そういえば来週三連休があったよな。
「それじゃあ、来週の三連休にデートに行かない?」
「いいの?」
「うん。最近光沙とデート行ってなかったしね」
「やったー!愛結も一緒に行こっ」
「そうだね。折角だから私も2人と一緒に行くことにするよ」
愛結先輩がそう言うと、光沙先輩は滅茶苦茶喜んでいた。彼女たちとは一日目に行くことになった。二日目は碧と桜と天王寺家に行くのだ。というのも前に碧の話を美柚ちゃんにしたところ会ってみたいと言っており、碧に話すとこちらも会いたいとのことだったので碧もつれて行くことになった。三日目の予定は決めていないけど、千佳姉と過ごす予定だ。
「皆とデート楽しみだなぁ。えっと、プランはこうして」
「さっきから何を一人でしゃべっているのかしら?あなたが美少年じゃなかったら完全に変質者よ」
学校でそのプランをノートにひとり呟きながら作業していたため桜曰く、委員長に白い眼で見られていたらしいのだが俺がそのことに気づくことはなかった。
そして一週間という月日はあっという間に過ぎ去り、いよいよ待ちに待った三連休がやって来た。