#49:楓と由衣とデート
デートの続きです。次回50話は展開的に節目になりそうです。
節目より一話早いですが、簡単な挨拶。
今後何を書いていくかは、決まっているのもあり、決まってないこともあり。こんな感じですが、これからも更新していきます。これからも、応援のほどよろしくお願いします。
「それじゃあ次は何をしよっか?」
2人を結構揶揄えたし、結構満足している。次何しようかと二人に聞くと、由衣がしばらく考えた後に答えた。
「んー。私は服とか見に行きたい。まぁ渉のだけどねー」
「あら、いいじゃない。そうしましょう」
「え」
そんな間抜けな声が俺から漏れた。由衣の提案に、先程まで恥ずかしがって禄に会話も交わしていなかった楓がニヤニヤとしながらそう言った。あれ、ひょっとしてこれはまずいんじゃ。
「二人とも、何か違うところに行きませんか?」
「いーや」
「問答無用よ」
俺は二人に引き連れられて、服屋のところまで連れていかれた。先程からメイドさんたちが見えるけど、微笑ましいものを見るようで助けに入ってくれる様子はない。
そして俺はというと、彼女たちの着せ替え人形にさせられていた。店内には試着スペースがあるのだが、どうやらこの店にはVIP様の場所が存在しており俺は何故かそこにずっと入っていた。そして、彼女たちが持ってくる服を着させられていた。
「なんでメイド服なの?」
「いいじゃない。私たちを散々辱めてくれた罰よ」
「うん。渉も、同じ気持ち味わうべきだよー」
そう言うとあっという間に服を脱がされて、俺はメイド服を着させられた。いや、どうして俺が反応するよりも早く着替えさせられているのだろうか。
「これいいじゃない」
「うん。これで奉仕してほしいー。あと執事服もついでに欲しいかもー」
「そうね、後で取り寄せしてみるわ」
いや、ちょっと待って。ついでって何?この服買うこと前提なのか!?さらにどうやら執事服まで買う予定とのことだ。またいつか着させられるんだろうなぁ。
「次はこれー」
そう言うと由衣がまた新しい服を持ってきた。
「って、ちょっと待て水着!?」
「うん、そうだよー?」
「季節的には少し早いけれど、まぁ確かにいいかもしれないわね。渉ならほっとくと、露出多いの選びそうだし」
「ねー」
「そんなに信用ないのかよ、俺は」
突然水着を持ってきた由衣に驚いた。服を選ぶとは聞いていたのだが、水着を選ぶとは思ってもおらず、異性に選ぶのを見られるのは恥ずかしいから、違う服にしようと頼んだのだが当然俺の話を聞いてもらえるわけもなく、楓さんも賛成の御様子だ。
「というより、渉はまだ前の世界の感覚が完全に抜けきっていないでしょう?この世界で海パンだけとかだったら、まず間違いなく連れ去られるわよ」
「あ、そういえばそうか」
「やっぱりね。まぁ、早めに気づけて良かったわ」
「うん。渉の裸を大勢に見せたくないもんねー」
メイド服と執事服それから楓と由衣が気に入った服を数点選んだ。さらに水着は二着も買わされた。露出が多めの奴と少なめの奴だ。前者は前世に来ていたものとほぼ同じで、上半身を隠すものがない。本来は後者だけを購入しようと考えていた。楓ともそう話し合っていたのだが、ふと彼女が何かを思い出したようだ。すると、俺の方を見てニヤリと笑った。
「そういえばね、渉?」
「なんだ?」
「実は柚香さんが私たちをプリベートビーチに招待してくれるそうなのよ。だからやっぱり上半身裸の水着も必要だと思うの」
「そうなのー?じゃあ、やっぱり必要だねー」
楓がそう言うと、由衣は目を輝かせて俺のことを見てきた。由衣にそんな目で見つめられて、断ることは俺にはできなかった。上半身裸の――前世の男性水着のようなデザインはこの店には無いようだったので、後日オーダーメイドで執事服と共に発注するそうだった。別にそこまでしなくてもよかったんだけど、楓さんの目がガチだったので俺は何も言えなかった。
そんなこんなでデートが終わった。なんだかんだ言って、最後は楓に遊ばれているような気もしたけど、二人が楽しかったのであればまぁいいだろう。楓だけじゃなくて由衣と一緒にいるこの時間はとても楽しかった。
由衣が俺のことをどう思っているかは分からない。服屋に居た時はムードのかけらもなかったけど、そっちの方が楽しかった。きっと、俺たちはそんな感じの方がお互い気楽でいいのかもしれない。
けれど服屋に着く前に俺がしたキスに対して抵抗しないあたり、悪くは思っていないだろう。いつまでも逃げるつもりはない。もともと今日彼女に俺の気持ちを伝える予定だったしね。俺は深呼吸をすると、由衣に声をかけた。
次回、由衣に告白できるのか……!?
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