#36:先輩コンビの恋愛事情
愛結先輩と光沙先輩メインのお話です。
最後恋愛小説の短編の終わらせ方ってこんな感じなのかなぁ…と思って書いてみたり。
短編は一つしか書いたことないので、わかりませんが。
五月からのお説教というか、心配というか、嫉妬と言うか何かよく分からないお話をしたと、俺たちは由衣の家を出た。
「渉君、好きです」
「え、えっと……恥ずかしいんだけど」
由衣の家を出てからというもの、五月は俺とずっと腕を組んでいた。周囲から五月のことを睨むような視線がある。好意的な、舐めまわすような視線にはある程度は慣れた――いや、正確にいえば慣れてしまったのだが、嫉妬心からくる睨むような視線にはあまり慣れていない。さらに抱きつかれることで、女子特有の甘い香りが鼻を刺激するため何とも言えない気分になる。唯一の救いは、彼女自身押し当てているつもりなのだろうが、小さなそれではあまり楓たちほど、感触がないことだ。彼女に言ったら、怒られそうなので、口が裂けても言えないんだけど。
「渉君は私の立派な幼馴染だとアピールする為です」
そういうことじゃないんだけどなぁ。意外と気にも留めていたないのかもしれない。メイドさんたちに言いたいんだけど、さっきからなんでちょうど俺にだけは見える位置でナンパを撃退しているんだよ。五月にも見せて、この状況どうにかさせてくれ。俺は一人頭を悩ませるのだった。
「あれ、渉君じゃないかい?」
「あ、本当だ。やっほー渉!」
家にもう少しで着きそうと言ったタイミングで、目の前にいる2人組の女子から声をかけられた。
「愛結先輩に、光沙先輩。どうしたんですか?」
「2人してて暇しててね……光沙がどうしても渉の家に行きたいと言うんで、ついてきたんだよ」
「渉君、遊びに行ってもいい?」
「別にかまいませんよ」
母さんも別に、彼女たちを家に上げることは反対していなかったので大丈夫だろう。千佳姉と碧は……まぁ、後で何とかしよう。
「それより、いつまで渉に抱き付いているのかな?五月さん?」
「むぅ、別にいいじゃないですか」
「今は私と愛結の番なんだけど?」
そう言うと、反対側の俺の腕を絡めるように抱き付いてきた。くっ、五月と違って腕に柔らかい感触がある。俺の彼女の中だと一番胸が豊かだと、桜と楓がニヤニヤとしながら教えてくれた。何でそんなこと知ってるのだろうか?
そんなことよりも、さっきから2人は口論に夢中で全然進んでないんだけど。どうしようかと思っていると、それに見かねた愛結先輩が助け舟を出してくれた。
「2人とも、渉に迷惑かけちゃだめだよ?私は気にしないから、早く渉の家に行きましょう」
「そ、そうね。よしじゃあ早く行くわよ、五月ちゃん!」
「ええ、待ってください~」
そう言うと光沙先輩は走って先に行ってしまい、泣く泣くと言った感じで五月が追いかけていった。
「光沙先輩、凄い子供っぽいですね」
「ふふっ、昔から彼女はあんな娘だよ。私もそうだけど、私以上に彼女は男の人に怯えているからね。まぁ、決して表に出したりはしないんだけどね。だから、光沙のことも大事にしてやってくれよ」
愛結先輩は笑いながらそう言ってきた。
「何言ってるんですか、先輩。当たり前ですよ。勿論、愛結先輩だって俺の大事な彼女なんですから……一生大事にしますよ?」
俺がそう言うと、彼女は目を大きく見開いて驚いていた。しかし、直ぐにふっと笑った。どうしたのだろうかと思って彼女の顔を覗き込むと、唇に柔らかいものが当たった。
「まったく、君はずるいな。こんなに優しくしてくれる男子他にはいないよ?2人ともいなくなっちゃったし、君の家まで手を繋いで行こっか?」
「はい」
余裕そうに見えるけど、会長もガチガチに緊張しているのが伝わってくる。しかし彼女の表情は凄く明るいものだった。しかし、照れているのか、全く距離を詰めようとこなかった。仕方ないなぁと思いつつも、俺はそっと彼女の肩に触れるぐらいの距離まで寄り添った。
次回は姉妹の話か学校での話のどちらかを書くと思います。