#29:学校
29話目です。久々の委員長。彼女は実は○〇な性格で!?
「それにしても本当にここはいいなぁ。メイドさんもいるし、家族のみんなもいる。何より渉君とずっと一緒でしょ。ずるいよ、楓ちゃん」
「別に私だけが悪いってわけじゃないと思うのだけれど」
まぁ、その通りだな。これはばっかりはどうしようもないことだし。そう思っていたんだ。この時までは。
「じゃあ、私もここに住む、いいでしょ?」
いやいやいや、楓と同じ家に住んでるってだけで毎日ドキドキなのに、ここに桜まで加わったら俺の心臓がおかしくなりそう。
「うーん、私的には構わないんだけれど……一応お母さんに聞いてみてからにするわね」
「分かった」
俺のいないところでどんどん話が大きくなっている気がする。桜がこの家に住むかどうかについてだが、何とあっさりと許可が出てしまった。いや、嬉しいんだよ!?けど、準備がまだ万全じゃないと言いますか。
母さんは俺たちのことを知っているので切り離すのは可愛そうだと思ったらしい。確かに、ようやく再会したのにまた桜だけ独りぼっちじゃあ桜には悪いもんな。あとは碧が桜の大ファンであること。そして、何より俺の頼みだからだそうだ。一番最初に関しては感謝してるし、2つ目の理由も理解はできる。けど、最後のはなんだ。俺は特に何も言っていないというか、楓がやたらと俺の名前を出して言ってただけなんだけどなぁ。多分、楓はこうなることを全部分かった上で交渉したんだろうなぁ。母さんが俺に本当かどうか聞いてきたとき、凄い眼で俺のこと見てきたもん。
「あ、そうそう。桜ちゃんも2人と同じ高校通ったらどう?」
「是非!」
「分かった、任せて。ただ、一週間ぐらいは時間がかかっちゃうかもしれないけど、それでもいい?」
「勿論です」
桜は嬉しそうに俺たちのことを見てきた。そっか、気にしてなかったけど桜とは学校が別なのか……ってええ!?学校本気で変えるのかよ。今までの友達とかはどうするんだって聞きたいけど、俺は聞けなかった。俺自身も桜との高校生活を楽しみたい。純粋にそう思ったからである。
桜は今日は仕事が入っているらしく、学校には行かないのだそうだ。しかし、俺たちはさぼるわけにも行かないので通常通りに登校した。
「へぇ、あのSA•KU•RAがこの学校に転入してくるのね」
「まだ秘密事項だから言わないでくれよ?」
「勿論よ。というか私に話し相手なんかいないし」
俺は学校に登校すると、委員長と桜の話をした。委員長とは昼飯を一緒に食べる仲だし、一応伝えておこうかなと思って言った。一緒に住むとまでは言わなかったんだけど、とりあえず彼女は俺の友達と言うことにしておいた。
「そうだ、後でサイン貰わないと」
「サイン?」
「そうよ、私こう見えても彼女のファンなの。小説読むのも好きだけど、彼女の音楽を聞くのも結構好きなのよ」
「へぇ、意外だな」
すると委員長は少し頬を膨らませた。
「悪い?私みたいな暗くて委員長という肩書ぐらいしか、持ってない女が可愛らしい趣味を持ってるのよ」
「いや、別に暗いとか特には思ってないけど」
「まぁ、貴方ならそう言うと思ってたわ。思わせぶりは得意ですものね」
うっ、いや別に思わせぶりなんかしてないような。何でかわからないんだけど委員長の言葉が痛い。つか、委員長ってこんなキャラだったっけ?
「委員長、そういえば何の本読んでいるんだ?」
「これ?別に面白いものじゃないと思うんだけど」
「それでも委員長が呼んでる本なら読んでみたいな」
「分かったわ……そういう所が勘違いさせるって言ってるのよ?」
「何か言ったか?」
「何でもないわよ。それよりもコチラにいらっしゃい、読んであげるわ」
俺は委員長に本を読みきかせしてもらった。まぁ読み聞かせにしては本の内容が難しすぎたけどな。
ちょっとだけ設定を変更しました。委員長は慣れた相手には少し毒舌になってしまうようです。……照れてるけど。