#28:幼馴染トーク
文章中に幼なじみと表記されているところがありますが、わざとです。五月や由衣と違って、前の世界からの付き合いなので、幼っぽくするために平仮名を混ぜています。
サブタイトル?それは平仮名だとダサい気が"(-""-)"
凄い疲れた。というのもあの後、2人と遊んでいたんだけど、滅茶苦茶密着してきて全く集中できなかった。
「もう何だか疲れた」
「お兄ちゃん、碧のこと意識しちゃった?」
「お姉ちゃんのこともずっと見てたもんね」
「いや……はい、見てました」
言い返せない。2人の胸元やら顔やらをずっと見ていた。いくら姉妹でもこんなに美人に囲まれて意識しないほうがおかしい。2人は今もなお俺にくっついている。
「渉、いる?」
部屋がノックされると楓が入ってきた。俺たちのことを見ると若干困ったような表情をしたようにも見えたが、すぐにいつもの表情になった。
「渉、話終わったからコッチ来て」
俺は楓に呼ばれたので、碧の部屋から出た。あのままあそこに居たらどうなってたか。
「大変だったわね」
「……まぁな」
こういう時楓の存在は本当にありがたい。俺が困っているのを察して恐らく助けに来てくれたのだろう。こいつは人一倍人の気持ちを分かるやつだからなぁ。もしかしたら、碧と千佳姉の俺に対する思いも知っててチャンスを上げたのかもしれない。流石にそれは考えすぎかな。
その後みんなと夕食を食べて、お開きと言うことになった。皆は普通に帰ったのだが、桜は一緒に泊まるそうだ。
「アイドルとか大丈夫なのか、桜?」
「大丈夫だよ。どこのアイドルもみんな彼氏募集中だしね。そもそもこの世界でそんなことやっている事務所ないと思うよ?」
「そう言われると……確かにそうだな」
「うん!だからね、今日は渉君と楓ちゃんと3人で一緒に寝たいなぁって、駄目かな?」
――へ?
「え、3人!?」
「私は構わないわよ?というか私からもお願いしたいわ」
「ちょっと楓まで?」
「いいじゃない減るもんじゃないし。昔はよく3人で寝てたじゃない」
「まぁそうだけどさ」
昔って言っても結構前のことだしなぁ。あの時はお互いまだ子供で全く意識してなかったけど、今の2人とって考えるとやっぱり恥ずかしいものがある。
「はい、決まり!じゃあ、私たちはお風呂行こっ!」
「そうね……渉も早く入りなさい」
「わ、分かった」
もう、何も言うまい。というか2人もここまで一緒に寝たいと言っているし、今は2人とも俺の彼女なんだ。こういうことには徐々に慣れていかないといけない。お風呂に入っている間、俺はそんなことばかり考えていた。
「入るわよ、渉」
「お待たせ、渉君」
俺がパジャマに着替えてから20分ぐらい経ち、いつ来るのだろうかと思っている頃に2人が入ってきた。楓のパジャマ姿はこの世界に来てから何度もあるのだが、桜のパジャマ姿は見慣れないため、何というか、むずがゆさを感じる。
「桜、可愛いよ」
「本当に!?」
「わたしは?」
「勿論楓も可愛いよ」
2人とも顔を真っ赤にして、俯いてしまった。やっぱり2人とも恥ずかしさはあったんだな。
「じゃあ、そろそろ寝るか?」
「折角だから、布団の中でいろんな話をしようよ!」
「いいわね、あっちでの渉の話とこっちに来てからの渉の話をたっぷりとしてあげるわ」
え、いやそれは恥ずかしいからやめてくれまじで。俺の話はいいんだ。
「俺は桜がこの世界に来てからの話を聞いてみたいな」
「確かに、私も気になるわね」
「うーん、そうだね。この世界に来てからと言っても、今までと特別違うと感じたこともないんだけどなぁ」
ファンタジーの世界ってわけでもないしな。この世界での特徴と言えば、男女あべこべなことぐらいだし。ただ一つだけ聞いてみたいことがある。
「アイドルになった理由とかはどうだ?」
「あー。それは、単純にスカウトされたからよ。そもそも私、親いないことになってて色々大変だったんだよ。そんな時にアイドルの話が来たら、まぁね?お金もなかったし、もともと歌うのは好きだったからね」
「そうだな」
「というか大変な思いをしていたのね」
「気にしないで、今もだから一人暮らししてるの。もう慣れたから。でも時々寂しいと思うこともあるんだけどね。だから今2人と一緒に居れてとても楽しい」
桜は何だかんだ寂しかったんだろうな。だから、これからは寂しさなんて感じさせない。桜に幼なじみとして、恋人として、家族としての温もりを与えてあげないとだな。
「てことで、楓ちゃん渉君を抱きながら寝るよ」
「ええ」
「ちょっと!?」
うっ、2人の柔らかい部分が当たって。結局この日俺は中々寝付くことが出来なかった。
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