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幼馴染と行くあべこべ世界  作者: ミルフィーユ
第一章:学校編
25/124

#25:再会


「帰るわよ、渉。どうせナンパしに来たんでしょ?」


 光沙先輩はそう言っていた。確かにその可能性もあるんだけど、このタイミングを見るに桜からで間違いないだろう。


「分かりました、案内してください」

「渉⁉」

「は、はい。こちらです」


 俺がそう言うと、光沙先輩は驚いた表情を浮かべた。スタッフの人は俺が案内を頼んだ、あるいは桜からの頼みごとを果たせたということからかホッとした表情を浮かべていた。


「光沙先輩、あまり相手を威嚇しすぎないでください」

「渉、本当にいいの?」

「うん、大丈夫だよ」


 滅茶苦茶心配そうに俺のことを見てくれていたんだけど、俺は桜に会うって決めたんだ。光沙先輩と繋いでいた手を離して歩いた。彼女も気づいたらしく、「あっ」と小さな声で言っていたが、聞こえないふりをした。久しぶりにあう桜に対して申し訳が付かないから。桜になんて言えばいいんだろう。謝ればいいのだろうか、それとも再会できた喜びを伝えればいいのか。様々な思いが俺の中で交差している内にどうやら桜がいる部屋についてしまった。


「では、私はこちらで。失礼します」

「ありがとうございました」


 そう言うと、スタッフの人はいなくなった。


「本当にSA•KU•RAの部屋だぁ、会えるのかな……駄目駄目、私がしっかりとしないと」


 桜にこれから会える――そう思っているのか凄くわくわくしているように見えたが直ぐに表情を戻していた。


 俺が扉をノックして部屋に入るとそこには目に涙を浮かべた桜がいた。


「わ、渉君……だよね?良かった無事だったんだ!」

「久しぶり桜……でもちょっと落ち着いて」


 そう言うと桜は俺に抱き着いてきた。本当に桜だったんだなぁ。桜は久しぶりに俺に会えたことで興奮していた。俺が落ち着くように言うと罰が悪そうに少し距離をとった。


「渉……SA•KU•RAと知り合いだったの⁉」

 横にいた光沙先輩は俺に対してそう言ってきた。確かに知り合いなんだけど、この世界に置ける元の俺の知り合いではない。どうやって答えたらいいんだろうか。


「そうだよ、桜は俺の幼馴染だ」


 これが限界な気がする。転生のことは無闇に話していい事ではないんじゃないかと思っている。


「あれ、でも何で渉君がこの世界にいるの?」

「ああ、俺も死んだからね」

「ええっ⁉」


 桜が滅茶苦茶驚いていた。しかし、この部屋にいるのは俺たち2人だけじゃない。俺たちは光沙先輩がいることを完全に忘れていたのだ。


「どういうことかな、渉?」


 光沙先輩は少し怒ったように俺たちにそう聞いてきた。




「ふぅん、転生ねえ。確かにそれなら周りに余り言えないか。というか由衣や愛結に言うのが先なんじゃないの?」

「それはすっかり忘れてて」

「ねぇ、渉君。そのカエデってもしかしなくても楓ちゃん?」

「ああ」

「なるほど……つまり、渉君は今楓ちゃんと付き合ってるってことかぁ」


 そう言うと桜は何かを考えていた。


「じゃあ、今から渉の家行ってもいい?楓ちゃんと久しぶりに話したいから」

「分かった、でも仕事は大丈夫なのか?」

「うん、そっちは今日終わりだし。連絡しておけば大丈夫だと思うよ」


 そう言うと桜はスマホを取り出して、誰かに連絡をとっていた。しばらく経って電話切ると「じゃあ、行こう」と言った。


「それにしても、急に現れるなんてずるいじゃん」

「桜、ちゃんと歌聞いてたぜ。あの歌……」

「うん、全部渉君のことを思って書いた歌だもん」


 そう言うと、桜は俺の頬に唇を付けた。え?


「本当はあの時言えたら良かったんだけどね……私はずっと、いや今でも渉君が好き。だから私と付き合ってください」

「なっ⁉」


 桜が俺に告白したことに対して、光沙先輩は凄く驚いたような表情を浮かべていた。


「うん、これから宜しくね桜!」


 断るはずがない――だって桜は俺の初恋だから。


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