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幼馴染と行くあべこべ世界  作者: ミルフィーユ
第一章:学校編
24/124

#24:SA•KU•RA

24話目、SA•KU•RAのライブです。

歌詞に一応意味を含ませてみたんですけど、あまりうまく書けなかった気がする……


「みんな~今日は私のライブに来てくれてありがとー!」


 その女の子が掛け声みたいなものを上げた。


「おおーー!」

「サクラちゃん頑張れー!」


 SA•KU•RAがステージ上から叫ぶとあちこちから声援の嵐だ。


「いよいよ始まるわよ!」


 俺に一言だけそう言うと、彼女は再びステージの方を見た。やっぱりこないだの学校での性格からじゃ想像できないよなぁ。まぁいいかと思ってステージの方を見たのだが、ほんの一瞬SA•KU•RAと目が合った気がした。思わず胸が高鳴った気がした。けど、なんだろう好きと言うよりは懐かしいって感覚を覚えた気がする。そんなことを考えているとステージが暗くなった。


「それではまずはいつもの曲から『届かないこの気持ち』」


 そう言うと彼女は歌い始めた。何だろう全体的にしんみりとした歌詞だった。届いていたはずなのに別れは突然やって来たみたいなことを歌っていたな。この曲を聞いているとあれ、なんだろ目に涙が。おかしいな、人生で泣いたことなんてそんなにないはずなのに。


「どうしたの渉?何で泣いてるの⁉」


 隣に座っていた光沙先輩が俺の泣き声に反応してなのか、コチラをみて滅茶苦茶慌てていた。


「いや、なんというか。この曲を聞いてたら急に涙が出てきて」

「そっか……」


 そう言うと、光沙先輩は俺のことを優しく抱きしめてくれた。しかし、この曲が終わるまで俺の涙が止まることはなかった。次の曲も悲しい曲だったんだけど、そこで泣くことはなかった。三曲目以降は明るい曲が続いた。でもアイドルって明るい曲のイメージが強いんだけどね。何でだろうか。


「それじゃあ、今日は前から作ってた新曲を発表するよー!」

「ええ⁉」

「いいよー!」


 へぇ新曲発表するんだ。光沙先輩がさっきから俺の肩を滅茶苦茶揺らしてくる。というか多分はしゃいでるんだろうなぁ。この人ひょっとして学校外だと滅茶苦茶子供っぽいの……か?


「それでは聞いてください『一つの希望』!」


 すると音声が流れ始めた。あれこの音楽、どこか聞いたことあるような。


「突然君と別~れて~さよなら言えなくて。君と別れて見知ら~ぬ場所での生活~。周りのすべてが怖い~不安だけど。君が見守って~くれてると~信じてた~。君のぬくもり~また感じ~たくて。」


 あれ、これって間違いない気がする。この歌詞は全く聞いたこともない。けど、この音程だけは聞き覚えがある。


「そして~光を見つけた~。希望を、見つ~けた~~~~」


 そう言うとSA•KU•RA――桜と目があった。目が合うと彼女はニッコリと笑ってくれた。


「この後は握手会なんだけど、そのチケットは外れちゃったんだよね……」

「光沙先輩……」


 光沙先輩は今日始めて悲しそうな表情を浮かべた。俺がどうにかしようと思えば多分可能なんだろうけどなぁ。こういうことで男性の特権をあまり使いたくはない。俺は落ち込んでいる先輩をただ黙って慰めた。


「ううん、もう大丈夫よ。ごめんね変なところ見せちゃって」

「いえ、大丈夫ですよ。それよりも他の観客も帰っちゃってますし、そろそろ帰りましょうよ、光沙先輩」

「う、うん」


 先輩の手を掴み、彼女を立ち上がらせる。


「あ、あの。そ、そのっ!」

「うわっ⁉びっくりしたぁ!」

「すすす、すみません」


 どうやらここのスタッフの人らしい。そういえば、ライブが終わったとに俺の周りに集まってきた観客を遠ざけていたなぁ。アイドル追っかけている人でも、目の前に男性がいればこうなってしまうらしい。だからこの世界でアイドルのライブを直接見に行く男性はほぼいないと後日俺は知った。


「それで何の用?」


 光沙先輩がスタッフの女性を睨みつけるように言った。先輩の様子がさっきまでとはまるでちがうんだけど。


「SA•KU•RAさんからの伝言で今から楽屋に来てほしいとのことです。2人きりで話したいことがあるそうです」


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