#17:愛結先輩の告白
遊園地、後編です。
新キャラ2人構想浮かんでいるけれど、どっちを出すべきか(-_-;)
そして、悪魔の列車は俺たちを乗せて走り出した。まぁ、ジェットコースターのことなのだが、俺たち……特に楓は先程から俺の方に目を向けてくる。よっぽど前を見たくないらしい。
「いよいよだよー!五月ちゃん!」
「はい!とっても楽しみです!!」
後ろからは愉快な声が聞こえてくる。2人はこういうの好きそうだもんな。
「いよいよだな、渉君!」
「そうですね」
愛結先輩はというと結構平気そうだった。というか、ここまで怯えている楓のほうがおかしいのか。
そしてジェットコースターが一番上まで登りきった。前に広がる水色に輝く空が突然として消え去り、遊園地の地面へと視界が切り替わる。
「いやぁあ!」
楓さん早くないかい?まだ急激に下降してるだけでしょう。ふぅ、やっと一番下まで来たか。って、ここから登るなんて聞いてないんですけど。止めてくれ!
ジェットコースターはそんな俺の願いを聞いてくれるわけもなく、一回転した。
「はぁ、心臓に悪い」
「本当にその通りね」
気がつけばジェットコースターは終わっていたらしい。愛結一先輩によるとジェットコースターが一回転した直後に、俺は気絶したらしい。
「楓も渉も大丈夫ー?」
「ごめんなさい、苦手なら辞めたんですけど」
由衣と五月が俺の肩を持ちながら、心配してくれた。ちなみに楓は愛結先輩の肩を借りていた。
「みんな、楽しみにしてたんだろ?それに楽しかったならいいじゃん!」
「渉ー」
「渉君」
そう言うと、五月と由衣が抱きついてきた。由衣の大きな胸が押し付けられて、思わず赤面してしまった気がする。五月さんについては可愛そうなので触れないでおいてあげようかな。
「まったく、君ってやつは……やっぱり私は渉君のこと」
愛結先輩が小声で何かを言っていた。
「どうしたんですか愛結先輩?」
「ふふっ、何でもないぞ」
「そうですか?」
疑問に思ったので聞いてみたけれど、何でもないらしい。笑顔で返されたので、俺は首を傾げた。
それから、俺たちは色々な乗り物に乗った。メリーゴーランドに乗るときは、誰と乗るか争わされ、結局楓と乗ることになった。他にも乗り、そろそろ帰る時間になった。
「最後にあれ乗ろうよー!」
「いいですね!遊園地と言ったらやっぱり最後はこれですね」
「そうだな、せっかくだからみんなで乗ろうか。2人とも乗れるかい?」
「勿論!」
「大丈夫です」
俺たちの視界の先には、デートの最後に必ず行くスポットがあった。そう、観覧車だ。頂点で告白すると幸せになれるという迷信もあったりする。今日はデートじゃないんだけど、まぁ俺もせっかく来たからには乗りたい。
「今日一日楽しかったねー!」
「そうだな、みんな今日はありがとう」
「愛結先輩、今更じゃないですか?」
「そうね、先輩であっても友達と言うことには変わりないじゃないです。また遊びましょうね、先輩」
「ああ、よろしく頼むよ」
美少女4人の会話をぼうっとしながら聞いていた。確かに今日一日は楽しかった。遊園地が?いや、違うな。男の俺とも気軽に話してくれる、楓と結衣と五月。それに、ぎこちないながらもしっかりと気遣ってくれる愛結先輩。サクラ、俺たちはやっと信頼できる友達ができたよ。
「あ、渉。そろそろ頂上だよー!」
俺たちは外の景色を眺めた。頂上に着いたであろうその瞬間に空の暗闇が突然明るくなった。花火が上がった。
「凄い、綺麗」
「そうだな、とっても綺麗だ」
楓と俺は外の景色を見ながら、言った。すると、俺の右肩を叩かれた。
「渉君、私――島森 愛結は一条 楓君のことが好きだ!私と付き合ってくれないか?」
愛結先輩からの突然の告白に、思わず戸惑ってしまった。愛結先輩は俺の中でたよれる先輩で、魅力的な女性だ。だけど、だからこそ思う楓という彼女がいながら、愛結先輩を愛してあげることはできるのか。
「渉、貴方はどうしたいの?私は別に異を唱えるつもりはないわ」
俺がしたいこと……そんなの、愛結先輩と一緒にいたいに決まっている。
「愛結先輩」
「む、無理を言ってすまなk」
「俺と付き合ってください!」
俺は自分から愛結先輩に付き合ってほしいと言った。
「ああ」
愛結先輩は涙を流しながらも喜んでくれた。
「おめでとうございます、先輩」
「先輩はよせ、私のことは愛結って呼んでくれ。同じ渉君の彼女なんだから」
「そうです……そうね、よろしく愛結」
「ああ」
楓が愛結先輩のことを認めないと言うかと思っていたけど、愛結先輩を認めてくれたらしい。
「おめでとうございます!愛結先輩」
「おめでとー!」
「ありがとう、2人とも」
五月と由衣は愛結先輩に祝福の言葉をかけていた。愛結先輩は振り返って彼女たちに感謝していた。手助けありがとうとか言っていたから、2人は愛結先輩が俺に告白させるために色々と動いていたのかもしれないな。
「これからよろしくな、渉君」
「ああ……っ」
再び俺の方を向いた愛結先輩は俺にそう言ってきた。勿論と言う意味を込めて返事をしようとしたのだが、その言葉は途中で遮られた。俺の唇に彼女の唇で封じられたことによって。
この作品が面白いと感じた方次も見たいよって思った方はブックマーク•評価をお願いします。
感想や誤字の報告もお待ちしております。