#123:ウエディングドレスと春香の告白
明日の12時に投稿します。
そしていよいよこの時がやってきた。大々的に行うと暴動が起きかねないので、身内だけで行うらしい。とは言え録画して、後で公開する時が来るかもしれないとは言っていたけど。
そう何を隠そう、今日は俺の……俺たちの結婚式なのだ。俺は準備を進めると、部屋の扉がノックされた。
「はーい」
「し、失礼するね渉」
そこにはウエディングドレスを纏い、更には可愛らしいお化粧をしている楓の姿があった。
「……楓」
「な、何よ?」
「可愛い。綺麗だ」
「ちょっ!?も、もうどっちかはっきりしてよ」
「え、どっちもだから選べないよ。可愛いし、綺麗だ」
「そ、そっか。ありがと」
可愛すぎるだろ。この世界に転生する前、楓に告白した時にはあまり深く考えたことはなかった。俺は彼女を抱き寄せて、顔を近づけた。楓も俺が何をしようとしているのか察したのか目をつぶる。ちょうどそのタイミングで、部屋の扉が開いた。
そこには楓と同じく、ウエディングドレスを着た桜が立っていた。彼女も楓と同じく、いつもも当然可愛くて綺麗だけど、何倍にも可愛さと綺麗さが引き立っていた。
「あっ。もう二人とも何してるの!?結婚式の時までキスはとっておきなよ」
「さ、桜!?」
「驚きすぎでしょ。渉君、楓ちゃん、皆も準備できたからそろそろ式を始めるって」
桜は、俺たち手を差し出すと、「ほら行こっ?」と可愛らしく言った。式場に入る直前、俺は花嫁たちがいる大気質へと足を踏み入れた。
「渉様、カッコイイです」
「うん、ありがとう」
「わ、渉どのぉ」
「え。春香!?」
俺はウエディングドレスを着ていた春香を見て驚いた。彼女は少しの間、海外で修行を重ねていたらしく、中々会えていなかった。結婚式に来てくれたということは嬉しかったんだけど……何故か彼女はウエディングドレスを着ていたのだ。
「……柚香さん?」
「ふふふ。お母様と美柚が滑りこんだと聞きましたので、私も春香を滑りこませました。春香には幸せになってほしいですし、渉様も意識していらっしゃるような感じでしたので」
「ま、まぁ。それはそうだけど」
春香も修行に行く前に、デートなどを重ねていた。しかし告白するタイミングがないまま、結婚式の日を迎えてしまったというわけだ。
「わ、渉殿。拙者は渉殿のことが好きでござる。護衛として生きてきたので、可愛らしい部分は他の娘にk瑠アベルと少ないカモでござるけど、精一杯頑張るでござる」
春香は真剣な表情を浮かべてそう言った。俺はそんな彼女のことを優しく抱きしめた。
「春香は春香だよ。俺がテロ組織に攫われてピンチだった時に、最前線で戦いに来てくれたでしょ?それに、心配しなくても春香は充分に可愛いよ。今の春香が大好きだから。だから……付き合ったりはできなかったけど、俺と結婚してくれないかな?」
「は、はいでござる」
俺の言葉に涙を流しながら、春香は笑顔を浮かべてそう言った。
「ふふ、良かったですね春香さん」
「五月殿……ありがとうでござる」
春香は泣きじゃくりながら、五月に抱きついていた。主人は違えど同じ護衛で、クラスメイト。色々と共通点の多い二人だ。後で聞いた話なんだけど、春香は五月に色々とオシャレとかそういったことを教わっていたらしい。
そんな春香が告白を成功させた場面を間近で見ていたので、とても嬉しいのだろう。
「ああーもう我慢できない。渉が可愛いのが悪いんだからね!?」
そう言うと、突然光沙先輩……光沙が俺に抱きついてきた。
「まったく、変わらないね。皆そろそろ準備はできているかな?」
愛結が苦笑をしながらそう言った。俺たちは立ち上がって式場へと向かったのだった。