#122:成長した美柚ちゃんの告白
後2話で完結です。
出来れば三月中に終わらせたいと思っています。
「お兄様、お兄様。明日は私たちの結婚式ですね」
「勿論私もよぉ。本当に受け入れてもらえるとは思っていなかったんだけどねぇ。……うふふ、嬉しいわぁ」
俺に嬉しそうにそう語りかけるのは、美柚ちゃんと柚穂さんの二人だ。そう、明日いよいよ二人を含めた俺の最愛の彼女たちとの結婚式を挙げることになっていた。
高校を卒業してすぐに、俺は王家で色々なことを学んだ。柚穂さんに色々と教わりながらも、美柚ちゃんと色々なことを学んだ。他にも王城で暮らしていく上で大事なことなどは、楓たちとも一緒に学んだ。
途中で柚穂さんや美柚ちゃんに誘惑されながらも、俺は色々なことを吸収していった。美柚ちゃんと柚穂さんはチャンスとばかりに、様々な誘惑を仕掛けてきた。天真爛漫だった彼女も気づけば、色々な知識を覚えて俺を誘惑してくるようになった。そしてそれに柚穂さんも乗っかるようにして、俺のことを誘惑してきた。
ある日、俺は美柚ちゃんの部屋に呼びだされた。どうしたんだろうと思って彼女の部屋に行くと、そこにはドレス姿の美柚ちゃんの姿があった。
「どうですか、お兄様」
「うん、似合っている」
俺が似合っていると言うと、嬉しそうな表情を見せた。
「えへへ。もう私も高校生になるんですよ」
「そっか。美柚ちゃんも大きくなったんだね」
「はい。そしてもう大人なんです」
美柚ちゃんは俺に顔を近づけてそう言った。その瞳には何かを期待するような目を浮かべていた。
「お兄様。好きです。初めて会ったあの日から、私はずっとお慕いしています」
美柚ちゃんは微笑みながらそう言った。俺が高校を卒業してからの二年間、彼女は自分を磨くため、必死に努力をしていた。学校の勉強は勿論、王族としての勉強も卒なくこなしていった。昔は庭園などに逃げていた彼女だけど、最近はそんな様子もなくなっていたのは、成長を感じるとともに、少し寂しかったりする。
美柚ちゃんの気持ちには高校生の頃から気づいていたけど、大きくなったら変わるんじゃないかとも思い、返事はしていなかったけど、どうやら俺のことをずっと想ってくれていたらしい。
「もう立派に成長しました。お兄様の好みに近づけるように頑張りました……私じゃ駄目……ですか?」
美柚ちゃん……美柚は不安そうに俺のことを見つめてきた。ここまで言われて返事をキチンと返さない訳にはいかないだろう。美柚とはもう既に何度もデートに行った。はっきり言おう、俺は彼女のことが好きだ。初めて会った時は、手のかかる妹の様にしか想えなかった。けれど今の彼女は……
「大好きだよ。俺でよかったら付き合ってくれ、美柚」
俺がそう言うと、美柚は笑顔を見せた。
「はい!喜んで」
すると突然部屋の扉が開いた。
「あらあら。おめでとう美柚」
「お、お母様!?」
「柚穂さん!?」
どうやら美柚と俺の告白は、柚穂さんに聞かれていたらしい。彼女は俺の後ろに立つと、抱きしめてきた。
「ねえ……好きよ」
「柚穂さん」
「確かに貴方よりも年は取っているし、子供だって二人もいるわぁ。でも夫がいたわけじゃないし、貴方を想う気持ちは誰にも負けていないと思うわぁ」
柚穂さんは俺に抱きつきながら、そう言った。高校を卒業してから二年ほど経ったけど、彼女は更に色気を増して、誘惑するようになってきた。
「ふふ、いいんじゃないですか?お母様、こう見えても寂しがり屋ですし。お母様だって一人の乙女です。お兄様が嫌じゃなかったら、付き合ってあげてください」
「嫌なんて思ってない!」
「ふふふ、決まりですね」
俺の言葉に、美柚は目を細めてそう言った。そして次の瞬間、俺は柚穂さんに唇を奪われた。そして顔を離すと彼女は、俺のことを真っすぐ見つめた。
「好きよ。付き合ってほしいわ」
「はい」
「あ。お兄様と両思いに慣れたのに、お母様にキスを先にされましたー!私もお兄様とキスをします」
美柚ちゃんはそう言うと、俺にキスをしてきた。こうして俺は美柚ちゃんと、そしてなし崩し的に柚穂さんと付き合うことになった。