#121:静香と恵理の告白
「こんにちは、渉君」
「こんにちはーなのです」
「お、いらっしゃい二人とも」
日向さんと静香さんが遊びに来た。今日は姉さんも含めて、四人で家でのんびりするらしい。
「……最初に言っておくわ。私は渉君が好き。男だからって傲慢になって女性をものとして扱ったりすることもなく、私たちに優しく接してくれるから。顔もカッコイイし、何より弟の様に可愛くてずっと愛でたいから。……でも私のことを愛してほしい。この気持ちは変わらないわ」
「あ!静香、ずるいなのです!」
「恵理、少し黙っていなさい。それで……どうかな渉君?」
一世一代の静香さんの告白に、思わず胸が高鳴る。初めは姉さんの親友としての存在だったけど、気が付けば一緒に遊びに行くような仲になり、目の前でこうして俺に真っすぐと告白をしていた。
男性だからじゃない。俺――白川 渉としてを見てくれているんだ。そんなことを思っていると突然日向さんが、俺たちの間に入ってきた。
「静香ばかりずるい!私だって渉君のことが好きなのです!優しいし、一緒にいて楽しいし、笑顔だし、一緒にいれば何でも楽しめるし……ずっと見ていたいし。とにかく大好きなのです!」
日向さんは珍しく、顔を真っ赤に染めながら、真っすぐ俺のことを見てそう言った。
「本当はね、私は静香と千佳の三人で暮らしたいと思ってたなのです。出会ってそんなに経っているわけじゃなかったけど、二人と一緒にいるととっても楽しいなのですから」
「……恵理」
「でも今は渉君と一緒にいられることが何よりの楽しみなのです!」
「ええ、そうね。私も渉君と……可能ならばずっと一緒にいたいわよ」
二人は俺の返事をじっと待っていた。本当に好きじゃなければ、命がけで俺を組織から救おうとしたりはしないだろう。さらに、こうやって真っすぐに気持ちを伝えたりはせず、拉致したりする可能性だってある。正直に言って静香さんは美人だと思うし、恵理さんは可愛らしい人だと思っている。もう俺の中での答えは出ているようなものだ。
「はい。俺でよければ、喜んで」
俺がそう言うと、二人は嬉しそうな表情を浮かべてそう言った。
「おめでとう二人とも」
「……姉さん」
「……千佳」
突然柱の裏から千佳姉が出てきた。彼女は笑みを浮かべて俺たちに近寄ってきた。
「千佳もありがとう。認めてくれて、嬉しかったわ」
「別に。二人の悲しむ顔は見たくなかったからね。最も、私は手助けしただけで最後に告白する勇気を出したのは二人だけどね」
姉さんは笑顔を浮かべてそう言った。そして20分だけ私は用事があるから、三人でごゆっくりと言って、この場から離れた。恐らく姉さんなりに気を利かしてくれたのだろう。
「渉君……それでいいかしら?キキキ、キスというものをしてみたいんだけど。嫌だったら嫌って言ってください。無理にするつもりはありませんわ」
お姉さんっぽくそう言っている静香さんだけど、震えている。俺に拒絶されたらどうしようと思っているんだろう。俺は静香さんの前に立つと、彼女の腰に手を回して抱きしめた。
「そんなことない。大好きですよ、静香さん」
俺はそう言うと、彼女の唇をそっと奪った。彼女は少しだけ驚いていたけど、幸せそうな表情をしていた。この世界に来て、俺もだいぶ変わったのかな。前だったらこんなに大胆なことはできなかった気がするけど、色々な女の子たちと恋をして、変わったのかもしれないな。二人ともこういったことには慣れていないからこそ、俺がしっかりとリードしてあげなくちゃいけない。
「恵理さんもキスしよっか?」
「はい、なのです!」
俺は恵理さんともキスをすることになった。
次回か次々回くらいに最終回の予定です。