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幼馴染と行くあべこべ世界  作者: ミルフィーユ
アフターストーリー
117/124

#117:鬼ごっこ(前編)

「それでは最初の鬼は、じゃんけんで決めましょうか」


 柚香の提案に、俺たちは同意してじゃんけんをした。負けた人が鬼で、勝った人から抜けていくという方法を取った。最終的に最後まで負け続けたのは春香で、鬼は彼女になった。


「それではいくつ数えればいいでござるか?」

「10数える間に逃げるのが一般的だけど、逃げる場所がこの中庭だと流石に少なきがするんだよなぁ」


 春香の疑問に俺は答えた。


「渉の言うとおりだね。流石に10秒じゃ逃げ切れないから、30秒とかでどうかな?」

「うん。私もそれで賛成―」

「拙者も構わないでござる」


 鬼である春香も同意してくれたので、逃げる時間は30秒ということになった。




 こういう時って、鬼は少し遠くに移動するんだよな。そう思った俺は、春香が待機している場所のすぐ近くに隠れた。ここなら見つからないだろう。そう思っている間にも春香はカウントダウンを始めた。




 おかしい、こんなはずではなかったんだ。春香はカウントダウンを終えると振り返り、辺りを見渡すと俺のいる草むらの茂みにゆっくりと近づいてきた。走るわけでもなかったので、最初は偶然かと思ったけど、一直線にこちらに近づいてきた。


「渉殿見つけたでござる」


 その言葉を聞いた直後、彼女は俺に気づいていることを悟った。そして、その場からダッシュで逃げ出した。しかしながら、その直後春香に後ろから抱きつかれた。


「渉殿。つ、捕まえたでござる」


 振り返ると、何故か頬を赤らめている春香の姿があった。


「あーバレないと思ったんだけどなぁ。見えてたのか?」

「完全に見えてはなかったでござるけど、気配で察知したでござる」

「それでこっちまで一直線に来たわけか」

「……あれ、それって逃げ切るの不可能じゃ」

「ふふん、日頃の特訓の成果でござる」


 春香はそう言うと、自慢するように言った。で、春香さんはいつ離してくれるんでしょうか。


「春香。そろそろ数え始めるぞ」

「あっ。今は鬼ごっこの途中でござったな。それでは渉殿、拙者は失礼するでござる」


 そう言うと、春香は俺から腕を離した。そして俺はmっをふさぎながらカウントダウンを始めた。




 まさか二番手に鬼になるとは思ってもみなかった俺は、少々焦った様子で中庭を移動していた。色々な場所を用心深く見ながら歩いていたんだけど、皆がいそうな気配が全くない。すると突然、美柚ちゃんが迷路の場所の入口から顔をひょっこりと出した。


「お兄様ー!鬼さんこちらーです」


 美柚ちゃんは手を振りながら俺を挑発するようにそう言ってきた。俺がダッシュで彼女のいる方まで走ると、彼女は草木が生い茂る迷路のような場所へと入っていった。俺も彼女を追いかけるようにして迷路の中へと入った。




 迷路の中は入り組んでいる様子で、人の気配は全くと言っていいほどなかった。美柚ちゃんは何処に入り込んだのだろうか。実際はどうかわからないけど、先程から同じような所を移動しているようにさえ思えてくる。


「お兄さん、こっちですよー!」


 すると突然、美柚ちゃんの声がした。声がする方向に真っすぐ行ってみると、そこは行き止まりだった。引き返そうと思った瞬間、右に道があることに気づいた。俺は恐る恐るそこに近づくと、しゃがみこんでいる楓の姿があった。どうやら彼女もこの迷路に隠れていたらしい。


「楓。捕まえた」

「なっ!?ば、バレないと思ったのにー」


 そう言う楓は悔しそうな表情を浮かべていた。


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