#114:ご褒美
お久しぶりです。リアルも落ち着いてきたので、投稿します。
「まぁ大体こんな所でしょうか。私の部屋にたくさん娯楽がありすぎても、楽しむ時間が有限にあるというわけではないので」
「そっか」
本当なら柚香も、俺たちの様に自由に遊んだりしたいのだろう。柚香は優秀だって柚穂さんも言っていた。
「どうかしましたか?」
「いや、何でもない」
俺はそう言うと、柚香に断って彼女のベッドの上に腰掛けた。そして彼女を手招きした。
「え、えっといいのですか?」
「いいも何もここは柚香のベッドでしょ?それに俺がただ柚香とイチャイチャしたいと思っただけだから」
「ふふっ、ありがとうございます」
柚香はそう言うと、俺の隣に腰掛けた。楓が反対側に座りたそうにしていたんだけど、由衣に少し待つように言われて、渋々部屋の中の物を見ることにしていた。
「えっと、肩をお借りしても良いでしょうか?」
「うん、構わないよ」
「ありがとうございます。し、失礼します」
柚香はそう言うと、俺の左肩に少しずつ体を預けてきた。俺は左腕を彼女の腰辺りを通して、彼女を抱きかかえてさらに俺と密着させるようにした。
「ななな、渉様!?」
柚香がビックリしたような様子を見せた。俺はそんな彼女に対して、クスッと微笑み、優しく子供をあやす様に頭を撫でた。ふと前を見ると、じーっとこちらを見つめる二つの視線を感じた。
「偶には全力で休んで、甘えてもらいたいなって」
「わ、渉様ー。大好きです。お慕いしています」
「うん、知ってる。ありがとね」
俺がそう言うと、柚香は凄く嬉しそうな表情を浮かべた。
「これだけで一週間は絶好調で生きられますよ」
「そっか、それは良かった。……でも無茶はし過ぎちゃだめだからね?」
「勿論です。私が倒れたら渉様は悲しみますか?」
「そりゃあ、勿論。だって大切な彼女だからね」
俺がそう言うと、柚香は頬を真っ赤に染めた。そして滅茶苦茶恥ずかしかったのか、一瞬で顔を背けてしまった。しかし一瞬だけ見えたその表情は、とても嬉しそうなものだった。
「私はもう大丈夫です」
「そうか?」
「いえ、本当はもう少し甘えていたいですけど……楓さんたちが可愛そうなので、続きは彼女たちにしてあげてください」
柚香がそう言うと、楓は「いいの!?」と言って、俺たちの所まで来た。
「はい。そもそも楓さんが認めてくれたから、私が渉様と付き合えているのですから」
「そ、それは……まぁ、渉のことを一途に思ってくれてるから。私の大切な人を真っすぐな心で好きって言っているから」
楓は恥ずかしそうに、そう言った。そんな彼女を見て、由衣がニヤニヤしながら楓の頬を人差し指で突いていた。
「そ、それじゃあ渉。隣座るね?」
「失礼するよー」
そう言うと、二人は俺の両隣にそれぞれ腰掛けた。そして俺に肩を預けてくる。楓に頼まれたので、俺は彼女たちの腰に再び手を回す。両腕を使っているので、頭を撫でるk十はできないんだけど。
「渉」
「な、何かえd……っ」
楓に名前を呼ばれ、彼女の方を向いて返事をしている最中、俺の口が封じられた。楓が俺の唇にキスをしていた。深い方のキスではないんだけど、彼女は離さないと言わんばかりに、しばらくキスを続けていた。
「むっ、ずるいー。私もー」
ようやく楓から解放された後、今度は由衣ともキスをすることになった。彼女もやはり少しの間ずっとキスをし続けてきた。
「そんなこと私はしていませんでしたよね!?」
「いや、俺も想定外……」
「ううう、えいっ」
柚香はそう言うと、真正面から俺の唇にキスをしてきた。彼女だけ大人のキスをしてきたのを楓と由衣が知ることはなかった。