#112:柚穂さんの誘惑
今年もよろしくお願いいたします。
美柚ちゃんとベッドで横になっていると、いつの間にか彼女は眠ってしまったようだ。俺は眠っている美柚ちゃんの頭を優しくなでた。すると、彼女は嬉しそうな表情をしてくれた。
これは邪魔をしてはいけないなと思いつつ、俺は部屋を出た。皆は別にお城の中を探索しているんだけど、一人で出歩かないほうがいいからなーと考えていた。
すると、正面から柚穂さんが歩いてきていた。彼女は俺を見かけると、こちらにゆっくりと歩いてきた。そして、急に抱きついてきた。
「あらぁ、一人なのかしらぁ?」
「柚穂さん!?」
「ふふふ、これはチャンスねぇ~。もしよかったら着いてきてくれないかいらぁ」
いつもの柚香や美柚ちゃん達を見ている母親の視線ではなく、誘惑するような妖艶な視線で俺のことを凝視してくる。光沙先輩をも凌駕する、大きくて柔らかなふくらみが押し付けられる。
「は、はい」
結果として誘惑に負けた俺は、柚穂さんの部屋へと連れ込まれるのだった。
「あ、あの柚穂さん?」
「何かしらぁ?」
「距離が近くないですか?」
俺は今、柚穂さんの部屋のベッドの上に座らされていた。肩を寄せ合って身を寄せている様子は、恋人のようにしか見えないだろう。
「柚穂さんって柚香のお母さんですよね……その」
「ふふふ、そうよぉ。でも、別に昔夫がいたとかそう言うことはないから安心してほしいわぁ」
柚穂さんはそう言うと、頬にキスをしてきた。そ、そうなんだ。……って、柚穂さんは柚香のお母さんだ。俺と柚穂さんが彼女とかの関係になったら、彼女も複雑なおっもいをしてしまうだろう。
そんなことを考えていると、柚穂さんがしょんぼりとした表情を浮かべた。
「それとも、もう子供を産んだ、こんなおばさんだと駄目かしら?」
「いや、そんなことはないです!」
俺は声を荒げるようにしてそう言った。すると柚穂さんは驚いた様な表情を浮かべた。
「柚穂さんは、柚香や美柚ちゃんを運だとは思えないくらい、若々しくて美しい女性です」
俺がそう言うと、彼女は嬉しそうな表情を浮かべてくれた。しかし、すぐに舌なめずりをすると俺の体を掴んでベッドに寝かせてきた。そして、彼女は俺にのしかかってきた。
そのまま顔を俺の耳に当てた。そして息を吹きかけた後、俺に囁いてきた。
「美柚とは中途半端なところで終わっちゃったんでしょう?お姉さんが渉君に大人の魅力を教えてあげるわよぉ」
そう言うと、彼女は俺の唇にキスをしてきた。
「それじゃあそろそろ良いわよねぇ?」
柚穂さんは目をギラギラさせて、俺に迫ってきた。こ、これは覚悟を機縁るしかないのか。でも俺は楓と。
「ちょっと待ったー!」
「あ、危ないです」
その瞬間、部屋のドアが開かれて楓と柚香が入ってきた。柚香はすぐに柚穂さんと俺を引き離した。そして楓は俺に抱きついてきた。
「渉、大丈夫だった?」
「だ、大丈夫だけど」
楓はそう言うとより一層俺のことを強く抱きしめてきた。
「お母様?」
「ゆ、柚香。これは、その~」
「渉様をからかわないでと言いましたよね?」
「ふふっ、ごめんなさい。彼が可愛らしくって」
柚穂さんはそう言うと、俺の方を見つめた。
「でも、私渉君に本気で惚れちゃったわぁ。だってあんなことを言ってくれる男の人って初めてだし」
柚穂さんがそう言うと、柚香と楓の視線が俺に向いた。しばらく柚穂さんの目の前で、彼女に何を言ったのかを問い詰められることになった。結局、美柚ちゃんと由衣が部屋に来るまでこの騒動は続いた。