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幼馴染と行くあべこべ世界  作者: ミルフィーユ
アフターストーリー
110/124

#110:柚穂と美柚と再会

101話からアフターストーリー何ですけど、章に追加するのを忘れていました。


「渉様、お待ちしておりましたわ」


 車から降りると、そこには柚香が待っていてくれていた。


「お母様と美柚も、渉様に会えるのを楽しみにしていましたよ?」

「そっかそっか。柚穂さんも美柚ちゃんに会うのも久しぶりだからなぁ」

「二人も渉様が攫われてしまった時は、凄く焦っていましたから。まぁ、お母様は兵士たちと接するときは一切、そんなそぶりを見せてはいませんでしたけど」


 女王として国を引っ張っていく以上、不安な様子はたとえ兵士であったとしても、なるべく見せるべきではないと考えているらしい。トップが不安そうにしていたら、下の方までそれが伝わってしまいかねないからな。




「渉君、無事だったのねぇ」


 柚穂さんはそう言うと、俺のことを抱きしめてきた。彼女の持つ、大きくて柔らかい部分に体が潰されそうになる。


「お母様!渉様が苦しそうにしておりますわ。少し離れてくださいまし」

「ん、もう。折角可愛らしい、渉君と会えたから彼の成分を補給していたっていうのに」


 柚香は俺が少し苦しそうにしていたのを察してくれたのか、そう言って柚穂さんを俺から離した。苦しかったものから解放されて安心していると、突然部屋の扉が開いた。


「お兄様―」

「うおっと!?」


 扉の向こう側から、美柚ちゃんが走ってきて俺に飛びついてきた。俺は慌てつつも、彼女をしっかりとキャッチした。


「お兄様、私心配しました」


 美柚ちゃんは、目に涙を浮かべながら、腕を俺の腰に回してきた。


「美柚は特に心配していましたからね。私が勉強をしていい子にしていれば、必ず戻ってくるって言ったら、普段は嫌そうにする勉強も、涙を浮かべながら黙々としていましたから」


 柚穂さんはそう言うと、微笑みながら美柚ちゃんの頭を撫でていた。


「そうです。お兄様は私のお婿さんになるんです!だから、あんまり心配かけないでください」

「なっ!?ちょっと待ってください。何故いつの間に美柚と渉様が、結婚することになっているんですか?」


 美柚ちゃんの言葉を聞いた柚香が、焦ったようにそう言った。


「え?前に絶対、私とも結婚してもらうって言ったからです」

「それは貴方が勝手に言ったことですわ」

「ふふん。だとしても、お兄様は一年以内には、私の魅力に落ちて、私とも結婚の約束をしてくれるって信じてるから、何も変わらないよ」


 美柚ちゃんはそう言うと、俺のことを抱きしめていた力を、より一層強くした。彼女はまだ幼い子供とあって、それほど力は強くないので苦しくはないけど、可愛らしい女の子に好きと言われて抱きつかれて、全くドキドキしないほうがおかしいってものだ。


「……そうですね。渉様」

「どうかしましたか、秋穂さん」


 秋穂さんは何かを考える仕草を見せた後、俺を呼んだ。


「美柚とデートしてやってあげてくれませんか?」

「美柚ちゃんとですか?」

「はい。柚香もそうですけど、この娘には王族として必要なことを教えてきたので、あまり楽しいことをさせてあげられていないんです。勉強も嫌々とは言え、しっかりとこなしていますし、偶にはご褒美があってもいいんじゃないかと思いまして」

「お、お母様!良いんですか」


 柚穂さんの話を聞いていた美柚ちゃんは、驚きながらも嬉しそうにそう言った。


「それは渉様次第ですけど」

「お兄様。その……駄目ですか?」


 美柚ちゃんは振り返って、目に涙を浮かべながら、少し不安げに俺のことを見上げるようにしてそう言った。上目づかいで見上げられた俺は、断ることもできず、首を黙って縦に振った。


「……むぅ」

「ちょっと落ち着いて―。デートならまた誘ってくれると思うよー」


 後で聞いていた話だが、影で拗ねていた楓を由衣が宥めてくれていたらしい。


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