ネクロマンサー【死霊遣い】
ある日の放課後のこと。凛は叡二といつものように他愛もない話をしていた。
「おい叡二、今日これから空いてる?」
「おう、俺はいつも暇だがw」
「よっしゃ、アルスマグナ行こうぜ!」
「おう、いいぜ!」
凛と叡二はアルスマグナの開始時期からずっとタッグを組んでいて、なかなかの実力の持ち主だ。
叡二の固有魔力はネクロマンス【死霊術】
死霊などを呼び出し、自分や仲間の魔力を載せて戦うというものだ。凛の固有魔力、【夜の王】とは相性が良く、並の相手では崩すことは出来ないとこの辺では少し有名だ。2人はアルスマグナにダイブし、タッグバトル用空間に転移した。数秒後、相手側が現れた。高校生くらいのカップルのようだ。双方準備を終え、戦闘用空間に飛ばされた。今回のマップは森林。木々が生い茂るだけの単純かつ複雑なマップだ。タッグバトルの場合200メートル四方の立方体の中で戦うことになる。凛と叡二は固まって動くことにした。いつも通り凛は【光堕とし】発動の準備をし、叡二が周りを守る形を作っていた。相手の動きが見えないので判断は音しかない。辺りに警戒しながら展開準備していると突然、周囲が明るく光だした。
「なんだこの光は!?」
その光はみるみるうちにこちらへ近づいてくる。そしてその正体が分かる程になった。
「炎!?」
どうやら相手の1人の魔力は炎関連の魔力らしい。
凛の魔法【光堕とし】は空間を闇で包む魔法なので炎による光は消すことが出来ない。
「くっそ…これじゃあ俺はまともに動けねえ…」
「仕方ねえなあ、俺が活躍してやるよ。」
そういった叡二は1つ、魔法を展開した。
「ネクロマンス!」
そう言うと、周りの地面が盛り上がり、多数の死体が動き出した。
「行ってこい!、我が下僕!」
叡二の一声で死体たちは様々な所へ散っていった。ネクロマンサーは死霊と五感をリンクさせることが出来るという能力も持っている。
「いたぞ!南だ!」
そう言うと叡二はもうひとつ魔法を展開した。
「サモン・ゲート【召喚の門】」
自分の視界の中なら自由な場所に展開でき、高等魔獣を召喚できるというものだ。叡二は蘇らせた死体と視覚をリンクさせることが出来るのでかなり遠くにも展開することが出来る。遠くで魔獣の雄叫びが聞こえる。恐らく戦っている最中なのだろう。その時、叡二がいきなり言った。
「冷たっ!!!」
「なんだ!?」
「この魔力はっ!氷結系か!俺の遣いと感覚が切れた、やられたか…」
相手のもう1人の魔力は氷結系。単純だが使いこなせれば1人で何人も相手にできる強力な魔力だ。「これは厄介な相手だな…仕方ない、アレを使うか…」
そう言うと叡二の周りに魔法陣が現れた。
「デス・マーチ【死の行進】」
自身の精神を短時間失うことを代償に、大量の骸を操作することができる。
「まだ行くぜ!」
「ネクロマンスエンチャント【蒼焔】!」
死霊に魔力を上乗せする魔法、エンチャント。今回は蒼焔と言われる炎属性の付加だ。蒼焔はほかの炎を取り込むことで火力がブースとされるという魔界の焔だ。相手は必死に氷結させようとするが骸は焔を纏っているのでその歩みは止まらない。炎の魔法も蒼焔の前では無力に等しい。相手タッグは完全に無力化されたまま骸に飲まれていった。凛たちの目の前にWinの文字が現れた。
「よっしゃぁ〜!」
「どうだ?俺の実力は?おぉ?」
叡二は誇らしげに言ってきた。
「あ〜すごいすごい〜w」
凛はいつも通り流した。
「くっそ…いつかボッコボコにしてやるっ」
凛たちは現実に戻ってきた。
「また今度一緒にやろうぜ、今日は俺なんも出来なかったからなw」
「今度はお前の番だかんな!」
2人はいつもと同じように楽しそうに帰っていった。
だから、いい終わり方わかんないんだっちゅーのw