夜の王
凛は今日、1人でアルスマグナに潜っていた。アルスマグナにはソロとダブルスがあり、凛は大抵ダブルスだが今日は叡二がいないということで1人で潜っていた。いつもと同じように色々な人とバトルをしていると、1人の派手なチンピラのような人から声をかけられた。
「お前さんよぉ、なんだか強いって有名になってんじゃねーか。俺と1戦やろうじゃねぇか。」
ここで断ったら何となくダメな気がしたので受けることにした。そして2人のスタンバイが完了し、ゲームが始まった。アルスマグナはソロの場合、150メートル四方のランダムマップで繰り広げられる。今回のマップは遺跡(昼)。本来ならば、建物に隠れ、相手を奇襲するのがこのマップの立ち回り方なのだが、どうやら相手は見た目通り地味なことが嫌いらしい。
「隠れてねぇで早く出てこいやぁ!」
そう言ってチンピラは魔法をぶっぱなした。相手の魔法は爆発系らしい。そうこうしている間に隠れる場所が次々と破壊されていく。
「これじゃあ奇襲も無理だなぁ…」
凛は1つ魔法を展開する準備を始めた。
ここに隠れていられるのも時間の問題なので凛は正面から戦うのを選び、飛び出した。
「やっと出てきたか小僧!」
相手は正面から突っ込んできた。
応戦するためにこちらも魔法を発動する。
「影狼!」
自分の影を物体化させ、足止めをする闇の下級魔法だ。しかし相手も負けずに爆発を使いすぐに突破されてしまった。
「また隠れるのかよ!出てこい!」
凛の魔法「夜の王」は闇を力に変えて強力な闇魔法をバンバン撃つというものだが、昼などの明るいところでは下級魔法しか使えないというハイリスクハイリターンなものだ。なので凛はあらゆる天気を闇夜に変える魔法「光堕とし」という魔法を展開しようとしているのだが、この魔法は強力なため、発動までに時間がかかる。いつもならなにかに隠れて時間を稼いでいたのだか今回はそうする訳にはいかず、逃げてきた。しかしそれもここまで。準備が完了し、いつでも戦える状態になった。そこへ丁度いいタイミングでチンピラが現れた。
「あの野郎、どこへ隠れやがった!さっさと出てこいや!」
「僕ならここだ。だが、あなたにもう勝機はない。」
「光堕とし」
その瞬間、辺りから光が消え去り、真っ暗な闇に包まれた。
「なんだこの魔法は!」
「この魔法はどんな天気も闇夜に変えるというものだ。そして私の固有魔法、【闇の王】は暗闇の中でパワーアップする。」
凛は魔法を発動した。
「夜の王、発動」
相手は軽くパニックになって四方八方を爆発させている。
「そんなの当たらんよ」
「幽鬼の門」
闇の上位魔法、大量の幽鬼を呼び出し、相手を攻撃する。幽鬼は物理攻撃が通らないので強化系に有効だ。
「なんだ!?うわぁぁあ!」
【You Win】の文字が目の前に表示される。
視覚が元の世界に戻り、目の前には気の抜けたチンピラがゆらゆらしながら歩いていた。
「やれやれw何だったんだろう今の人w」
「まっ、いっかw」
今回も凛は勝利を掴み、機嫌のいいまま家へ帰ることにした。
いい終わり方が分からん。すまんかった。