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第二章「トウゲ・バトル・デビューの予感」
マサキはいつもどうり怪獣と戯れていた。冷えた夜の峠で。
ふと後ろから何か追ってきたのを感じた。
ヴぉぉおおヴォォヴォヴォぉん
高回転から排気音がまるで変わる。そう、あいつだ。
マサキは休憩所に入るとともに道を譲ろうとした。
眠気覚ましにコーヒーでも買おうと金を入れたところだった。
あいつがきた。ホンダのテクノロジーの塊、FD2だ。
ドライバーはガラガラの駐車場に入り、怪物の隣にテクノロジーの塊を停めた。
1度フカしてエンジンを切ると中から誰か降りてくる。
FD2のドライバーがマサキに話しかける。
「おい。金持ちか?金持ちはサーキットに行っとけよ。」
マサキは言う。
「金持ちが自販機で買い物すると思うか?」
塊の操縦士はこう言った。
「そうか、コーヒーを飲むのか。俺はガソリンを飲む。そしてお前を呑む。」
マサキは気づいた。こいつの車はマニュアルだと。