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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

シンデレラの逆襲2

作者:

「お願いします。王子様、私をどうか…あの屋敷に帰して下さい!」


シンデレラは王子に頼み込んでいた。

あれから数日後、急に決まった結婚。シンデレラ本人が知らないうちに継母が勝手に王子の下へ嫁がせたらしい。


(あの…ババア。余計な事しやがって…)


納得してないシンデレラにとっては苛立ちを感じるばかりだった。


(そういや、此処に嫁がせる前…妙に生き生きしてたな…まあ良いわ。この馬鹿王子を説得して帰ってお仕置きしてやらなきゃね?)


内心の黒さを表面に微塵も出さずに王子を説得する。しかし、王子は…


「ならぬ…」

「な、何故ですか?私が帰らないとあの屋敷は使用人など誰も居ないのですよ?」

「姫である、お主がそこまでしなくても良かろう?第一、使用人なぞ私の城から出せば良い。」

「しかし…」

「駄目だ。」


なかなか折れない王子にシンデレラはやや苛立ち始める。


「それに聞いたのだが、あの屋敷は…最近、新しい者を雇ったらしいぞ?」

「え?」


初耳だった。


(あの屋敷に新しい使用人が?ふ~ん…ますます帰りたくなってきたじゃない。)


実は、使用人達が辞めた原因はシンデレラのねじ曲がった性格によるイジメだった。


(どんな奴かしら?…ふふふ。)

「…という訳で駄目だ。」


王子が理由を話していたが、聞いていなかった。いや…もう聞く気もなかったというべきか。


「何処へ行く?」

「屋敷に帰ろうと思いまして。」

「先程、駄目だと言った…」

「別に貴方の意見など聞いてませんが?」


王子の言葉を遮るシンデレラ。


「どうして、そんなに帰りたがる?」

「ウフフ…そんなの決まってるじゃないですか~」


先程まで王子の前では見せなかった悪魔のような笑顔で…


「アイツらを屈服させる為ですわ~」

「…お主、そんなに憎んでいるのか?」


憎んでいると思われる矛先は勿論、継母親子。だがシンデレラは意外な返答をする。


「憎い?誰が?…あ、もしかして勘違いされてます?」

「?」

「ウフフ…アイツら反応が面白いんですよ。良い年して落ち着きが無いし。」


シンデレラの瞳が妖しく光る。サディスティックさを増しながら…


「だから、つい…からかいたくなるんですよね。…で、コレで良いですか?理由…」

「…うらやましい。」

「…私、貴方のそういう所が嫌いです。」


王子の一言に心底、ウザがるシンデレラ。


「…という訳で屋敷に帰らせて頂きますか?馬鹿王子様。」

「もっと!」

「黙れ…変態。(…ああ、やっぱり屈服させなきゃ良かった…寄りによって目覚めやがって。)」


どうやら、此処へ来て早々にシンデレラは王子を調教したらしい。しかも、変態になるまでに…


「うぅ…もっと、私を罵ってくれ!」



変態と化していく王子を冷めた目で見ながらシンデレラは呆れている。


「ハアハア…もっと、しないと屋敷には帰さないぞ?」


遂には息が荒くなってくる王子。


「はあ、ヤレヤレ…まあ、目覚めたのなら仕方無いか…」


他人事のように呟いた後…


ぐしゃり!


近くに置いてあった花瓶を片手で握りつぶし粉砕するシンデレラ。


「!」


流石の王子…いや、変態も驚いてしまう。


「……。シンデレラ…さん?」

「貴方がいけないんですよ?せっかく畏まってたのに…でも…」


口角を上げ綺麗で妖しい笑みを浮かべる。


「少々、(おいた)が過ぎましたね。ウフフ…私、変態をさらに屈服させるの初めてなんですよね~?」


まるで、明日の天気を話してるかのように…何処か楽しげな口調で末恐ろしい台詞を吐くシンデレラ。


「……。冗談キツくないか?」

「冗談だと思います?…さて、どうしてやろうか?」

「ひぃ!」


王子は、後退りながらシンデレラから離れていく。


「逃げなくてもよろしいではありませんか?貴方のお望み通り罵って差し上げようと思ってましたのに…」


シンデレラの方はまるで逃がさないとばかりに王子の方へ前進していく。


「…く、来るな!」

「あら?“来るな”と言われると余計に行きたくなりますのよ?」


王子がまた後退りし、シンデレラがゆっくりと前進して行くと…


「もう、壁ですね。どうします?」

「…うぁ」

「……。」


暫く黙って王子を見てたシンデレラは、王子の前にしゃがみ込むと頭を片手で持ち上げ壁に擦り付けだした。


「痛い痛い!」

「あらあら、おかしいですね?貴方のような“ド変態”にも“痛覚”は、あったようですね?」

「もう、分かった…屋敷に帰って良いから!止めてくれ!!」


王子が懇願しても止めるどころか寧ろ力を込めるシンデレラ。ミシミシと軋む音が王子の耳に届く。


「ウフフ…今更、遅いですわ。あの時、私を止めずにそのまま行かしておけば良いものを…」

「ちょ…死ぬよ。コレは!」

「大丈夫ですよ?人間、そう簡単には死にませんから…それに私、力の加減なら自信がありますし。」

「!!」


王子は恐怖の余り、泡を吹いて気絶した。


「…ちっ!もう気絶しやがったか。コレだからボンボンは!!」


気絶した王子を見ながら部屋を出て行くシンデレラ。


「サヨウナラ…変態王子様。もう二度と会う事は無いでしょ…」


意識の無い王子に一礼をし、扉を開ける。屋敷に向かうシンデレラが去った後の部屋に取り残されたのは、泡を吹いて気絶する王子だけだった。


こうして、シンデレラは王子を(文字通り力押しで)屈服させ屋敷に戻って行きましたとさ。

前の手直しです。改めて読んでみても王子の扱いがヒドい…


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