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キェルツェの螺旋

作者: 金田まこと

 夢を見た。



 俺はまばゆいステージに立ち、声を張り上げて歌っている。ほとばしる汗が視界を遮り、全身を濡らす。右手はピックを持ち、左手はギターのネックを握り、唇はマイクにつかんばかり。噛み付くように歌い、殴るように弾いた。

 ステージ中央に陣取る俺。右手には寡黙なベーシスト。左手にはお茶目なギタリスト。後ろには頼れるドラマー。そして目の前には大切な大切なお客さんたち。

 脳天を突き刺すようなギター。地を這うようにうねるベース。揺るぎなく進み続けるドラム。その真ん中で俺は歌い、叫び、弾く。赤、緑、青、めまぐるしく色を変える光の中で、存在証明と言わんばかりに。

 気分は最高だった。真夏の太陽より熱く照りつける照明も、全く効き目のない空調も、吹き飛ばすように歌う。絞れば滴るであろうほどに汗を吸ったシャツも、額に張り付く長い髪も、はねのけるように弾く。自然と笑みがこぼれる。たまらない。死ぬほど暑いのに、死ぬほどぞくぞくする。

 夢の中の俺は無敵だった。どんなに歌っても息が切れない。どんなに腕を振り上げギターをかきむしっても、疲れなんて皆無だ。叫んでも叫んでも、胸の奥から力が、歌が、湧いて出てくるようだった。



 でも所詮、夢は夢だ。



 ピピピッ、ピピピッ。


 無機質な電子音で俺は目を覚ました。暖かい布団からのそのそと這い出し、寒さに身を縮こませながら洗面所へ向かう。冷たい水道水に顔をしかめながら顔を洗って、ふと、汚れた鏡の中の自分と目が合った。無精ひげは放置。髪は伸び放題。極めつけは目だ。生気のかけらもない。よどんだ黒い目。なるほど浮浪者と間違えられても仕方がない。職質を受けたのは、今月で何回目だろうか。

 そんな思考をぬぐい去るようにタオルで顔を拭く。一五分遅れの壁時計を確認し、時間がないことを知る。ひげを剃る暇は無い。コンタクトも面倒だ、メガネを探し、かける。制服と財布、ケータイ、鍵をカバンに放り込んで靴を履いた。

 慌ただしくアパートを出る際、かつての相棒の姿が目の端に写った。夢の中で鮮烈な赤色をしていたギターは、小さく暗く冷たい部屋の隅で、くすぶるように身を潜めていた。

視線を振りほどくように扉を閉める。乱暴に鍵を回し、夜の街を走り出した。

色とりどりのネオンが、街灯がきらめく夜の東京を走り抜けても、あのギターの赤色が目の奥に焼きついて離れなかった。



*          *          *



 どの学校にもいる、ちょっとイタくて、世間知らずで、無鉄砲で、考えが足りなくて、それでいて夢見がちな男子高校生。それが俺だった。


 テレビで見たバンドに憧れ、なけなしの小遣いと貯金で楽器を始めることを決意した。楽器店で安物のギターを掴まされ、技術も知識なしにがむしゃらに練習を重ねた。分かりもしないロックについて延々と語ったり、教室にこれみよがしにギターを持ってきたりと、若いと言うよりはなんというか、そう、イタい子だったと思う。あの時の俺を、もう名前も思い出せない級友達はどう思っていただろう。


 悪いことに、そのイタさは一過性のものではなかった。


 俺は高校卒業後、親の反対を押し切って半ば絶縁という形を取られながらも上京した。夢を持って、とか、大志を抱いて、とか言えば聞こえがいいが、たいていそういうのは無謀と表裏一体だ。音楽で食っていくなんて、ド田舎の世間知らずの若造がよくそんなことを言えたものだ。世の中舐めてた。

 それにしてもまぁよく頑張ったほうだと思う。頼れる人もいないのに単身上京して、慣れない一人暮らしに体を壊しながらも、必死に働いて得たお金で足繁くライブハウスに通い、人脈とかコネとか知り合いとかを頑張って作った。その甲斐あってか、上京から1年ほど経った頃、ギターが入院したというバンドに期間限定サポートメンバーながらも入れることになった。人生初バンドだったが、それを悟られないように毎日毎日暇な時間を見つけては指がボロボロになるまで練習した。結局四ヶ月でサポートは終わったが、そのおかげか、気の合うセンパイに誘われ、新しいバンドを結成することになった。最初は全然ダメだった。ボロボロのライブも何度もあったし、メンバー内で何度も衝突した。それでも歩みを止めなかった。地道にライブを重ね、打ち上げに出てはコネを増やし、生活の全てをバンドに捧げた。そしてじわじわと俺たちのバンドは知名度を上げていき、ついにワンマンライブが決まった。小さなライブハウスだったが、それでもやはり嬉しかった。自分のやってきたことが認められた。夢が叶う実感が湧いた。そう思っていた。



*          *         *



 午後と午前が入れ替わる時間、俺は、店の勝手口を開け放ってタバコを吹かしていた。一度吸い込んだ紫煙を、ビルに挟まれた夜空に向かって放す。昔は三連で輪っかを作れたが今はどうだろうか。やってみようとしてむせかえった。

 諦めて大人しくタバコの火を見つめる。黒い視界の中に、ぽつんと赤い光が浮かんでいる。セブンスター、20本入り440円。聞いた話によると近いうちに増税があるらしい。生きにくい世の中になったもんだ。タバコの吸いすぎか、息もしにくい。生きづらい。息、つらい。そんな歌詞があったような気がする。気のせいか。


 ぼんやりしている間に短く燃え尽きてしまったタバコを、携帯灰皿にねじこむ。サボり終わり。ぼちぼち働かないと店長にどやされる。なよなよしてて怒っても全然怖くない人だが、クビにされちゃあ困る。ため息をついてダンボールから腰をあげた。


 勝手口を閉めて暖かい店内に戻ったが、カウンターから客席を見渡しても誰もいない。タバコを丸々一本吹かしても、客どころか店長も来やしない。だからサボれるのだが。それにしても経営が。俺の給料が。もうひとつ、ため息をついた。入って一月経たない新人に心配されるバー。

 だらだらと在庫の確認をしているとケータイのバイブが鳴る。就業中にもかかわらず液晶がボロボロのそいつをズボンから取り出すと、非通知の三文字が光っていた。嫌な予感がする。鳴り続けるそれを手にしばらく逡巡して、しかし電源を落としてポケットに押し込む。そのまま在庫確認を続けて、ふと思い出した。


 昔、知り合いのバンドマンにSNS依存症の男がいた。どのSNSにメッセージを送っても、一〇秒で返信が返ってくると評判のメンヘラ男だった。一度打ち上げの席で、なんでそんなに依存しているんだと聞いたことがある。そいつは笑いながら、世界とつながっていたいんだと言った。そのときは意味わかんねぇと大声で笑い飛ばしたが、今ならわかる。


 ケータイの冷たさを太ももで感じているとドアベルが鳴り、冷たい空気とともに客が入ってきた。ようやく、俺の一日が始まったような気がした。



*          *         *



 午前五時。始発待ちの三人組を送り出し店は閉店した。頭の薄い店長と共に店の掃除を終え退勤する。とっとと帰って寝よう。朝日が昇らないうちに家に着きたい。


 「お疲れ様、明日…というか今日、だね。今日もよろしくねぇ」


 適当に返事をして店を出る。カランコロンとドアベルが鳴る。このおっさん事務所で何やってたんだろうか。客の対応も全部俺がやってたし。

 まだまだ暗い外へ出ると、身を切るような寒風が吹き付けてきた。ボロボロの革ジャンだけでは心もとないが、防寒具を買うような余裕は無い。ふと思い出してケータイの電源をつける。待つこと三分、ようやく立ち上がったホーム画面には不在着信の文字が踊っていた。非通知。非通知。非通知。非通知。非通知。白いため息をついて、やっぱり電源を切る。




 あー。世界、断絶してー。




 電線に切り取られた空を見上げる。まだ暗い。暗いけど、故郷のド田舎に比べたらかなり明るい。星のような数の人工物の明かりのせいで、空がぼんやりと赤く見える。タバコを取り出して火をつけ、この街にもうひとつ、明かりを追加した。


 ふらふらと歩く。新しい朝に向けて、空はどんどん白んでいく。白い息を吐き、白い煙を吐く。なんにも考えていないから、頭の中も真っ白だ。それでいい。何も考えたくない。白いベッドで生まれて、白いまま生きて、白装束を着て死にたい。何も残らない白い人生。何の予定もない白紙の将来。



 そのまま歩き続け、夜明け前に家に着き、着の身着のままで泥のように眠った。朝が来ないように祈りながら。



*         *         *




 夢を見た。



 今度は見ているものが夢だとはっきりわかった。支離滅裂で非日常的で、現実から乖離してふわふわふわふわとしている。泡のように膨らみ、消える情景は、どれも見覚えがあるものだった。


 俺は生まれ故郷の田んぼ道を歩いていた。夢の風景は、月も星も無い暗い夜だった。街灯すらも無いあぜ道は、高校時代に使用していた通学路だった。遠くへ行きたいと願いながら通っていた道を、俺は滑るように歩いている。

 やがて一本道の右手に灯りが見えてきた。田んぼの真ん中で赤に、青に、緑に、色とりどりに光っているのは、かつて俺が演奏していたステージだった。サポートメンバーとして初めて立ったステージに、がちがちに緊張した俺だけがいた。ギターをかき鳴らしているが、音は無い。きらびやかな舞台には、俺しかいない。田舎の田んぼの真ん中に、音もなく、客もバンドメンバーもいないステージが鎮座していた。その夢のステージの上でたったひとりでライブをする俺を、俺は見た。

 それを横目に歩き続けると、今度は左手にステージが現れた。スモークが焚かれ、レーザーが飛び交うステージにいるのは、やはり俺だった。二回目のサポートライブを、無音で、ひとりで再現している自分の姿を目の端に置いて、また歩く。夜の街道に佇む灯篭のように、あるいは空に瞬く星のように、暗闇に沈む田園のあちこちに、俺がかつて立っていたステージが現れる。あれは最後のサポートライブ。これは初めて自分で結成したバンドの初ライブ。動員0のライブ。大ゴケしたライブ。演奏中に喧嘩したライブ。俺が立っていた、俺しか立っていないステージは、煌々と寒々しく光る。音も無く。


 俺が前へ進む度、灯りが後ろに流れていく。まばゆい光を放つステージを、いくつ通り過ぎただろうか。いつの間にか田んぼは消え、道の両端には水が流れていた。闇の中から溢れてくる水に乗って、船のようにいくつものステージが流れてくる。あれは初めてCDを売り出したライブ。これは初めてアンコールをもらったライブ。夏の三日連続ライブ。初の県外ライブ。東名阪ツアー。そして、ワンマンライブ。俺以外誰もいない、音の無いステージは、傍から見ているととても白々しい。笑顔で歌い、叫び、弾き倒す俺の演奏に、一切の音も、歓声も無い。子供のころ見た灯篭流しのように、俺と俺のいるステージが流れていく。流されて…流されて、どこへ行くのだろう。

 不意に足が重くなる。川の水位が上がっていた。足首。膝。腰。どんどん上がる。進めない。前に進めない。闇雲に手足を振り回しても泳げない。水面を叩いても音は無く、助けを求める声も出ない。水位は上がる。水は増す。胸。肩。首。もがいてももがいても沈んでいくだけ。必死に首を上げ、息を吸おうとする俺の目に、こっちに向かって流れてくるステージの姿が飛び込んできた。藁にもすがる思いで手を伸ばそうとして、頭が水に飲み込まれる。水面へ出ようともがく俺の足を誰かが掴む。腕も掴まれる。引きずり込まれる。振りほどこうとして振り向く。そして見た。かつてのバンドメンバーが馴染みのライブハウスのスタッフが毎週使っていたスタジオの店員が何度も来てくれたお客さんが知り合いのバンドマンが大切だった友人が尊敬していたセンパイが昔の元カノが県外から遠征してきたバンドマンが行きつけの楽器屋の店員が最前で見てくれていた常連客が俺の音楽人生に関わった全ての人達が俺を引きずり込もうとしているのを。



*          *          *



 「あああああぁぁっ!!」


 万年床から飛び起きた。よろめきながら台所に飛びついて、シンクに胃の中のものを全て吐き出した。酸っぱい胃液の味に涙が出てくる。体を折って二度、三度と繰り返し嘔吐して、そのまま台所の床に崩れ落ちる。

 涙にぼやける部屋の風景はなんとなく白い。まだ昼間なのだ。朝が来てしまったという事実にぞっとする。また吐き気がこみ上げてきたが、もう吐き出せるものは無かった。汚い床に丸まって、頭を抱える。土下座のような体勢で、口も目も耳も鼻も覆い隠す。

 どうして夜は明けてしまうんだ。ただ俺はずっと寝ていたいだけなのに。夢はつらい。見たくもないことを思い出したくもないことを目の前に突きつけられて悪夢にうなされる。でも、でもだ。夢より現実の方がずっとつらい。どうにもならないことどうしようもなかったことどうでもいいことどうしたらよかったのかということどうやってもだめだったこと。思考の堂々巡りを続けても、現実は変わらない。行動しなければ変わらないのに、行動できない。甘えでもやる気の問題でもない。本当に無理なんだ。動けない。現実が揺るがないように、俺の足は動かない。それが、俺の現実。



 パニック障害。




*          *          *



 ワンマンライブを終えた後のことだった。

 定員数100人のライブハウスで86人の動員を記録したのは、成功と言って差し支えないだろう。当日はリハーサルから打ち上げまでメンバー全員がお祭り気分で、みんな揃って記憶が無くなるまで飲み散らかした。



 異変が起きたのはその3週間後だった。



 ワンマン後最初のライブは、地元バンドを集めた軽いイベントだった。気張れないなーとか、軽く流そうぜーとか、勝手なことを言って俺達は本番を迎えた。笑い合ってステージに立って、ピックを振り下ろした途端、違和感を感じた。最初は気のせいだと思った。でもその違和感は、歌い続けていくうちに、ギターをかき鳴らしていくうちに、どんどん大きくなっていった。

 ワンマンの時と全然違う。こんなもんじゃない。もっと上手く歌えただろう。もっとステージを熱くさせられただろう。あの時は俺の一声で、一挙手一投足で、お客さんを沸かせられたろう。なんかダメだ。違う。ほら音が外れた。簡単なコードもミスった。違う。そうじゃない。違うんだよ。もっと上手くできるんだ。ダメだ。ああ。もう。たまたまだ。な。そうだろ。そんな顔しないでくれ。頼む。最後まで聞いてくれ。違うんだ。俺の本気はこんなもんじゃないから。幻滅しないでくれ。おい。なあ。

 

 青い顔をして楽屋の隅に座り込む俺に、メンバーはあくまで優しく接してくれた。そういうこともあるさ。気にするなよ。次は上手く演りましょう。笑ってそう言ってくれるメンバーがとてもありがたくて、ありがたくて、その笑顔が怖かった。俺はメンバーに小さな声で礼を言って、その日は打ち上げに出ないでひとりで帰った。



だけど、次のライブも失敗した。



 スランプなンだろ悩みすぎだぜ。嫌なことなんて飲んで忘れりゃいい。スタジオでは平気だったんだからちょっと休んだら良くなりますよ。そうみんなに言われて、その日もひとりで帰った。今度は、顔を見ることも出来なかった。



 限界だった。



 焦れば焦るほど上手くいかない。優しい言葉も、気遣いの言葉も、全てが俺を追い詰めていった。ゆっくりでいいなんて無理だった。休むなんて考えられなかった。せっかくワンマンライブを成功させたんだ。今が絶好調なんだ。この波に乗れば、でかいフェスに呼んでもらえるかもしれない、レコード会社と契約できるかもしれない、メジャーバンドのオープニングアクトに呼んでもらえるかもしれない。今しかないんだ。ここで立ち止まってる暇なんてない。スランプなんて認められない。進み続けるしか、ない。




そうして俺は壊れた。




 リハーサルが始まる直前、機材をステージに運びこむときに俺は倒れた。目眩と動悸と過呼吸に襲われ、ギターとケーブルと吐瀉物をぶちまけて気絶した。


 目が覚めると朝日の差し込む病室に寝かされていた。薄汚れた部屋の壁紙が、年季の入ったベッドが、質素な家具が、白々しい白さで俺を囲んでいたのを覚えている。窓を見上げると朝焼けと紅葉で街が色づいていて、そういえばもう秋だったんだなぁとやけに冷静に考えていた。群青色の空が朱く染まりつつあるのを眺めて。

 ライブを中止させてしまったのは分かっていた。ギターボーカルである俺がいなくて何ができるだろう。20人近いお客さんが来てくれるはずだった。がっかりさせてしまっただろうか。今回のイベント主催者にも顔向けできない。次のライブまでに体調は回復するだろうか―――

 そこまで考えたところでまた吐いた。空っぽの胃から酸っぱい胃液だけがぼたぼたと垂れてくるのがわかった。視界の隅で慌てた様子の看護婦がこちらに駆け寄って来るのが見え、真っ白いシーツを汚してしまったのが申し訳なかった。


 病室に来た担当医からは、過労とストレスでしょうと告げられた。精神科医に紹介しますから、午後になって点滴が終わったら5階に行って下さい。淡々と事務的に喋る若い医者も、過労とストレスに苛まれているように見えた。


 午後になって、俺は現実と向き合った。パニック障害。高卒のバカな俺に、詳しいことはよく理解できなかった。わかったのは、精神病でありながら脳の病気でもあること。甘えやストレスといった生易しいものではないこと。一朝一夕で治るものではないこと。飲酒喫煙がよくないこと。抑鬱症を併発している可能性もあること。そして、ライブをすることが障害の引き金になってしまっているということ。


 診察が終わって病室に戻るとバンドメンバーがいた。俺の大好きな人達は、俺の大好きな笑顔で心配してくれた。大丈夫か。次のライブはいいからゆっくり休めよ。また治ったらスタジオ入りましょう。俺はどんな顔でその言葉を聞いていただろう。なんて返事をしたのだろう。

 点滴を打たれて、病院食を流し込まれて、寝て、次の日に退院した。そしてその日のうちに俺は引越しをした。



*          *          *



 逃げ出したんだ俺は。逃げ出して、この暗くて小さい部屋にたどり着いた。


 入院と引越しでわずかだった貯金はゼロになった。だから鳴り止まないケータイを変えられない。いや、ほんとは変えたくないのかもしれない。まだみんなとつながっていたいから、金欠を理由にしてこのケータイを持ち続けているのかもしれない。でも今更会って正気を保っていられる自信もない。どの面下げて。どの面下げて。


 冷たいフローリングは、土下座をするかのような格好で丸まる俺の体温をじわじわと奪っていく。どこかでピピッという電子音が鳴った。1時間経ったらしい。時は過ぎていく。俺がこうして動けない間にも。

 荒い呼吸を続けながらもなんとか立ち上がろうとする。風呂に入ろう。熱い湯に浸かって、目を覚ませばいい。その思考にたどり着くのにも精一杯だった。

 萎える足を必死に動かして風呂を沸かす。夢の内容も、昔の思い出も、頭に浮かばないように動く。溜まった洗い物、洗濯、掃除。そして熱い湯船に浸かって、思考を吹き飛ばす。考えないことが、一番の治療法になると言われた。だから、俺は頭を真っ白にしたいんだ。現実逃避と言われたらおしまいだけど、それしか無いんだ、

 風呂から出て緩慢に髪を乾かしていると、段々と陽が落ちていくのがわかった。必要最低限の家具しかない部屋が、冷たい台所が、万年床が、そして埃だらけのギターが、ゆっくりと赤色に染まっていく。冬の陽は短い。また、夜が来る。そして朝が来る。どんなに来て欲しくないと願っていても、日は落ち、また昇る。かと言って死ぬ度胸も無い。自殺する覚悟も、気力も無い。死んだように生きている。ただただ時間を浪費して生きている。もうバンドは続けられない。夢は破れた。山も河も残らなかった。

 ぼんやりとしていても体は動いて、バイトの準備をしていた。義務だったら動くんだ、この体は。ままならない。それでも働かなければ生きていけない。体が動くことに感謝し、家を出た。


 ひと月前に引っ越してきて、すぐに夜勤で働けるバーを見つけられたのは幸運だった。俺のパニック障害は抑鬱症も併発しているらしい。欝のせいで、朝起きることができなくなった。朝がやって来ることに怯えて、夜の暗闇の中でしか動くことができない。逃げるように引越ししたから通院もしていなくて、最初にもらった抗欝薬や眠剤も2週間で切れてしまった。だから最近は、あんな夢ばかり見ては飛び起きている。


 クリスマスも新年も見送ってしまった街は、今度はバレンタインに向けて商売合戦をしている。街は桃色に染まっている。気色悪い。単色の灯りの中を15分ほど歩いて、ようやくバーが見えた。アンティーク調の外装をしている古い店は、このピンク色の街の中で、ほっとするような、どこか懐かしいような黄色い光を放っていた。

 おはざっす、と軽く挨拶してドアを開ける。店長の気の抜けた返事とドアベルの音が店内に響き渡る。開店10分前。あらかた仕込みは終わったのだろう、今日も店長は事務所に引っ込んでいる。そして俺はやることもなくぼんやりと店の掃除をする。体を動かしていると気が紛れる。少しの間、考えなくてよくなる。

 箒を片付けてテーブルを拭き始めていると、カランコロンとベルが鳴り、冬の空気が舞い込んできた。


 「いらっしゃいま…」

 その俺の声は、店内の暖かい空気とともに外へ逃げ出してしまった。



 かつてのバンドメンバーが、そこにいた。




*          *         *



 俺がフジさんと中心になって結成したバンドは、名前をグラスホッパーと言った。フジさんが熱狂的な仮面ライダーファンだったからだ。そもそも俺とフジさんが仲良くなったのも、打ち上げでライダーの話をしたからだった。V3っすよね!V3!あァ?2号のが渋いだろォが!とか。


 「なんかあれだな!ライダーの話してッと古臭いパンクロックやりたくなってくンな!」


 フジさんはその頃あちこちのバンドを渡り歩いていたサポートギタリストだった。昨日はロック、今日はポップ、明日は休みで明後日がラウドロックと、とてつもなく多忙で、とてつもなく人脈の広い人だった。陽気で、おちゃらけていて、ビールとテキーラが主食だと言い張る酒豪だった。


 「ならたまにはサポートじゃなくて自分でバンド作ればいいんじゃないすかねー」


 軽く相槌を打ったつもりだったが、フジさんはその軽口を本気にしてしまったようだった。

 俺のケータイに「メンバー集めたからお前ギタボな」というメールが来たのは、翌日のことだった。呼び出されてスタジオに行くと、二人の見知らぬ男がいた。ドラムは俺の一つ下ながらも、小学校から叩き続けているという礼二。若手ながらも、頼れるやつだった。ベースはフジさんと専門学校時代の知り合いだというギーさん。寡黙で、いつも俺を見守ってくれていた。


 翌週から、早速曲作りに取り掛かった。あーでもないこーでもないとメロディを、ギターフレーズを、コードをいじくりまわして、1曲1曲思いを込めて作り上げていった。ライブを重ね、打ち上げに出て、レコーディングをし、またライブをして。時に笑い合い、時に衝突し、出身地も年もバラバラだった俺達は、共に歩んできた。



 その大切な仲間達が、そこにいた。



 「………探したぞ、ぺい」


 ぺいというのは俺のあだ名だった。一平だから、ぺい。安直だけど覚えやすくて、響きもなんとなく可愛らしい。遥か年上のセンパイ方にぺい、ぺい、と呼ばれるのは少しむず痒くて、とても嬉しかった。


 「………フジさん、俺は、」


 その先は言えなかった。言えるわけがない。逃げ出した俺に何が言えただろう。


 「いいよ、いいさ、大丈夫だ。気にすンな」


 それでもみんなは優しかった。あの時と変わらない優しさで、やっぱりそれが俺には重たかった。いっそ突き放してくれたら。いっそ罵ってくれたら。自分を責めるのと、他人から責められるのと、どちらが気が楽なのだろう。


 「まァ長年この世界にいるとさ、よくあンだよ。自殺とか失踪とか。慣れッこだよもう。慣れたかねェけどさ。だからまァ、とりあえず生きてて良かッたよ」


 フジさんは慰めているつもりではないのかもしれない。ただ事実を述べているだけなのかもしれない。ただその言葉を受け取る自分が腐っているんだ。錆び付いた水道管を通ってしまったら、どんな水でも赤茶けて汚れてしまう。


 だから俺はこう言った。



 「すいません…もう、バンドは………続けられないです」



 絞り出すように伝えて、頭を下げる。フジさんも礼二もギーさんも、長い間何も言わなかった。店の外から漏れ聞こえてくる生活音が、やけに空々しく聞こえる。


 時計の秒針が時を刻む音を100回は聞いただろう。そうか、とギーさんが小さく呟いたのが聞こえた。


 「じゃあ解散だな」


 頭を下げたまま、ギーさんの言葉を聞く。次はなにしよッかなーというフジさんの声と、しょうがないかという礼二の声が頭の上を通り過ぎていく。あまりに軽い反応に戸惑う。戸惑ったが、それ以上にほっとしている自分がいた。もう、頑張らなくていいんだ。努力しなくていいんだ。無理しなくていいんだ。


 「わざわざおしかけて悪かッたな。オレらはいつでもステージにいるから、また気が向いたら見に来てくれよな」


 「ぺい、生きてりゃいいことあるなんて安直な言葉は、俺は吐けない。でも、生きててくれて良かった。それだけ覚えててくれ」


 「またどっかで会いましょうぺいさん。きっと」


 そう言って3人は出て行ってしまった。カランコロンとベルが鳴り、冷たい空気と入れ替えに行ってしまった。バタンとドアが閉まって、世界が断絶される。俺と、あいつらは、もう生きる世界が違うんだ。


 外から迷い込んできた空気がすっかり温まるころになって、ようやく俺は顔を上げられた。そこにはこの一ヶ月で見慣れてしまったレトロでアンティーク調の扉しかなかった。すっかり軽くなった肩の荷と、ぽっかり空いた心のせいで、どこもかしこも寒々しい。


 「…お客さんじゃなかったの?」


 ふらりと事務所から店長が出てきた。今更になってやってきた彼は頼りない笑顔で店内を見渡す。いつも通りの誰もいない店。客はいない。店員も、基本俺だけ。夢で見たステージが頭をよぎって、吐き気がこみ上げてきた。


 「………店長…俺、ここを、」


 辞めます、と言いかけて止めた。むかしをおもいだしてつらいからやめます。みんなにみつかったからやめます。バンドから逃げて、バイトからも逃げて、逃げて逃げて逃げて逃げて逃げて…最後はどうするんだ?


 言葉の続きを紡げないでいると、ふらふらと店内を見て回っていた店長が振り返って言った。



 「あぁ、この店今日で閉店だからね」



 ………は?

 あっけにとられる俺に、店長が胸元から紙を取り出して渡してきた。地図だ。場所は1駅東にある繁華街の一角。事態が飲み込めないまま店長と地図とを交互に見つめる。


 「それ、明日から移転するバーの場所だから。交通費必要なら言ってね。シフトは変更なしで、細かいことは来てから説明するね」


 じゃ、店番よろしく。そう言って店長はまた事務所に引っ込んだ。


 途方にくれて立ち尽くす俺だけが、店内にとり残された。



*           *         *



 高校3年の梅雨の時期に、担任との二者面談が行われた。俺は山と雲ばかり映る教室の窓を見ながら、理想に燃える若い新米教師の追及をのらりくらりと躱していた。やる気のないつまらない教師より、こういう夢見がちな新人の方が厄介だ。


 なんだ、やりたいことはないのか?趣味はないのか?好きなことだけでも書いてみろ。それを職業にするのはどうだ。もちろん上手くいくとは限らないけどな、夢を持つだけでもいいんだ。それだけで何か替わることだってあるさ。ほら。な?


 そう一方的に話しかける高校教師に、ぼくばんどやりたいからとーきょーいきますとは言わなかった。大志を抱けなんて押し付けるくせに、バンドと言うと渋い顔をするのがオトナってもんだ。変にスレていた俺は勝手に思い込んでいた。


 時は経って、卒業間際の1月。センター試験も終わって閑散としている校内を歩いている時に、その担任とすれ違った。親と学校を騙すために入試だけは受けるつもりだったが、当然振られた話題はそれだった。苦笑いで入るつもりのない大学の話をした。早く終われと祈っていると、担任がこんなことを言った。


 「いやー大学はいいぞー、特にサークルな!俺は軽音部入ってたんだけどな、あの頃が一番楽しかったなー」


 初耳だった。驚いて色々聞き出してみると、驚くほど自分と趣味が合った。ハイスタ、10―FEET、サンボにシャンク。あれこれと陽が落ちるまで話した。去り際に頑張れよーと手を振られ、6月には痛まなかった胸が、少し痛んだ。

 もしあの二者面談の時、ちゃんと自分の気持ちを打ち明けていたら、あの先生は俺の思いに応えてくれただろうか。



今となっては分からないことだ。



*           *          *



 バイトに間に合わないことに気がついたのは、いつもの時間に家を出てしまってからだった。慌てて走るも土地勘が無いため見事に迷子。電話で遅刻の連絡をしようとしたが、地図には電話番号どころか店の名前すら書いていなかった。ええい、忌々しい。昨日より体が軽かったのが幸いだった。どんな形であれ、重荷を下ろすことが出来た。いや、どこかが空っぽになったのかもしれない。とにかく、少しは動けるようになった。


 目的地に着いた。荒い呼吸を整えながら地図と照らし合わせる。紙に記されていたのは5階建ての雑居ビルだった。看板を見てみると2階に真新しい店名があった。多分ここだろう。

 階段を駆け上がってスチームパンク風の店の前に立つ。バー・MUSEと、パイプと歯車を組み合わせた看板が光っている。かなり大きいBGMと明るい笑い声が漏れ聞こえてきた。察するに店内はなかなかの盛況ぶりのようだ。萎える足を叩いて、ドアを開ける。


 「すいません遅刻しました!」


 そう言ったつもりだった。俺の謝罪の声は溢れ出る音の奔流に飲み込まれて聞こえなかった。店は普通のバーではなかった。ジャズバーだ。カウンター席は6。テーブルが4。そして八割埋まっている客席をはさんだドアの反対側に、小さなステージがあった。俺がかつて立っていたそれとは比べ物にならないぐらい小さい。ひしめくようにしてドラムと、ウッドベースと、キーボードと、ギターが演奏していた。割腹のいいおっさんが強烈なシャッフルビートを叩き、仙人みたいなヒゲじじいがウォーキングベースを奏で、何故か和服のおばさんがエレキピアノの音色でキーボを弾き、そしてギターで主旋律をとっているのは店長だった。黒いギブソンES―335の暖かい音色が紡いでいるのは、パンクロッカーの俺でもわかる有名なジャズナンバー。ジャイアント・ステップス。なよなよしててハゲかかった店長からは、とても想像のつかない強烈で鮮烈なギタープレイ。しかも全く手元を見ない彼は、演奏の最中も客席を見渡して、俺を見つけるとこっそりウインクをしてきた。


 結局まるまる1曲終わるまで、俺は身動き一つ取れなかった。打ちのめされていた。あんな頼りない店長が。全くそんな素振りも見せなかったくせに。

 ドアの前で立ち尽くす俺の元に店長が寄ってきて、話しかけてくる。


 「次橋本くんの番だからね。僕のギター貸してあげるから行っておいで」


 あれよあれよという間にステージまで追いやられる。強引に座らされ、抗議する間もなく彼のギターを押し付けられた。放り投げてやろうかと思ったが、よく見たら60年代前半のビンテージ物ES―335だった。100万超のギターを放り投げる勇気は流石に無い。戸惑っていると、背後から罵声が飛んでくる。


 「おぅいボウズ!ボサッとしてねえでとっととやるぞ!ザ・チキン!ソロはてめえからだ!ワン、ツー!」


 始まってしまった。ドラムのおっさんのビートに引っ張られるように曲が進む。ザ・チキン、ザ・チキンってなんだ、ギーさんが言ってたような気がする。ええい思い出せん。すると店長が楽譜を持ってきてくれた。ありがたい。音符を必死に追う。錆び付いた指を必死に動かす。弦を弾く。こわばった腕を、感を取り戻すように。ぎこちなく主旋律をとる。下手くそすぎて、自分でも笑いがこみ上げてくる。きっと客も店長も苦笑いしているだろう。だけど、失望している人はいないはずだ。ここに、俺のことを知っている人はいない。失望のしようがない。その事実に心が軽くなる。だんだん指が軽やかに回る。下手でも止まらずに弾けた。ソロをとり、バッキングに戻り、またソロをとって。1小節進む度に、1音奏でる度に、かつての気持ちが戻ってくる。




一ヶ月半ぶりに弾くギターは、楽しかった。




 1曲終わって、休憩する間もなく2、3曲ぶっ続けで演らされた。ステージ上の演者や客のおじさん達にお疲れーとぞんざいに言われて、ふらふらと客席に戻る。そして、カウンターの向こうでグラスを磨く店長の前に腰を下ろした。


 「お疲れ様、橋本くん。案外弾けるんだねぇ」


 人畜無害そうな顔でにこにこと笑いながら、ドリンクの入ったコップを差し出してくる。ッスと、声にならない声で礼を言って一息に飲み干した。俺の背後ではまた曲が始まっていた。今度はピアノもギターもいなくて、代わりにサックスがいる。ドラム、ベース、サックスのトリオが演奏するのは、先程までの激しさとは打って変わって静かなナンバーだ。

 この得体の知れない店長に色々聞きたいことはあったが、まず口をついて出たのはこんな言葉だった。


 「…なんで、俺がギター演ってたって、知ってるんですか」


 グラスを磨きながら店長は答える。


 「んー、なんとなくかな。指先だけボロボロだったし、店のBGMとか、ギターソロだけやけに集中して聞いてたような気がして」


 無意識に耳を傾けていたのだろうか。あんなにつらくてつらくて逃げ出したというのに、心のどこか奥底では、まだギターに惹かれていたんだろうか。


 「………じゃあ…なんで俺をこの店に連れてきたんですか」


 「そりゃあ、もちろん店員として欲しかったから。ジャズバーの店員が楽器できないのは、格好悪いからねぇ。未経験だったらクビだったかも」


 この店長、人が良さそうでいて意外と遠慮がない。天然なんだろうか。


 求めていた答えとは違う言葉を聞いて、少し不貞腐れたように店内を見渡す。スチームパンク風の意匠が施された店内には、幅広い年齢層の客が座っている。仲間内でセッションしに来たおじさんたち。その奥さんや息子娘さんたち。ジャズサークルで遊びに来てるらしい若者たち。老練らしい白髪の3人組。セッションには参加せず普通に飲みに来てるカップル。いつも同じような年の人達に囲まれていた俺にとって、ここは全く新鮮な世界だった。


 「制服は前の使ってもらって構わないからね。メニューもそんな変わらないし、たまにギター弾いてくれたら昇給あるからね。あぁ、あとこのビル全面禁煙だから、そこだけよろしくね」


 哀愁漂う曲調が流れる店内には様々な人がいる。客だったり演者だったり店員だったり。その中には、もちろん俺自身も入っている。生きる世界が違う。その言葉は今、全く違う意味合いを持って俺の頭の中に存在していた。


 「ねぇ橋本くん」


 演者達が入れ替わり立ち替わり演奏するステージを見つめながら、店長が話しかけてくる。


 「僕ねぇ、ほんとはスタジオを開くのが夢だったんだ」


 次はキーボとドラムとベースのトリオだった。上…なんとかという女性ピアニストの曲を演るらしい。ドラムは先ほどまでベースを弾いていた仙人。ベースは大学生らしき若い男性。キーボはスキンヘッドのアラサーおじさん。


 「なかなか上手くいかなくてねぇ。バーで働きながら資金貯めて、気づいたらなんかこんな店開いてたよ。あはは」


 先程まで叩きっぱなしだった割腹のいいおじさんが横に来て、店長にドリンクを頼む。金色の麦酒を受け取った彼は、ステージの真ん前の席に戻った。すれ違いざまに、もっと練習しろと言われた。


 「うーんと…あれ?何の話だったかな」


 思い思いに楽しむ人達を、カウンターから眺める。ステージから眺める景色とは違って、俺が久しく忘れていた何かを思い出させてくれるようだった。




 「まぁ、道はひとつじゃないってことかな」




 サービスだよ、と付け足して俺の前にカクテルを置く。顔をあげると、柔和な微笑みを浮かべた店長の顔があった。


 もう一度店内をゆっくり見渡す。ステージと、演者と、客と、店員。前いた世界と変わったような、それとも、何も変わってないような。視線を戻して、店長と目が合う。笑い合う。


 淡い赤色をしたカクテルと、欲しかった言葉を飲み干して、俺はこう言った。




 とりあえず、禁煙から始めてみます。



参考にさせていただいたバンド・曲など(出順)

  the cabs(キェルツェの螺旋)、バズマザーズ、ヒステリックパニック(人生ゲーム・WiLL)、Nothing‘s Carved In Stone(朱い群青)、BLEEDEAD、THIS MORNING DAY、Hi-Standard、10-FEET、サンボマスター、SHANK、MUSE、Paul Chambers(Giant Steps)Jaco Pastorius(The Chicken)上原ひろみ

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