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家出  作者: GUN
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孝子っていう女


ろくに伝言も出来ないまま、僕は中途半端な面持ちで兄の顔を見た。

『どうだった?、話、出来たのか……』

『うん……。買い物に出てるって、木村のおばちゃんが……』

『そうか……』

母の様子が判らなかったことが、兄には残念そうに見えた。

あれほど悪態をついて家を出て来たんだ。それなりの覚悟は持っていると、僕は思っていたのに。

『あとでもう一度かけてみるか。なあ、高志』

僕の顔色を察してか、兄は言葉少なに、この場をやり過ごした。けれど、僕の目の前の兄は、確かに僕の知っている強志ではなかった。


『おばあちゃん、ありがとう。助かったよ。で?、電話代はいくら?』

『いいよ、あたしが出しておくから。それより、行く宛てがあるんでしょ、二人とも?。ぼやぼやしてないで、さっさとお行きなさいよ』

『おばあちゃん……』

『たかしって呼ばれてたわねえ、君』

『うん、高い志って書くんだ』

『へえ、いい名前だねえ。お兄ちゃんの方は、なんて名前だい?』

『ああ、強志さ。強い志って書くんだ』

『へえ、兄弟そろって素敵な名前をもらったねえ……。いいご両親だよお』

『おばあちゃんこそ、名前は?』

褒めてもらった御礼に、僕が訊き返した。

『立花小夜子っていいますよ。いい名前でしょ?』

『へえ、ロマンチックなんだね、おばあちゃんって!』

『あれま、高志ちゃんて物知りなのねえ……。感心、感心』

『……?。どう言うやり取りなんだよ、高志。さっぱり判んねえなあ、おれには』

『あとで説明するから。じゃあね、おばあちゃん、ありがとう。あっ、違った、“小夜子”ばあちゃん!』

大きく手を振りながら、僕たちは小夜子さんのお店を離れた。とても親切にしてくれた小夜子ばあちゃんが、僕には愛おしくてたまらなかった。


『なあ、小夜子とロマンチックって、どうつながんだよ?。高志』

早速、兄が疑問を口にした。さっきの小夜子ばあちゃんとの会話に、一人残された感があったのだろう。兄の偏った自尊心がそうさせたに違いない。

『ああ、あれね。お兄ちゃん、セレナーデって知ってる?。音楽の』

『セレナーデって、ああ、なんかこう、いやらしそうな……』

『男性がね、女性に思いを馳せて歌うんだ。時には楽器を奏でたりしてさ、甘い求愛の歌なんだ。それを漢字にするとね、小夜曲って書くんだ。だから、小夜子ってロマンチックだろ?』

『ああっ……?、そうなるな……んんっ』

兄は、半分理解出来てなさそうだったけど、僕はそれ以上の説明を止めた。何より兄の自尊心は、弟のそれより大切なのだ。


『次、何処に寄ろうか。お兄ちゃん』

『パチンコ屋!』

即座に返答を返した兄の目には、すでにネオンが映し出されていた。

“パチンコ・楽座”の店の前に立つと、賑やかな音楽が更に兄の心を引きつけていた。店内に足踏み入れた瞬間、タバコの煙が僕の身体中に巻き付いた。

『おまえは、外で待ってた方がよさそうだな』

『うん、そうするよ』

得意気に台を物色し始めると、ものの1分で兄は着席した。しかも、隣の中年男性からタバコをもらうあつかましさときたら、大人顔負けの仕業だった。それにしても兄の姿は、妙に堂に入ってた。

前から母親が兄を嫌うのには理由があった。ギャンブル好きの父親に、とても似通っていたからだ。

父親が家を出て行ったのも、多分そんなことなんだろうと、幼い頃から僕は想像して来た。


物ごころついた頃には、父親の存在はすでに無く。当たり前に母子家庭で育てられた。とは言っても、父親のいない家庭は、特に僕たちの家に限ったことではなかった。戦争で夫を父を亡くした家庭は、そこいら中にいたのだ。

父は、幼少の頃から多少荒らくれた人物ではあったが。根は気の良い息子だったと、父方の祖母から聞かされた想い出がある。

多くを語りたくない祖母は、いつも言葉につまっていた。家族を捨てて出て行った息子を、どうしても許せなかったのだろう。

祖父は、日露戦争に駆り出され、若くして命を落とした。そう言う父も、父親の温もりを知らないまま育ったのだ。


父が母と出逢った頃、日本はまだ戦争に突入する前だった。熊谷の鉄工所に勤める父と、近くの銀行に勤める母は、偶然の出会いをきっかけにすぐに同棲するようになった。

早々に兄を身籠った母は、両親の許しを得るために、しばらく離れていた実家を訪れた。草津で温泉宿を営んでいた母の両親は、どうしても自分の娘を許すことが出来なかったのだろう。両親への背信の末、故郷を捨てたも同然の娘。それは他の姉妹の目もあってか、渋々、娘一人を諦めてしまったのだ。

それでも母のすぐ下の妹は、時折、手紙と一緒に僕たちのために、洋服とかおもちゃを送って来てくれていた。

僕たちはその人を、“幸子”おばちゃんと呼んでいた。何年か前に一度、僕たち兄弟の前に顔を見せた幸子おばちゃんは、奇麗な着物姿で僕たちにお小遣いをくれた。

それに気を悪くしてか、母はこう言った。“父親はいないけど、お金には困ってはいないわ。幸っちゃん、ありがたいけど・・、貰うわけにはいかないわ・・”。本当は喉から手がでるほど欲しかったに違いない。僕たちの服だって継ぎはぎだらけの粗末なものだった。

唯一、母が心を許していた人が、川越の伯父さんだった。


伯父さんも、草津の祖父に反目し合ったまま、勘当同然に家を飛び出したのだ。

祖父の傲慢な旅館経営と、利権争いに躍起になった兄弟姉妹を見かねてのことらしかった。

お金の無い悔しさからか、母は仕事を掛け持ちで、朝から晩まで働いていた。兄を高校にやるんだと、必死にお金を稼いだ。

やっと、兄が高校に入ったと安心した矢先。生徒同士の争いに、兄が率先して名乗りを挙げていた。元来、短気で喧嘩好きな兄にとっては、好むところだった。

当然、退学処分が科せられた。兄は僅か2ヶ月で、自由を手に入れたのだ。

それ以来、昔の仲間とつるんでは、やくざ擬いの悪さを繰り返した。警察沙汰も日常的になっていた。

母の苦労を尻目に、兄は始末の負えないチンピラ家業を楽しむ様になっていたのだ。

そんな時だった、父の昔からの友人が我が家を訊ねて来た。出張先の鎌倉で、父と似た男を見たとのことだった。過去の父の面影はとうに無く、みすぼらしい格好は目を背けたくなる程だったと言う。

その話を聞いた兄は、俄然、父に会いに行くと言い出した。兄の行動を引き止めた母に対して、兄は一歩も引く気配を見せなかった。

どうせ母が会ったところで、元の鞘に収まるはずもなく。例えそうなったところで、それを兄が許すはずもない。

兄の語る、“慰謝料”とは、本当にお金だけの問題なんだろうか。

あれこれと考えているうちに、周りの店先のネオンが幾つも灯り始めた。僕は頃合いを見て、兄のところに戻った。

ご機嫌そうな兄は、タバコをふかしながら足元に溜まったケースに左足を掛けていた。


『お兄ちゃん、もう時間だよ。行こうよ』

『何だよ、高志。いま調子いいんだ、止められるかよ!』

『10数えるから。それまでには終わってよね!』

『あん?』

『いーち、にーっ……はち、きゅーっ、じゅうっ!……。じゃあ、僕一人で行くから。いいでしょ!』

この冒険旅行が始まってから、僕は兄に反抗することが目立って多くなった。兄の行動パターンも発言の怖さも、以前とは全く異質なものとなっていたからだ。

元々、兄には近寄り難い雰囲気があったから、僕は極力、兄を避けて来た。学校の同級生にしても、兄はとんでもなく怖い存在だった。その弟というだけで、つまはじきにされることも少なくはなかった。

その兄に今、僕は堂々と反抗が出来ているのだ。弟として、真っ直ぐに口ごたえが出来るのだ。


『おまえなあ、我が儘もほどほどにしとけよお!』

タバコをくわえた兄は、相当悪ぶっていた。それも、弟に対してだ。他人ならともかく、僕に今更、そんな脅しが利くわけがない。

『行くから!。僕が父さんに会って、慰謝料を請求するから!』

店内の音楽に負けないくらい、僕は大声で言った。

兄の得意とする、“慰謝料”を、僕は堂々と口にしたんだ。

『なっ!、待てよ、高志っ!』

驚いたように兄は、玉を弾く手を止めた。兄の唇から、短くなったタバコがぽろりとホールの床に落ちた。

『おい、どうしたおまえ。反抗期か?』

『そう、お兄ちゃんにたいする反抗期さ。どうするの、行くの?。それともこの場で遊び呆けているの?』

甘い顔を見せては駄目だ。そこに、隙を見せては駄目なんだ。

『……。判ったよ、行けばいいんだろ……』

渋々、出玉を景品に替えた兄は、袋から取り出した物を一つ僕に放り投げた。それは真っ赤な箱に入っていた。


『チョコレート……?』

『ああ、待ち料だ。これで勘弁しろ!』

そう言って笑っていた兄の白い歯が、とても印象的だった。何故なら、僕には兄から何かをもらったことなんて、今までに無かったからだ。

『変な目で見るなって、調子狂うだろがあ……』

幾分、照れ隠しに忙しそうな兄は、足早に目的地へと足を向けた。

『確か、この辺だったよな』

ネオンが灯った街並みは、どこも同じように見えていた。通りには外国人の姿も珍しくなかった。昼間の繁華街は夜の訪れとともに、生まれ変わったかのように艶やかさを見に纏っていた。

『お兄ちゃん、ほら、あそこ!』

弱った灯りに照らされた、“キャッツ”の文字が、うっすらと飛びこんで来た。


『なんだ……、しょぼくれてんなあ』

色褪せた看板に、煉瓦造りの店構え。年期の入ったドアのいたるところには、擦り傷が刻まれていた。

『よっしゃあ!、入るぞ!』

そう言って兄がドアのノブに手を掛けようとした時だ、そのドアが勝手に手前に開いた。

『わおっ……!!』

『えっっ!?』

中から顔を出した中年女性は、口元をへの字に曲げて僕たちを見ていた。

『……、何だ、子供かあ・・。あんたたち・・、借金取りじゃあないみたいだね』

『へえ・・?』

『何の用さ……、冷やかしならお断りだよ!』

小奇麗に化粧を施した、その中年女性は、僕たちを無視するかのようにバケツに入った水を撒き始めた。


『キャッツだよね、ここ・・』

兄が短く本題に入った。

『そうだよ、そこに書いてるだろ?。あんた読めないの・・』

面倒臭そうに中年女性が言った。明らかに面倒臭がってる様子が、僕にも伝わった。

『読めるとかそんなんじゃないだろ!、訊いてるんだよ、応えろよ!』

堪らず兄が、いつもの調子で絡んだ。

『はーーあ。なんだかしらね、この子たちは……』

『小森靖志って男、居るんだろ!』

『えっ……?』

『居るんだろ!』

『ちょっ、ちょっと、あんたたち、一体、どう言う関係?。あの人を、連れ戻しに来たの!!』

父の名前は、小森靖志。靖という字は、安らかにと言う意味らしい。それに志がぶら下がっている。人類史上、これ以上は無いくらいの名前のはずだった。

『連れ戻すって、どういうことなの?。あの人って……?、父さんは、おばさんの何なの!?』

『高志、おまえ……』

さっきからのその女性の態度には、僕なりの違和感を覚えていた。だから、僕は真っ直ぐにその女性に向けて言えた。


『……。ごめんね、ごめんね……』

そう言うと壁にもたれながら、その人は懸命に言葉を探していたようだ。

『ここに居るのか?、なあ』

相変わらずの兄は、その人のダメージなんて気にもしないで、ぶっきら棒にその人に攻め寄った。

『来ないわよ。あの人は、もうここには来ないわ……』

『来ないって……。あのね、そう簡単に言われたってさ、おれ達どうすればいいんだよ!。はいそうですかって、帰れって言うのかあ!』

更に追い打ちを掛けるように、兄はその人に迫った。

『泊まる処なら、あるわよ』

『あのね、そう言う問題じゃないだろ!。あいつは何処に居るんだよ!、ええっ、何処に行けば会えるんだよっ!!』

ついに、兄の辛抱の糸が切れた。まるで要領を得ないその人の言葉は、父親の気配はここには無いことを知らせていた。

『ここには居たんだよね、父さんは……』

せめて事実確認だけはしておきたかった。だから、敢えて僕が口を開いた。

『先月まではね……』

『詳しく知りたいんだ。ねえ、話してもらっていいかな?』

『……。入んなさいよ』

開き直った様子のその人は、店のドアを閉めるとすぐさま鍵を閉めて、看板のスイッチを切った。


『今日は商売になんないわねえ……』

そう言ってカウンターの端に腰を降ろすと、セットしていた髪を、おもむろに両手で壊し始めた。

団子状態の髪の毛が、バサリとその人の背中めがけて舞い降りた。少しくねった癖髪は、跳ねたまま自己主張を楽しんでいた。

『ああ、軽くなったわ……』

すらりと伸びた髪の毛は、歳に似合わず光沢を放っていた。

『埼玉だったかしら、お兄ちゃん達?』

『知ってたんだな、おれ達のこと』

『ええ、何回も聴かされてたわよ。もう、うんざりってくらいにね……』

『何処に居るのさ、あいつ』

『自分の父親に向かって、あいつなんてないでしょ。いい加減にしなさいよ!』

『いいんだよ、おれの中では、“あいつ”ってのが、今までのおれの常識なんだからさ!』

そう言ってカウンターの中央に、兄は席を取った。目の前の棚に並べられたボトルの数々が、兄の目を誘っていた。


『まさか、死んじゃいないよね!』

兄の、冗談混じりに言った一言が、その人を真顔にさせた。

『冗談にもほどがあるでしょっ!。さっきから聴いてれば何よ、父親のことをあいつだとか、やくざみたいに大声で脅かしたり、あんた何様なのよ!!。女だと思って舐めてんじゃないよ!!』

興奮してきたのか、まだ気が収まらないのか、その人は小物入れからタバコを取り出し、口元に運んだ。金色の細めのライターに火を点けると、ぼんやりと揺らめく火を眺めながら、ようやくタバコの先に火を入れた。

『ふううっっ!!!』

吐き出した煙からは、外国産特有の香りが漂った。

『強志って言ったわよね、あんた』

『知ってんのか、おれのこと!』

『知ってるも何も、あんだけ聴かされちゃさ、誰だって覚えるわよ。まったく……』

『僕のことは?』

『ちゃんと聴いてるわよ、高志くんでしょ。高い志って書くんだよね』

『そう、合ってる……。へへへっ』

『高志くんも、言葉には気を付けたほうがいいわよ!』

『えっ、僕は何にも言ってないけど……』

『初対面の女性に向けて、“おばちゃん”は無いでしょ。それってねえ、とっても失礼な呼び方なんだよ。いい』

『あっ、……』

『孝子って呼んでよ。ねえ?』

『うんっ!』

孝子さんの顔をまじまじと見ると、意外と若いことに気が付いた。どうしても夜の商売をやってる、“ママさん”のイメージが、僕の中では“おばちゃん”として、出来上がっていたからだった。

『そんなことはいいから、話進めようぜ。なあ、孝子さんよ。何処に隠れているんだよ、“あの人”は』

孝子さんに叱られたからだろうか、兄は父の呼び方を改めた。


『……。きっと病院だと思う』

『なんだよその曖昧な言い方は!、話になってないだろ!』

『今から話そうとしてるのっ!、黙ってなさいよっ!!』

堪らず立ち上がった兄は、孝子さんに近寄った。

『落ち着きなさいよ。小さい頃からの短気は、治っていないようね……。やっぱり、あの人の子供のようだわ。吸う?、強志くん』

差出されたタバコを乱暴に受け取ると、兄は孝子さんのライターの火を避け、ポケットからマッチを取り出した。

“バシュッ!”マッチの煙に目を細めて、ふてくされたように一気にタバコを吹かした。

『ちっ、まずい“モク”だなあ。だからあっちもんは嫌なんだよ……』

『ふふ、背伸びしたい年頃ってわけね。16歳だったわよね、あなた』

『へん、おれ達の情報は筒抜けってわけだあ……。こりゃあまったく、分が悪いぜ……』

『そうやって、いちいち何か言わないと気が済まない。ほんと父親譲りかしらね』

次第に穏やかな表情に変化していく孝子さんは、どこか愛おしそうに、兄のことを見つめていた。

『けど、タバコは程ほどにした方が賢明だわ……。あの人のように、なるから』

『……。ちっっ、肺がんかよ……?』

孝子さんのもらした、“病院だと思う”っていう言葉で、兄はすでにそれを察知していたのだろう。さして慌てた様子もなかった。


『どうして病院が判んないの?、孝子さん。お父さんと別れたの?』

『変なこと言わないでよっ……。そんな関係じゃないの、子供のくせに、知ったかぶりするもんじゃないわよ……!』

僕の幼稚な直感は図星だったようで、孝子さんは少しだけ慌てていた。

『じゃあ、どんな関係だったの?。ねえ、否定するくらいだったら、言ってくれてもいいでしょ!』

僕のことを子供扱いする孝子さんの言葉に、つい腹を立ててしまった僕は、意地悪な問いかけをした。

『ふっ。何をとぼけたこと言ってんのよ……。あんた達が思っているような、関係じゃないわよ』

二本目のタバコに火を点けた孝子さんは、すぐに体勢を立て直して、反論した。

『賛成っ!。おれも聴きたいんだよなあ、あんたとあの人の関係をさ!。いっそのこと、全部喋っちゃえばあ!』

それに便乗して、兄が囃し立てるように言った。

『僕たち、ここに遊びに来たんじゃないよ。孝子さん……』

兄の調子を反らすように、僕は彼女の目線だけを追っていた。

『どこまで知りたい?。本当に聴きたいの……?』

僕たちの意思を確認するように、孝子さんは静かに言った。

『どこまでって……』

『おれは全て聴きたい!。あんたの知ってるあの人のことを、おれ達を捨てたあの人が、どんな顔をしてここで生活してたかを、おれは全部聴きたいんだよおっ!!』

ついさっきまで、はしゃいでいたはずの兄は、ぐっと拳を握りしめて、思案に暮れる孝子さんの顔を凝視していた。


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