第三話
今日から、ジャム作りが始まります。と言っても、朝からではありません。
朝は、いつものように教会に行き、ミルディアちゃんに注意されつつ勉強。
ミルディアちゃんからの注意が、ツボになりつつある今日この頃です。
だって、可愛いんです!仕方ないんですよ!
「サクラちゃん。違うよ?ここは、こうじゃないからね?」
そう、お姉さんぶりながら教えてくれる姿がツボです!
たまに、拗ねるように注意してくれるのも!
「もう、違うったら!」
そう言って、口を尖らせて頬を膨らませる!
これが、ツボに入る!入りまくりですよ!
でも、注意して教えてくれるミルディアちゃんのお陰で、もうすぐ上のクラスにいけそうです。
ミルディアちゃん、本当なら、上のクラスに行けるレベルなんですが、私があまりにも…あまりにも…と言う事で、残って教えてくれるのです。
…って、そんなにダメですか?
横文字、元々苦手だったので…まあ、ダメダメですけどね。
ミルディアちゃんには、いつか恩返しをしたいと考えています。
シルビィアさんとも相談していますので、卒業した時に何かをしたいと考えているところ。
卒業と言っても、一通りの事を教われば終わりなんですけどね。
私より早く卒業しそうな気もしますが、この様子なら一緒に卒業してもらえそうです。
その前に、卒業できるかが心配なんですが…。
そんな私を心配して、シルビィアさんの子供達が私に絵本をくれました。
……頑張ります。
そんなミルディアちゃんは、宿屋の娘さん。
茶色のさらさらの髪の毛に、緑の瞳。柔らかな頬っぺたとぷくぷくとした可愛い唇。
私を、変態の一歩手前にしてしまうほどの可愛らしい容姿のミルディアちゃんは、宿屋の看板娘。
看板娘なんだけど、教師になりたいと願っている。
そこら辺は、親も了承してるみたいなので問題はないそうです。
ミルディアちゃんのお兄さんが後を継ぐのもあるんですが、基本、子供の将来を親が決める事はないとの事。
自主性を重んじる…と言う事です。
そんなわけで、ミルディアちゃんは、教師になりたい夢を持った。
で、今、夢への一歩として、私の勉強を見ているんですね…。
私、ある意味、役にたってます。
意味を深く考えたくないので、考えませんが。
「サクラちゃん。この調子だと、次にいけるね」
「はい。ミルディアちゃんのお陰だよ。ありがとう」
にこりと微笑むミルディアちゃんに、私も顔が緩みまくりです。
この村に来て、他の人達とも仲良くしていますが、やっぱり一番はミルディアちゃんだと思ってます。
シルビィアさんの子供達とも仲が良いですけどね!
ただ、事情を知っている上の子達二人は、労りの気持ちが強いですが…。
その労りの気持ちが、どう見ても“異世界から来た可哀想な人”視線じゃなく“異世界から来た年寄り”扱いされてるのは何故?
そりゃまあ、力仕事は専門外ですけどね!
リージニア(オレンジの事)の箱を持った時、少しはよろめきましたけども!
だからと言って、年寄り扱いは…泣きますよ?
「重い物は僕達が持つからね?サクラちゃんは、店番してて?」
そうサリキス君に言われてました。
……ん?あれ?まさか、子供扱い?
私、サリキス君よりも年上…。
「サクラちゃんは、早くここに慣れないといけないから、勉強頑張って?」
ヒィリファちゃんの言葉に、私は“心配してもらっている”と感じました。
そうですよね。先ずは、慣れないといけない。
慣れてない内に手伝いをしても、邪魔ですもんね。
皆の優しさを、ねじ曲げて受け取るなんて!ダメですよね!!反省です!
私が今、やれる事を頑張ろう。
ジャム作りを頑張りたいと思います!
……勉強も頑張りますけど…。横文字は、本当に苦手なんです。
それでも、頑張ります。
こんな感じで、午前中は勉強をして、昼を食べ、それからジャム作りを始めます。
今日の夕方、私の作ったジャムが、アルバーさんの店に出る。
かなり緊張しますが、皆さんにオススメしたいので頑張りますよ!
さあ、何のジャムを作りましょうか?