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お手製のジャムを召し上がれ♪  作者: 水沓 亜沙南
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第一話



 朝、シルビィアさんの作る朝食を頂いてから教会へ行きます。

 教会は、無料で勉学を教えているらしく、村の子供達は皆通っている。大人達も、昔、教会で勉強をしていたみたいです。

 私も、その中に入ってお勉強。クラスは、一番下のクラス。

 年少クラスで、この世界の読み書きを習っているのですよ。

 この年で、6歳から8歳の子達と一緒に読み書きの勉強。…かなり、複雑。

 私、この世界の言葉は理解できますが、文字が読めないし書けない!

 だから、アルバーさんの店で働いている時、困るんですよ。

 お客さんが頼んだ注文を全て覚えてなきゃいけないんですから。

 文字が読めない書けないなら、暗記するしかない。 暗記は得意ですが、やっぱりメモが取れると便利ですよね?

 お金の勘定は、なんとかなるんですが…レジ打ちだけしても手伝いの意味がないような気がするので。

 仮にも“看板娘”がですよ?レジ打ちだけって…。

 とにかく、二人の手伝いをするためには読み書きを覚えなくてはいけないんです。

 今のところ、物の名前は理解できました。

 文法は、まだまだ先になりそうですが…。なんとかなると思います。

 文字は、英語と言うか、ドイツ語?ギリシャ語?みたいな文字。

 あれ?イタリア語かな?

 ……日本語でないのは確かです。横文字は、苦手なんですよ!説明は、勘弁してください!

 まあ文法は、日本語と同じみたいでなんとかなりそうです。

 文法は良くても、単語がわからないから文章になってないんですけどね。

 そのせいか、よく同級生のミルディアちゃんに注意されます。ミルディアちゃん、8歳。私、8歳の女の子に…。

 いや、でもですね!ミルディアちゃんは、とても良い子なんです!

 他の子達も良い子なんですけど、ミルディアちゃんは特に。

 なんでも、将来は教師になりたいらしく、勉強を頑張っているのですよ!

 そこに、私みたいな人がいたら、教えたくなるそうなんです。

 ……ん?あれ?なんか、おかしい…?


 …まあ良いです。気づかなかった事にしましょう。

 教会で勉強して、終わったらアルバーさんの店で働く。

 これが、私の日常です。




* * * * *




 ある日、アルバーさんの店で働いている時です。

 何か、足りないと思っていたのですが、やっと思い出しました。

 “ジャム”です。

 この世界には、ジャムがないんですよ!

 シルビィアさんに聞いてみると、パンは、バターか具を挟んで食べるだけだそうです。

 私は、ジャムが好きで、この世界のジャムを楽しみにしてたのですが…残念。

 しかし!なければ、作れば良い!

 砂糖も果物もある。

 お二人にお願いして、作らせてもらう事にしたんです。

 ついでに、ケーキも。 ここは、タルトみたいなケーキはありますが、スポンジケーキはないです。

 小麦粉も卵もありますから、いっその事、作ってみようかと思ったんです。

 ジャムと一緒に食べてもらおうかと思って。

 シルビィアさんに、台所の使い方とかを聞いて、早速作ってみる事にします。

 あっ、この世界では、小麦粉は“ショームー”と言うらしいです。卵は“ランニ”です。

 まだ慣れないので、小麦粉と卵と言っているだけですからね。




* * * * *




 二時間掛けて、なんとかできました。

 ジャムが二つと、ケーキが一つ。

 作ってて思ったんですけど、この世界、元の世界と器具が同じなんです。

 電気とかはないので、旧式な感じなんですが。

 何故、道具があって、作らないのか?

 疑問です。

 まあ考えても仕方がない事ですから、考えるの止めますが。

 小瓶に入れたジャムがある程度の熱がなくなったところで蓋をして、アルバーさんの店に行く事にしました。

 シルビィアさんも一緒にいるはずですから。

「アルバーさん。シルビィアさん。できましたよ!」

 まだ、誰もいない店。その奥で仕込みをしているアルバーさんと、その手伝いをしているシルビィアさんに声を掛ける。

 すると、顔を出してくれたのはシルビィアさん。

「おや、早かったね。大丈夫だったかい?ちゃんと、わかった?」

 シルビィアさんが心配して聞いてくれますが、早くはないと思いますよ?

 二時間掛かりましたからね?

 それとも、もっと掛かると思われた?

「はい。大丈夫です。それより、試作品ですが食べてみてください」

 そう告げると、シルビィアさんがアルバーさんを呼び出し、試食が始まりました。


 ドキドキです!




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