第十二話
シルビィアさんと出会ってから、私は色々と話を聞きました。
そこで、ここが異世界だと理解したのです。
え?受け入れるのが早いですか?
でも、受け入れないと頭がおかしくなる現象もあるのですよ!
受け入れないとおかしくなる現象は、シルビィアさんがしてくれました。
シルビィアさんは、大きな畑の持ち主さんです。
で、管理もシルビィアさんがやっています。
「話は、家に帰ってから聞く事にするよ。良いよね?それとも、何か急ぐ?」
急いでいると言えば、急いではいます。
でも、帰り方が解らないので…どうなんでしょう?
「ん?急いでないなら、畑に水を撒いてからにしても良い?」
「はい。構いません」
直ぐに帰れないのなら、仕事の邪魔をしてはいけませんよね?
そう思い、待つ事にしたのです。
でも、ここの畑、かなり広いんですよ。
ただ見てるだけより、お手伝いした方が良いのか?それとも、初心者だから邪魔しないようにした方が良いのか?
そう考えてた矢先に、いきなり水音が聞こえたのです!!
「はいっ!?」
水音が聞こえた方に視線を向けてみれば、間抜けな声が出てしまいました!
いや、出ます!あれを見たら、絶対に出てしまいますから!!
そんな私が見たものは、シルビィアさんが水を撒いてるところでした。
まあ、水を撒くと言っていたのですから、水撒きしてるのは良いのです。
ただ、そのやり方が不思議なのですよ!
シルビィアさんが水撒きする前に、畑での注意事項を教えてくれました。
「あっちこっちに、細い管があるでしょ?あれから水が出るから、濡れないように気を付けてね!結構、広範囲にしてるから!」
そう言って、シルビィアさんは、地面に円を書き出したのです。
「はい。この中に入って!中から出ると濡れちゃうからね!」
…えっと…、意味がわかりませんが…。ここは、口答えせずに従うべきだと思いましたので、黙って中に入りました。
私が円の中に入っている間、シルビィアさんは色々と動き回っています。 そして、畑の中から管を取り出して、何か箱のような物に繋げました。
なんなのでしょうか?あれ…?
……木箱……ですよね?
木箱に管を繋げて、何をするつもりなんですか?
確か、水撒きすると聞いたんですが…?
……ん?なんですかね?あの、青い丸いの?
木箱に入れましたが…?
なんなんでしょうか?
それよりも、手伝い…云々〜。
…と、思っていたら、いきなり管から水が出てきたのですよ!!
広い畑一面、いきなり管から水がですよ!?
しかも、勢いが半端ないんですけど!?
良いんですか!?
植物に、そんな勢いが半端ない水掛けても!?
チラリとシルビィアさんを見てみると、上機嫌で水撒き(?)していました。
シルビィアさんがしたのは、手提げ袋から木箱を取り出す→管に繋げる→青い丸いのを入れる。
これだけです。
これだけで“水撒き”してしまったのです!
これを見た時、頭の中で“異世界”と言う単語が浮かびました。
近所に住む、お姉さんがオタクさんなので話には聞いていましたが…!
小説の中の話だけでは無かったんですね!!
新しい発見です!
この時、私は、決めたのです。
元の世界に戻れるかは、今はわからない。
わからないなら、この世界で生きていくしかない。
元の世界に帰れたのならば、異世界の話をりぃ姉に話してあげよう。
待っててね、りぃ姉!
私、異世界生活をしてみせるから!
だから、壱兄に、異世界生活を満喫した頃に迎えに来るように伝えてくださいね!
りぃ姉言ってましたものね。壱兄は“チート”だから、なんでも出来るって!
もし、自力で帰れなくても安心です。
私には、りぃ姉がついていますから!
え?意味がわかりませんか?
えっと…、簡単に説明しますと、りぃ姉は、私に甘いのです。
で、壱兄は、基本、りぃ姉に甘い。
つまり、りぃ姉がお願いすれば平気なわけですよ!
つまり、私は、何の心配もいらないのです!
……あっ、でも、危険な事があったら…?
俯き掛けた視線を、空に向けました。
すると、空に虹が架かっていたのです。
それを見たら、何となくですが、平気なような気がしました。
虹は、りぃ姉との思い出の証だから。
だから、平気な気がしました。
そんなこんなで、私の異世界生活が始まるのです。




