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第5話

3人の末端「旭東会」関係者を惨殺した1週間後の夕方19時頃。浩志は部活の帰りに、呼び止められた。

「あのー…すいません」

「ん?」

相手の顔を見て思い出す。あぁ、この前3人組に絡まれていた女の子か。こんな時間に人通りの少ない場所で1人でいたらまた絡まれるぞ、と思いつつ見る。やはり美人さんだ。長い黒髪が似合う和風美女である。見とれていると

「この前は助けていただいてありがとうございました、ちゃんとお礼を言ってなかったので…」

「あぁ、いいのに、そんなこと。ていうかこんな時間に1人でいたら危ないよ」

「ヘヘヘッ、実はさっきも男の人に声掛けられて焦ってたとこなんですよ。でもあなたがいると思ってたので、何か不安はありませんでした」

「毎日この時間じゃないからあてにしちゃ駄目だよ。ところで何か用事でもあった?」

「あ…あの…名前も何も知らないので教えてもらえませんか?」

「俺?…俺は浜宮中学1年の桜浩志っていうんだ」

「へぇ、桜くんだね。私は、山手中学1年の三枝光希です。同級生だね。よれしく。」

「同級生かぁ、先輩かと思ってたよ。まぁよろしく。学校も隣だしね」


自己紹介から他愛のない話をしつつ何となく打ち解けていく。帰り道を並んで歩きながら

(光希ちゃんかぁ、可愛いなぁ)

なんて思っていると、1台のワンボックスカーが隣で止まり後部スライドドアが開く。急に男が3人出て来て俺と光希ちゃんを強引に車の中に押し込んだ。いきなりのことで対応が遅れ身柄を拘束されてしまった。何としても光希ちゃんは守らなければならない。ていうか、こいつらは誰だ?運転手と助手席に1人ずつ、2列目に男3人、3列目に俺達2人が乗っている。車に押し込んだ3人のうち2人が俺と光希の頭に銃を向けている。手は拘束されてはいなかったので、わからないように右ポケットに入っている携帯の1番を押し通話ボタンを押す。溝口さんに電話が繋がる。通話状態のまま相手と会話を始める。

「あんたたちは誰だ?」

「は?黙ってろ!ガキが!」

「俺達をどうする気だ?殺すのか?」

「心配か?まぁ教えてやろう。俺達は旭東会だ。心当たりはあるか?」

「旭東会?いや、全く」

「おまえ、最近高校生4人組と揉めたろ?ここまで言えばわかるだろ?」

「あぁ…あいつら組員だったのか?」

「いや、組員じゃないがそれなりに厚遇してやってた連中なんでな。そいつらが消えたんで調べたらお前が出てきたってわけだ」

「じゃあ彼女は関係無いから放してやってくれ」

「出来ない相談だ。組長が女も連れてこいと言っているからな」

「じゃあとりあえず組長さんに会うまでは殺されることはないわけだ。ちなみに組事務所に向かってるのか?」

「まぁな。ごたごたももみ消せるしな。つかガキのくせに肝っ玉座ってんな」

「どうも。褒め言葉と取っときます。一応言っとくが、彼女を傷つけたら許さないよ」

「フン、生意気言ってんじゃねぇ」



という会話を溝口さんは携帯から聞いていた。すぐに組長に連絡が行き、「旭東会」事務所へ向かう準備を始めた。



一方、浩志達も「旭東会」組事務所に到着した。今更抵抗しても無駄なので大人しく付いていく。扉を開けて中に入ると、正面に恐らく東則夫と思われる人物がいる。目付きは鋭く雰囲気を持つ男に見えた。そして部屋全体には20人程の男達がいる。隣では俺の袖を掴み恐怖と不安に満ちた顔をしている光希ちゃんがいた。小声で光希ちゃんに

「大丈夫。何が何でも守るから」

と言ってやると、頷き少し笑顔を見せてくれた。

さてどうするかな…。武器になりそうなものが欲しかったので事務所内を少し観察する。広さは結構広い。フットサルコートぐらいはあるのではないか。今は、出入口を背にした形で入口付近に立っている。相変わらず頭には銃が向けられているが。左手側には一面窓があり3階からの景色は意外によかった。向かい側は東組長がいて隣には若頭らしき男が立っている。その向こうの壁に日本刀が飾られている。右手側は壁でポスターやらグラフや表といったものが所狭しと貼られている。組員達はソファーや机、椅子等に腰掛けこちらを見ている。今の所武器は日本刀か頭に向けられている拳銃ぐらいか。好きなのは日本刀だなぁ、などと考えていると、組長の東が話し出した。

「おまえが洋介たちを拉致ったのか?」

(拉致?俺が殺したこと知らないのか?それとも罠か?最初が肝心だがどう持っていくか…)

敢えて無言という選択肢を選んでみる。

「答えられないのは答えてるのと一緒だぞ?おまえが拉致ったんだな?」

(ん〜、失敗。ここは正直に話した方がいい感じだな)

「拉致ったのは俺じゃない。鹿児組だ」

「あぁ、知ってる。じゃあおまえは何をしたんだ?あいつらはどこにいる?」

「カマかけたのか。4人の居場所は知っているが教えられない」

「何故だ?」

「俺の命がかかっているからだ。こんなガキが組の秘密を喋ると、命が無いのはあんたが1番よくわかるだろ?」

「じゃあ質問を変えよう。あいつらは何か喋ったか?」

(?喋る?何かバラされてはまずい秘密か何かがあるのか?)

「知らない。尋問は俺がしたんじゃないからね」

というと東組長と若頭がコソコソと話をしだした。暫く話してからこちらを向き直し

「おまえは鹿児組とどういう関係だ?」

「知り合いのおじさんが組長で子供の時から可愛がってもらってた。ヤクザってのも最近知った」

「じゃあとりあえずおまえら鹿児組の餌になれ」

というと20人もの男達が動き出した。捕まっては打つ手が無くなるので、頭に向けられた銃を奪う。左手で拳銃のスライド部分を押さえ右手で銃口をもち捻ってやる。相手はいきなりで対応が遅れ銃を放してしまう。奪うなり頭に1発撃ち、光希ちゃんの頭に銃を向けてる男の頭に1発撃つ。光希ちゃんに

「逃げろ!!」

とだけ言うと向かってくる男達の頭を撃っていく。何発か外したが、10人程殺した時点で向こうも物陰に避難しだした。なので光希ちゃんの頭に銃を向けていた男から銃を奪い俺も隠れる。敵は残り10人と組長と若頭。恐らく全員銃で武装。少し分が悪い感じ、だと普通は考えるだろうな。だが俺は迷う事なく隠れている場所を出て、いつもの超人的瞬発力で一気に移動し銃を撃つ、一気に移動し銃を撃つを繰り返し反撃の間を与えずに殺していく。そして残りは組長と若頭になった時組長が

「おまえが鹿児組の殺し屋か?洋介達もお前が殺したんだな?おまえ、俺達を馬鹿にしたな!ヤクザナメるとどうなるか教えてやる!!」

と怒鳴ってきた。物陰から出て来た東組長は手にマシンガンを持っていた。さすがにマシンガンの弾は先読み出来ない。慌てて柱の陰に隠れる。そこにこれでもかというほどの弾が浴びせ掛けられる。しかし弾切れを起こしマガジン交換するためにしばし反撃の間ができる。それを利用し、まず組長の隣で拳銃を撃ち援護している若頭を狙う。初弾を先読みしかわしたあと、蛇行して続く弾をかわしつつ間を詰める。左手で拳銃を弾き右肘で鳩尾を突く。鳴咽しながらうずくまる若頭の側頭部に左足で蹴った後壁に掛かっていた日本刀を取り鞘から抜く。そのまま若頭の首を切り落とす。血が吹き上がり隣の組長は血のシャワーを浴びた形になってしまう。マガジン交換も終わっていたが右腕であった若頭の首が飛び血のシャワーを浴びたことで固まっていた。俺はとりあえずマシンガンを持っていた右手を切り落とすことにした。

とその時入口が開いた。入って来たのは「鹿児組」の面々。拳銃や短刀を持っている若い衆が最初に入って来たが、生きてる「旭東会」が東組長だけとわかると組長と溝口さんが入って来た。

「浩志無事みたいだな。女の子は保護したぞ」

「ありがとうございます。旭東会の組長はどうします?この前の4人の件で何か隠してる感じなんですよ」

「あぁ、多分麻薬か何かだろ。なぁ東?」

「………………」

「答えないなら手足を斬っていくがどうする組長さん?」

「………………」

黙ったままなので左腕を切り落としてやった。流石に武闘派の組長、叫び声は上げずこちらを睨んできた。しかし観念したのか話し出した。

「……あ、あいつらは…俺達が手に入れた大麻を若者達に売っていた。ヤクに染まった男は揉め事に使って、女は風俗やイカれた奴に売ったりした。あと揉め事を作って組が介入しやすいようにもしていた。だから短期間でここまでになったんだ」

この話を聞いて怒りを覚えた俺は思わず右足を切ってしまった。世の中力が無いやつは好いように使われるのが現実だが、それでも弱い立場の人間を堕としめるやり方は好きじゃない。だから反射的に斬ってしまったのだ。東組長は両手右足を失い流血で意識が薄れてきているせいかぐったりしてきた。

ほとんど聞きたいことは聞いたのでもう死んでも構わない。あとは事後処理だが「鹿児組」が何とかしてくれるだろう。現にすでに片付けが始まっている。あとは任せて俺は光希ちゃんの所へ向かった。

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