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第12話

鹿児組の屋敷に着いたのは18時を回ったぐらいだった。とりあえず溝口さんに今日あったことを話すと、特に驚くことなく組長の部屋に案内してくれた。


組長たちの話を聞くと、昨日田口という所轄の刑事の名前が出てきたようだ。この田口という男、35歳にして課長職に就き今まで何人もの凶悪犯を逮捕してきたようだ。以前はもっと都会で活躍していたようだが、暴力団との関係を疑われこんな田舎に飛ばされてきた。こっちにきても仕事は一流で色んな権限を与えられている。相棒の上野もやり手で2人で色んな事件を解決させている。というのが表の顔。裏の顔というのが、暴力団に深く関わり、麻薬・売春・詐欺・恐喝などを見逃すどころか自ら率先して行っている。しかもバレることがないように自分は安全な所から傍観し、大金を手にしている。そのように上手く使っていたのが高校生4人組や旭東会であり片岡組だったのだ。そしてバレそうになれば殺しも已む無しという腐れ外道のようだ。そんな話を聞くと、職員室で殺しておけばよかったと思ってしまう。



これからどうするか話し合っていると、いきなり警官隊が屋敷に突入してきた。いきなりで対応が遅れ屋敷は包囲され若い衆数名が確保されてしまう。俺は、組長からもらった短い日本刀を鞘から出し装備する。まだまだ包囲しているだけで距離もあるのですぐにこちらに被害が出ることは無いだろう。あちらは警官60人程、こっちは30人程。人数も武器もあちらが上回っているが、俺には関係無い。60人ぐらい10秒いらないし。組長と溝口さんは拳銃を装備し組員に指示している。とりあえずまだ手を出してはいけないらしい。しばらくするとスーツ姿の田口と上野が現れた。そして

「鹿児組さん、全員署に来て頂けませんか?」

と言ってきた。

「何の用件で令状を取ったんだ?」

「片岡組組員殺人事件ですよ。あれ鹿児組さんでしょ?あと安生組と。わかってるんですから大人しく出てきてくださいよ。発砲許可もらってますけど出来れば撃ちたくないんですよ」

距離があるので大声でのやり取りだが、ものものしい雰囲気なわりにフレンドリーなやり取りで緊張感が削がれる気がした。そんな雰囲気に流されたのかつい

「実行したのは俺で鹿児組は何もしてないわけだし投降しても大丈夫では?」

と言ってしまった。組長と溝口さんはしばし考えそして組員に武器を捨て投降するように伝えた。俺は組長の部屋に隠れて警察をやり過ごすことになった。念のため拳銃と予備彈倉を受け取り隠れることにした。



鹿児組全員が投降し外に待機していたパトカーやバスに分かれて乗せられていた。後は組長だけとなり田口が口を開いた。

「これで全員ですか?」

「そうだ。俺が最後だ」

「鹿児組さんの今までの評判を聞いていますのでその言葉信じますよ。ふふっ」

とその時隣にいた上野が右手を上げ

「全員構え!」

と叫んだ。すると警官隊全員が拳銃を構え組長の部屋に照準を定める。

「な、何をする気だ!」

「一夜で片岡組を全滅させるような奴を生かしておけないでしょ」

とさも当然というように田口は答えた。



俺は隠れようとしたが嫌な予感がしたので隠れず外を伺っていた。すると警官隊が銃をこっちに向けて構えだした。慌てて部屋を出ると廊下にも武装した警官が2人。 装備していた日本刀を振るい廊下にいた2人の首をはねる。一瞬で辺り一面血飛沫で真っ赤になる。 すると外から拳銃の発砲音がしガラスが割れていく。俺は悪が繁栄し公正や正義が無くなるのが許せなかった。田口や上野に虐げられ殺された人たち、またその家族のことを思うと怒りで見境が無くなるほどだ。そしてこの状況。もう我慢出来なかった。自分の中で何かが切れた。廊下を走り目に入る人間を一太刀で切り伏せていった。1階に着き玄関から外を窺うと、警官隊が横一列になり拳銃を発砲していた。その後ろで田口と上野が薄ら笑いを浮かべながら見ていた。その顔を見ると同時に走り出し、30メートル程を一瞬で移動し一列になっている右から順に切り殺していった。最初は銃を持っている腕を狙って武力解除をと思っていたが、人が密集していて出来なかった。なので首や胴体を狙い殺すことに集中した。ある者は首をはねられ、ある者は胴体を斬られものの2、3秒で全滅し約50程のバラバラ死体が出来上がった。残りは田口と上野だけ。2人は唖然としただ突っ立っているだけになっていた。恐らくここまでの戦闘能力とは考えていなかったのだろう。しかしそんなことは俺には関係無い。この場でこの2人をバラバラにするだけだ。

「俺を殺すと麻薬の流れやその他諸々の事件が解決出来ないぞ」

「は?俺は事件の解決なんてどうでもいい。この場でおまえ達を殺すことが一番だ」

「チッ。これだからガキは嫌いだ。融通が利かな過ぎ」

一応斬りかかる前に少し離れている組長に目で合図する。殺していいか?と。すると組長は、首を横に振った。もう一度見ても同じだった。組長に対しても怒りを覚えながら田口と上野の2人を見ると、こちらに背を向けここから引き揚げようとしていた。そして

「あ、そうそう。いい忘れないうちに言っておくよ。早く家に帰った方がいいぞ」

その言葉を聞いてやはり今殺すべきだと思った。しかし組長は殺すなと言う。なので上野をバラバラにする。一瞬で移動しまず上野の腰辺りを横薙ぎにし上半身と下半身を分けてやる。そして上半身が地面に落ちるまでただひたすら切り刻む。ここまでで約1秒。斬られた上野はもちろんのこと田口も組長も何が起きたかわかっていない。しかし目の前には上野の下半身と上半身であったが今は見る影もないミンチ肉と化している物体を見れば嫌でも知ることになる。これは数秒前まで上野で生きていたことを。俺は呆然としている田口を組長に任せ自宅に帰るために走り出した。後ろから組長が警察署にいるから、と叫んでいた。組の屋敷から自宅まで走れば10分ほど。俺は全力で走っていた。

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