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第9話

人材派遣会社から出て来た男と目が合ってしまった。俺の足元には、首が変な方向に向いた男と気を失い倒れてる男がいる。敵だと判断される材料が揃っている。即敵と認識した男は胸元に手を入れ拳銃を取り出した。銃口を俺に向け引き金を引こうとする。しかしそれより前に銃を持っている右手を切り落とし、返しに首を切り落とす。入り口ドアや通路天井・床、店舗天井・床などそこら中に血飛沫が散ってしまった。すると店舗奥から

「ごらぁーっ!!!!!」

と大声が聞こえ続いて発砲音が聞こえた。

(くそっ!結局バレた。こうなったら強引に皆殺しだな。これからは何も気にせず楽しもう。暗殺は疲れたし面白くないし)

微かに5階から怒声と大勢の人の足音が聞こえだした。とりあえす3階だ。人材派遣会社内の男が銃を構えていたので一瞬で間合いを詰めて両手両足を切り落とす。悲鳴の後呻き声を上げながらのたうちまわる。出血が酷いので放置していても死ぬだろうが、とりあえず銃を奪い頭を撃ってとどめをさしてやる。店舗内は制圧完了なので、携帯を取り出し溝口さんに電話しつつ、拳銃を構えながら3階と4階の間の踊り場に向かい上を警戒する。

「バレちゃいました」

「知ってる。お前が撃ったのか?まぁいい。で、これからどうする気だ?」

「俺じゃないです。とりあえず人材派遣会社には人はいません。他の2部屋の捜索を鹿児組にお願いします。俺はこのまま5階まで上がって皆殺しにしてきます。」

「わかった。今から皆で3階人材派遣会社に移動する」


3階と4階の間の踊り場で銃を構え待っていると、5階から4階へ片岡組の数名が走って下りて来た。姿が見えたところで銃を撃ち動きを止めさせる。3人が倒れ傷口を押さえ後退する。4階から銃が撃ち込まれ出したので踊り場から数段階段を下り隠れる。そこで銃を仕舞い日本刀に持ち替えて深呼吸する。発砲音からすると10人もいないだろう。とりあえず4階へ上がって全員の首を撥ねることにする。

一瞬で4階に上がると皆一様に驚いた顔をしていたが近くにいる人間から首を撥ねていく。結局13人もいた。一面血溜まりで血の匂いが充満している。目と口を大きく開けている生首、まだ痙攣し血溜まりに小さな波紋を作っている死体など異様な光景が広がっていた。その中を5階へ上がっていく。途中溝口さんに連絡を入れ4階の捜索をお願いした。


5階には1つしか扉が無かった。中からは殺気が感じられたが、構わず扉を開けた。すると正面に片岡組の組長らしき50代のの男がおりその周りに10人が立っていた。

「お前が鹿児組の殺し屋か?」

と組長は尋ねてきたので、俺は

「鹿児組に世話になってる殺人狂だ」

と半分冗談で返してやった。

「フン、うちの組を潰してもその上の組に睨まれるだけだぞ。これからどうする気だ?」

「そうなったらまた皆殺しにするだけだ。そもそもそっちから仕掛けてきた戦争だろ?降伏するか皆殺しになるかどっちかだ!」

と言い俺は銃を構える。片岡組の10名全員が同時に銃を構える。組長だけが余裕があるように両手を広げて挑発してくる。少々イラッとする。と同時に日本刀を抜きつつ組長の眼前まで一瞬で移動してやった。そして、腰辺りを横一閃にする。すると組長は両手を広げたまま上半身と下半身がバラバラになる。しばらく本人は斬られたことに気付くことはなかった。しかし、上半身がドサリと床に落ちた時に気付いた。内蔵が床に散らばり生暖かい自分の血に浸っているのだからそのショックは相当なものだろう。言葉にならない悲鳴を上げていた。周りは唖然として固まっていたので10人全員その場で切り捨てた。組長には聞くことがあったとは思ったが、あの人を馬鹿にした仕草を見過ごすことは出来なかった。まだまだ子供だった。

すべてが完了した後溝口さんに連絡し5階に来てもらう。

「組長殺したのか?聞きたいことがあったんだが」

とイヤミを言われる。

「すいません。カッとなっちゃいまして…」

「まぁいい。4階に2人生きてたからそいつに聞くわ。後はやっとくから帰っていいぞ」

と言われた。階段を下りていると、2階で安生組若頭が待っていた。

「桜くん、おつかれさま。助かったよ。また改めて伺うよ。今日はゆっくり休んで」

と言ってくれた。何だか嬉しかった。



鹿児組の屋敷に戻りシャワーを浴びて帰宅する為車で向かっている途中、今日のことを考える。

あのビルの中には見るも無残な死体が山程出来ていた。当初は暗殺目的だったわけだが、途中からは殺しを楽しむ為に行動した。そうなってからは確かに集中力が増し動きにキレが出て来た気がする。自分には堂々と正面から殺しにかかるスタイルが合っていると感じた。一方、暗殺は行動に制限があり知識と技術がいる仕事で訓練が必要だということもわかった。正直神経を使う暗殺は合っていないと思った。そんな自分が将来暗殺を仕事にするとはこの時は思ってもみなかった。




鹿児組でシャワーを浴び帰宅する頃には、日付が変わってさらに時間が過ぎていた。帰宅すると光希ちゃんが迎えてくれた。溝口さんが充穂さんに連絡して、充穂さんが光希ちゃんに…というところだろう。何をしてきたかを大体知っている様子で無事を喜び顔を綻ばせていた。自分では死ぬはずがないと思っているが周りはそうではない。命のやり取りをしているので心配しているらしい。



今回は神経を使ったので疲れてはいたが中々眠れなかった。自然と今日の反省会を頭の中でして「あの時こうしてれば…」「この時にはこう動いていれば…」と考えていた。それを隣の光希ちゃんは気付いていたらしく

「眠れない?」

と尋ねてきた。

「あ、ごめん。邪魔した?なんか色々考えて眠れなくて…ね」

「ううん、いいの。けど大丈夫?人を殺すのって罪悪感ない?」

「これがまた全くないんだ。罪悪感どころか楽しかったりする。軽蔑する?」

「ん〜、軽蔑じゃないけどちょっと普通じゃないとは思うかな。でもそのお陰で私も助かったわけだし何も言えない」

「確かに普通じゃないだろうね。けどいいんだ。どうせ人はいつか死ぬんだし、したいことをすればいいんだよ。俺は悪人を殺して少しでも暴力を無くしたいから殺しているだけ。殺しは生きる目的なんだよ」

「ふーん……」


少し付いて来れなかったみたいだ。学校で、人間は進化したと教えられた。たまたまの偶然で人になってきたらしい。そうであるなら生きる目的や存在意義は自ら見つけなければならないことになる。それが自分には人殺しなだけで、金持ちになることや有名になることと一緒だと思っている。それが光希ちゃんには伝わらなかった。



次の日、学校が休みだったので朝から鹿児組の屋敷に向かった。

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