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問題がないことが、問題だ。そう言ってあなたは、私を殺そうとした

作者: 風谷 華
掲載日:2026/06/15

『人間、あるいは国家という器について』

――ローレンツ審問官の手記より抜粋


衣服に付いた一粒の麦の粉、あるいは春先に舞う名もなき野の草。

それらは本来、肉体を損なう毒ではない。

しかし、稀にそれらに触れただけで、喉を腫らし、血を吐き、自らの呼吸で窒息して死に至る者がいる。


医師らはこれを肉体の不条理と呼ぶが、私はそうは思わない。


人の肉体内には、神が与え給うた目に見えぬ兵の軍勢(免疫)が潜んでいる。

彼らは外から入る病魔という敵を監視し、これを打ち滅ぼすために存在する。

だが、これは心も同じこと。


人の心には、他者からの騙し討ちや裏切りに備える()()、という名の兵が潜んでいる。

もしも、この世界からすべての悪意が消え去り、戦うべき敵が完全に失われたとしたら、その兵たちはどうなるか。


秩序が完璧に満たされた時、システムは自己崩壊を始める。

すなわち、()()()()()()()それ自体が、最大の()()なのだ。







その村の記録には、死の文字がなかった。


十世紀、アルプスを臨む深い渓谷の底に隠された寒村、ヴァルタ。


異端審問官ローレンツは、聖堂の埃っぽい書庫で、過去数年分の教区記録をめくっていた。付き従う若い修道士ハンスが掲げる松明の炎が、羊皮紙の上に不気味な影を揺らしている。


「……やはり、おかしい」

ローレンツは指先で文字をなぞった。


中世の村において、冬は死の季節だ。

老人は凍え、赤子は流行り病や麦角中毒で容易に命を落とす。

飢饉が起きれば人口の三分の一が消し飛ぶことも珍しくない。

それが神の定めた世界の理であり、人間という脆い器の限界だった。


しかし、このヴァルタ村の記録は、三年前を境に奇妙な空白を迎えていた。


「死亡記録が、一人の名前も刻んでいない。それだけではない。傷害、窃盗、姦淫、あるいは隣人同士の罵り合いによる罰金の記録さえ、この三年間、完全に途絶えている。……ハンス、お前はどう思う」


「それは……主の祝福によるものではないでしょうか」

ハンスは素朴に、十字を切った。


「この村には、聖女と呼ばれる薬草医アグネスがおります。彼女がもたらす神の調合茶と祈りが、村からすべての病と、人々の心の歪みを取り去ったと、領主様の耳にも届いております。だからこそ、我々は奇跡の正しさを証明するために派遣されたのでは?」


「私は奇跡を信じない。奇跡には常に、代償という名の血の匂いが伴うものだ」

ローレンツは本を閉じ、冷酷な眼差しを暗闇に向けた。


あまりにも何も問題がなさすぎる時、そこには神の秩序とは異なる、別の巨大な力が働いている。

ローレンツの背筋には、長年の審問官としての直感が、冷たい警告を鳴らし続けていた。



翌朝、ローレンツは村の調査に乗り出した。


宿を出た瞬間から、彼は奇妙な浮遊感に包まれた。

村は、驚くほど美しかった。


泥にまみれた豚や排泄物の臭い、中世の村を覆うはずのえた生活臭が、ここにはない。風はどこか甘く、澄んでいた。


すれ違う村人たちは、誰もがローレンツの衣服にある異端審問の十字紋章を見ても、怯える様子さえなかった。


「おはようございます、審問官様。はるばる遠方から、ようこそおいでくださいました」

「主の恵みが、あなたの一日にありますように」


百姓も、洗濯をする寡婦も、誰もが聖画に描かれる聖人のような、満面の笑みを浮かべて頭を下げる。


ローレンツは、彼らにいくつかの質問を投げかけた。

去年の冬の蓄えは足りていたのか。

隣の領地との水利権の争いはどうなったのか。


「ええ、すべて円満に解決いたしました。誰も怒る者などおりません」

「誰もが他人のために分け合います。この村には、いかなる不満も、憎しみも存在しないのです」


誰もが同じ答えを、同じトーンで、同じ笑みを浮かべて口にする。


だが、ローレンツが彼らの顔を間近で観察したとき、最初の違和感が彼の胸に染み込んだ。

彼らは、笑っていた。

しかし、その瞳は笑っていなかった。


百姓の男の額には、びっしょりと脂汗がにじみ、目元が小刻みに痙攣している。

まるで、張り付いた仮面を内側から必死に支えているかのようだった。


さらに不気味なのは、彼らの距離感だった。

村人たちは互いに声を掛け合うとき、決して相手の目を真っ直ぐに見ようとせず、不自然に視線を泳がせていた。


「ハンス。あの洗濯をしている老婆たちを見てみろ」

ローレンツは声を潜めた。


井戸の傍で、二人の老婆が互いに布を譲り合っていた。


「どうぞ、お先に使いになって」

「いいえ、あなたこそ。お腰がお辛いでしょう、私などは後で構いませんわ」


一見、美しい譲り合いの光景。

しかし、ローレンツの耳は、彼女たちの呼吸が異様なほど荒くなっているのを捉えた。


「どうぞ」と言われた老婆の顔が、一瞬、恐怖に歪んだ。

彼女の指先は、洗濯板の縁を白くなるほど強く握りしめている。


「……なぜ、怯えている?」


ローレンツは呟いた。


彼らは怒っていない。

悪意もない。

しかし、彼らはお互いを恐れいるようだった。




村人たちを観察すればするほど、村人たちの幸福な様子は多く見られた。

しかし、ローレンツが目を凝らせば凝らすほど、その幸福の裏側の粘ついた狂気が、続々と伝わってきた。


昼下がり、美しい麦畑の傍らで、一つの家族が食卓を囲んでいた。

父親と母親、そして十歳くらいの美しい娘。


彼らはアグネスのお茶を飲みながら、和やかな会話を交わしている。

「お母さん、今日のスープは本当に美味しいわ。世界で一番、お母さんを愛しているわ」

娘が天使のような笑みでスープを口に運ぶ。


母親は「まあ、嬉しいわ」と微笑み返した。


だが、ローレンツは見た。

母親がスープの器を握る両手は、小刻みに、しかし激しく震え、木製の器に爪が食い込んでいた。


母親の脳内では、狂気じみた警戒の兵(心の免疫)が猛威を振るっていた。

(愛している? この子はなぜ、今そんなことを言ったの? 昨日のスープは不味かったという当てつけかしら。それとも、私の機嫌を取って、何か恐ろしい隠し事をしているの? ああ、この子の純粋な目。なんて恐ろしい目。この澄んだ瞳の裏で、私を大好きだと言いながら、内心では私の老いを、私の愚かさを笑いものにしているに違いないわ……!)


母親は満面の笑みを崩さないまま、テーブルの下で自分の太ももを、爪が肉を突き破り血がにじむほど強く、強くかきむしっていた。

自分の中に湧き上がる娘を疑うという悪意を、自虐によって排出しようとしていた。



「お父さん、午後からの薪割り、僕も手伝うよ」

今度は、兄が父親に微笑みかけた。


父親の顔が、一瞬だけ硬直する。額から滝のような汗が流れ落ちた。


(手伝う? なぜだ。俺の体力が衰え、薪を割る速度が落ちたから、俺を憐れんで言っているのか。それとも、早く俺に死んでほしくて、家長の座を奪うための下準備か。こんなに親切な息子が、俺の肉親であるはずがない。この親切の裏には、俺を社会的に抹殺しようとする、おぞましい悪意の罠が仕掛けられているんだ……!)


「ありがとう、お前は本当に自慢の息子だ」

父親は優しく息子の肩を抱いた。


しかし、その握力は異常だった。息子の肩の骨がミシミシと軋み、息子の笑顔が痛みのあまり引き攣る。

それでも息子は「お父さん、大好きだよ」と言い続けた。


彼らは、愛し合う家族だった。

悪意など、彼らの間には一滴も存在しなかった。

それなのに、彼らは相手が完璧に善良であることが恐怖でたまらなかった。


外から入ってくる本物の悪意(暴言や犯罪)という毒がないため、彼らの心の防衛システムは、家族の何気ない、ただの純粋な親切を猛毒と誤認し、それを拒絶するために、脳内で無限の陰謀劇を紡ぎ出していた。



広場へ向かうと、そこではさらにグロテスクな幸福の展示会が行われていた。



若い男女が、お互いに愛を誓い合っていた。


「君のすべてを愛している。君のためなら死ねるよ」

「私もよ。あなたのそのお優しい心が、私のすべてだわ」

二人は抱きしめ合っていた。抱擁は、五分、十分と続いた。

異常なのは、二人の顔が、お互いの肩越しに見えるその表情だった。


男は、目を見開いたまま、無表情で涙を流していた。

(この女は、俺のすべてを愛していると言った。もし、俺が明日、少しでも不細工になったら、少しでも優しくなくなったら、俺を悪人として捨てる気だ!)


女は、男の背中に回した両手の爪を、男の衣服を破って背中の肉に深く突き立てていた。

男は痛みを感じているはずなのに、優しく女の髪を撫で続けている。


(この人は、私のために死ねると言った。それは裏を返せば、私を男を死なせる悪女、に仕立て上げたいのね。なんて陰険な男。なんておぞましい。この人の優しさを信じてしまったら、私は笑い物にされてしまうわ……!)


二人は、お互いの肉体を強く、骨が折れるほど抱きしめ合いながら、心の中では、お互いを世界で最も残虐な暗殺者であるかのように疑い、呪い、その妄想の恐怖で精神をズタズタに引き裂いていた。


村のあちこちで、人々は手を繋ぎ、微笑み合いながら、狂っていった。


ある者は、友人の「体調はどうだい?」という言葉に、自分が病気になればいいという呪詛を読み取った。

耳を塞いで叫びながら自分の頭を石壁に叩きつけた。


ある者は、隣人の「綺麗な薔薇ですね」という褒め言葉を、自分の庭を盗み見るための口実だと疑った。

その結果、自らの目を指で抉り取ろうとした。




違和感は、その日の夜に確信へと変わった。


ローレンツとハンスが村の聖堂の裏手を歩いていると、暗がりの物陰から、押し殺したような、しかし激しい囁き声が聞こえてきた。


「……お願いだから、私に微笑みかけないで頂戴!」

声の主は、昼間に洗濯をしていた老婆だった。


彼女は、昼間の相方の女性の前に跪き、涙を流して懇願していた。

「あなたがそんなに優しく、私のためにパンを焼いてくれるなんて、恐ろしすぎるわ。その純粋な善意の裏に、私が気づいていない『私への凄まじい侮蔑』が隠されているに違いないのよ。そうでなければ、あんなに完璧な態度を取れるはずがない!」


「何を仰るのです!」

言われた女性もまた、満面の笑みを浮かべたまま、ガタガタと全身を震わせて叫び返した。


「私はただ、あなたを愛しているだけです! なのに、なぜそんなに私を疑うのですか? あなたが私を疑うということは、あなたの心の中に、私を悪人に仕立て上げようとする、おぞましい悪意が潜んでいる証拠です! ああ、神様、あなたのその疑う目が、私を内側から切り刻もうとしている……!」


二人は、お互いに掴み合うことさえしなかった。

ただ、一歩も近づかないまま、美しい言葉遣いと穏やかな笑顔のままで、狂ったように互いの存在を恐れ、精神をすり減らしていた。


老婆はついに、自分の髪をむしり始めた。

「私の心が汚れているんだわ! あの人の親切を裏がある、と疑ってしまう、私の警戒心が、いけないんだわ!」


ローレンツは、その光景を見て、自らの脳内で何かが繋がる音を聞いた。

かつて彼が手記に記した、あの肉体の不条理の正体。


「アレルギーだ……」


「え? 審問官様、今、何と?」

ハンスが怯えて聞き返す。


「人間の心には、外の悪意と戦うための兵士たち(警戒心)が宿っている。外に本物の敵がいる限り、兵たちは正しく機能する。だが、アグネスという女が、この村からすべての外敵を消し去ってしまった。……その結果、何が起きた?」


ローレンツの顔が、恐怖で青ざめていく。

「戦うべき敵を失った村人たちの警戒心は、標的を失った。そして彼らの心の兵士たちは、次は何を敵とみなした? ……隣人のただの親切だ。些細な目配せ、些細な言葉の綾を、おぞましい異物(悪意)だと誤認し、自己防衛のために被害妄想を大暴走させている。かつて大帝国ローマが、周囲の蛮族をすべて征服し終えた後に、敵を失った軍隊が自国の中で血みどろの内戦を始めたようにな!」


この村は、優しさによって内側から自食し合っている。

問題がないことそれ自体が、人間の精神を狂わせる、最大の問題だったのだ。




ローレンツは、すぐさまアグネスを拘束し、聖堂の地下牢へと連行した。


鉄格子の向こうで、アグネスはやはり、聖母のような清らかな微笑みを浮かべて座っていた。

「アグネス・バーウア。お前が何をしたか、ようやく理解した」


ローレンツは、鉄格子を強く掴んだ。

彼の自らの胸の奥にも、村に満ちる無菌の空気のせいで、ハンスに対する異常な猜疑心が芽生え始めていた。


(ハンス、お前はなぜそんなに神妙な顔で俺を見ている? 俺の異変に気づいて、俺を異端として告発する準備をしているのか? お前のその従順な態度は、俺を油断させるための罠だな……!)


ローレンツの脳内で、心の兵士が暴れ狂っている。彼は自分のこめかみを強く叩き、狂気を抑え込んだ。

「お前は、村の人間から悪を奪った。だが、悪を失った人間は、聖人になるのではない。自分の中で無限に敵を作り出す、狂人になるのだ。お前が作ったのは楽園ではない!」


アグネスは、悲しそうに目を伏せた。

「どうして……。私はただ、みんなの心から憎しみや怒りを取り除き、誰も傷つかない世界にしたかっただけなのに。問題のない世界が、どうして罪になるのですか?」


「問題ないことが、問題なのだ!」

ローレンツは怒号を上げた。


「人間は、不完全だからこそ人間なのだ! 悪意という外敵があるからこそ、我々はそれを乗り越えようと団結し、理性を保つことができる。お前は世界の法を腐らせた。お前をこのままにしておけば、この無菌の狂気は世界へ広がり、人類は自らの被害妄想で全滅するだろう!」


ローレンツは懐から、一本の銀の短剣を取り出した。

「私は、お前を殺さねばならない。この世界の歪みを正すために」


「……いいえ、審問官様。もう遅いのです」

アグネスが静かに微笑んだ。



その瞬間、聖堂の地上の扉が、荒々しく蹴破られる音が地下まで響いてきた。



それは、アルプスの山を越えてやってきた、隣領の残虐な野盗の群れだった。

彼らは過酷な略奪の戦場を生き抜いてきた、本物の、ドス黒い悪意を持った侵入者だった。


「おい!お前ら! 金目のものはすべて出せ! 抵抗する奴は殺すぞ!」


地上の広場から、生々しい暴力の怒号が響く。


本来なら、村人たちは恐怖し、あるいは怒り、武器を取って防衛活動を行う局面だった。

しかし、ヴァルタの村人たちは、動かなかった。

いや、動けなかった。


彼らの心は、長年無菌室にいたため、剥き出しの殺意という外敵を前にして、どう反応すべきか完全にフリーズしてしまったのだ。


「……え?」

村の男の一人が、目の前で抜刀した野盗を見つめた。


彼の脳内では、体内の心の兵士たちが、いまだに隣人のあの笑顔の裏の意図を探る内戦に全エネルギーを費やしていた。

目の前の男が振り下ろす剣が、自分を害する敵であるという単純な事実を、認識する機能がバグっていた。


「この方は……何を仰っているのか? 私を殺す? それは、私に対する新しい種類の、高度な親愛の表現かしら……? それとも、私が何か悪いことをしてしまったから、私を懲らしめるために……?」


グサリ、と肉を切る嫌な音が響いた。


男の胸から鮮血が吹き出す。

しかし、男は野盗に怒りを燃やすことも、反撃することもしなかった。


ただ、笑顔のまま泥の中に倒れ込み、呟いた。

「ああ、痛い……。でも、この方が私を刺したのは、きっと私の心が汚れているからだわ。私の中の悪意が、このお優しい方を怒らせてしまったんだわ……!」


「ヒッ……な、なんだこの気味の悪い奴らは!?」


野盗たちは村人たちの異常な反応に一瞬怯えたが、やることは変わらなかった。

彼らは、一切の抵抗をしてこないヴァルタの村人たちを、ただの肉を切り刻むように、次々と斬りつけ、火を放ち、蹂躙していった。


村人たちは、最後まで誰一人として、野盗に向かって武器を振るうことができなかった。

彼らは本物の敵を敵と認識できず、ただ自分が悪いのだ、隣人のあの目線が悪いのだと、互いを疑い、自分を責め、内側から狂って、一方的に殺されていった。


外から来た凶暴なウイルスに、抵抗の術なく分解されていく、脆弱な細胞のように。




地下牢の階段を、血塗れの足音が降りてくる。

野盗たちがここまで迫っていた。


ローレンツは、自らの胸に銀の短剣を突き立てていた。

いや、突き立てさせられたのだ。


アグネスを殺そうとした彼の殺意は、彼自身の暴走した心の兵士によって最大の異物とみなされ、自らを処罰するために自らの肉体を動かしたのだ。


「がはっ……」

血を吐き、崩れ落ちるローレンツの傍らに、アグネスがゆっくりと歩み寄った。

彼女を遮る鉄格子は、いつの間にか音もなく開いていた。


「問題ないことが、問題だ。そう言ってあなたは私を殺そうとした」


アグネスは、瀕死のローレンツの耳元で、愛おしそうに囁いた。

「でも、審問官様。あのお外の人たちも、すぐに静かになります。私の作ったお茶の香りが、もう風に乗って、彼らの鼻腔へ届いていますから。彼らもすぐに、怒ることも、戦うこともできない、私たちの仲間になります」


ローレンツの視界が、ゆっくりと白濁していく。



階段を下りてきた野盗の首領が、剣を構えたまま、突如としてその場に立ち尽くした。

彼の凶悪な目から殺意が急速に抜け落ち、代わりに、隣に立つ部下をじっと見つめ始めた。

「俺は何をしていたんだ……。そしてお前は、何をしようとしている?」


悪意を失った略奪者たちが、自滅を始める足音が響く。


「さあ、お外へ行きましょう。ローレンツ様、ハンス様」


アグネスは優しく、操り人形のようになったハンスに視線で命じた。

ハンスの張り付いた笑顔の、そのぬるりとした指先が、光を失っていくローレンツの目を優しく、ゆっくり閉じさせた。

ローレンツの世界は、冷たい暗闇に染まっていった。

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