再会
ハーシェルからカルダーノへはおよそ10日かかる
急げば少しは短縮できるだろうが、いずれにせよ、俺がカルダーノに着くのとハルヤの救出はほぼ同時ということになるだろう
最悪なのは袋に入れてある手榴弾が消えることだ
それはすなわちナツミの死を意味する
現状、それ以外にハーシェルの状況を知る方法がないが、それは起こってはいけないことだ
不安を抱えながらも、俺はカルダーノへと急ぎ、ようやく街の姿が見えてきた
街に着くと、俺は極力人と会わないように街中を通らず街の周囲を迂回し、俺が最初にランデスティに呼び出された場所へと向かった
ヴェスパーレを探すよりもサラと合流するほうが先決だ
そしてサラがいる可能性が高い場所の一つがそこだった
その場所は小高い丘だった
俺は長い刀を背に、街を見下ろした
そんな俺に物影から恐る恐る近づいてきた人物がいる
「まさか・・・・、セイなの?」
そう俺に語り掛けてきた人物
黒髪ロングで和服が似合いそうな、そんな女性
サラだった
サラが驚いているのも無理はない
サラは俺がランデスティにいることは知らなかったんだ
「ああ、俺もこの世界に来てしまったよ」
俺は安心したからか、少し冗談めいた口調になってしまう
「その刀はまさか・・・・」
サラは俺の背負っている刀を見て驚いている
「そう。お前の神器だ。俺が取り返しておいた」
それを聞くと、サラは大粒の涙を流した
その涙にはきっといろんな意味が含まれているに違いない
サラが落ち着くと、俺は事情を説明した
俺がここに来るまでにこの世界で体験したこと、そして今現在起こっていること
それを聞くとサラは刀を受け取り、ヒルデと交信をした
ハーシェルの状況を確認するためだ
そしてヒルデからもたらされた情報は、まずは朗報と言ってよかった
数日前からナツミは誰にも気づかれないように、弓を抱えたまま少しずつ処刑が行われる広場に近づいた
そして広場を見通せる建物の中に身を隠した
人が寄り付くことがほとんどない倉庫のような建物だった
そして処刑当日、領主のヴェルニが椅子に座った瞬間を狙ってナツミは矢を放った
その一撃はほぼ致命傷だったという
しかし、ヴェルニは諦めなかった
怒りからか姿を変貌させ、周囲にいた人物を見境なく襲った
その狂気が、縛られているハルヤに届こうかという時、フユキの槍がヴェルニを貫いた
ヴェルニはその場に倒れた
周囲にいた兵達はヴェルニの正体を知り、ハルヤを解放した
いや、むしろ兵達はヴェルニから解放されたことを喜んでいたという
3人はそのまま領主の屋敷に招かれ、今後のことが話し合われた
ハーシェルには新しい領主が誕生し、それを見届けるとハルヤ達は休息ののち屋敷を去ろうとした
そのまま俺達からの連絡を待ちつつ、カルダーノへ向かうはずだった
しかし、朗報はここまでだった
状況は一変した
フィッツロイでの異変が3人の耳に入ったのだ
フィッツロイは現在、無差別に住人が殺されている
しかもそれを行っている人物は一人や二人じゃない
あちこちで一斉に無差別テロのような形で殺人が行われている
領主も襲われ、無政府状態のようになっていた
その情報をもたらしたのが、残る最後の転生者である神城ケイイチだった
ケイイチは黒い影の出現ポイントがフィッツロイの近くであることまでは突きとめた
それと同時に、フィッツロイで無法を働く者たちを倒していった
その多くは憑依者であったが、中には普通の人間もいたとのことだ
しかし、憑依者の数は一向に減る気配がない
もう少しで黒い影の出現ポイントが特定できる中、新たに誕生する憑依者の相手をしなければならず、手が追い付かなくなっている
女神がケイイチに黒い影の出現ポイントを特定するよう依頼したのは、それがわかれば天界のどこかに潜んでいる邪神リシャドルの居場所がある程度絞れるためだということだ
俺はハルヤ達3人にケイイチと合流するように提案した
現状、カルダーノにいる憑依者はヴェスパーレのみだと思われる
ならば、3人はフィッツロイの件を優先すべきだ
ヴェスパーレは俺とサラで倒す
弓はもう少しナツミが預かっていてくれ
ヴェスパーレを倒した後、俺達もフィッツロイへ向かう
俺のその言葉を聞き、ハルヤ達はフィッツロイへ向かう決断をした




