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同時に起こった二つの問題

それはハルヤが捕えられた次の日の出来事だった

女神ヒルデとの交信によって新たな事実が判明した


そのきっかけは一人の転生者だった

それはこの世界に新たに転生した人物

その人物の名は大日方(おびなた)カイリ

新たに憑依者と戦う仲間だ


しかし、ヒルデからの報告はもっと別のことに重点を置いていた

それは俺が想像もしていなかったこと

サラがカイリに接触したのだ


「サラが見つかったのか?」


俺は思わずヒルデに尋ねた


「ええ、サラさんはどうやら新しい転生者が出現することに賭けていたみたい」


それを聞いて、俺は自分の考えの迂闊さに気付いた

サラは始まりの街カルダーノにいた

確かに、なんの手がかりもない中で他の転生者を探すのであれば、最も効果的な方法は新たな転生者の出現に期待することかもしれない

それ以外に自力で見つける手段は無いのだから


しかし、今はサラのことよりも優先すべきことが起こった

まずはハルヤの計画を完遂させ、それからサラと合流する

その順番はどう考えても揺るがない

そう思っていた


なのに事態は俺の計算を吹き飛ばしていった


カイリが転生して間もなく憑依者と接触したのだ

本来、憑依者にとって、カイリは一般の民衆と見分けは付かないはずだ

だったらなぜ相手は転生者を見分けたのか


その憑依者が見つけたのはカイリではなかった

サラだ

その憑依者はサラを知っていた

そんな奴は一人しかいない

ヴェスパーレだ


ヴェスパーレがサラを見つけた

しかし今のサラは丸腰に等しい

襲い掛かるヴェスパーレに対し、カイリが応戦した


そして、女神ヒルデの報告で、その後のこともわかった

カイリは敗北したのだ・・・・

もっと直接的に言えば、カイリは死んだ

ヒルデはそう告げた


サラはその間に再び逃げ延びることができた


結果、現状はこうなる

今現在、カルダーノにはヴェスパーレとサラがいる

サラはどこかに身を潜めている

それを探すヴェスパーレ


もはや一刻も早くサラを助けにいかなくてはいけない

しかし、十日後のハルヤの処刑を放置するわけにもいかない


いや、ここはやはり狙撃計画を優先すべきだ

そちらは100%確実なハルヤの死が待っている

サラはもしかしたら逃げ延び続けてくれるかもしれない


理性的に考えれば、そうなるはずだ

しかし、俺は・・・・・


時間が遅く流れる感覚がある

動きたくても動けない

ただその日が来るまで待つだけしか出来ない状況

動きたい自分を抑え込み続ける時間


そんな俺を見かねてか、ナツミが俺に話し掛けてきた


「サラさんの元へ行ってください」


だが、そんなものに応じるわけにはいかない


「そんなことをすればハルヤは確実に死ぬんだぞ。お前達二人で助けることができるのか?」


「確かにそれは難しいでしょう」


ナツミは肯定するが、続けた


「しかし、それはヴェルニを狙撃する手段が無くなった場合での話です」


俺は一瞬理解できなかった

俺はナツミに問いかける


「俺がいなくなれば狙撃も不可能になるんじゃないのか?」


ナツミは首を振った


「いえ、セイさんがいなくなっても狙撃する方法があります」


それは・・・・


「この場に必要なのはセイさんの弓です。セイさんじゃない」


まさか・・・・


「私にその弓を預けてください。セイさんは背中にあるサラさんの刀で戦うんです」


全く考えに無かった方法

確かにそれなら、俺がいなくとも狙撃を完遂することができるかもしれない

そして、俺はサラの救出に向かうことができる


逆に、俺がこの場に残ってフユキとナツミにサラの救出を任せるという方法も思いついたが、現実的ではない

二人はサラを知らない

サラも二人を知らない

接触は難しい


そして、二人はヴェスパーレも知らない

俺なら奴を見分けられるし、すぐに戦闘に入ることができるが、俺とサラ以外はヴェスパーレの外見を知らないから、探そうにもただ無為に時間を潰すだけになる可能性がある

その間にヴェスパーレの目的が達成されてしまうかもしれない

だから、サラの救出に向かえるのは俺だけになる


しかし、俺には一抹の不安が残る

つまり、俺は自分の神器を失ったままヴェスパーレと対峙して勝てるのか


「これを持って行ってください」


ナツミはそう言って手榴弾を差し出す


「これは私の神器です。言ってしまえば弓と交換ですね」


そう言った後、ナツミは続けた


「私はその手榴弾を同時に複数出現させることはできません。つまり、あなたに預けるということは、それが使われるまでは私は新たな手榴弾を作り出すことはできません」


ナツミは続ける


「つまり、私は消せない大きな弓だけを持って行動することになります。作戦は今よりは困難なものになるでしょう」


「・・・・・」


「しかし、二つの問題を同時に解決するにはこれしかないと考えます」


俺はしばらく考えたが、脳裏には丸腰のまま逃げているサラの姿が浮かぶ


「わかった。その作戦で行こう」


ただ、この作戦にはもう一つ欠点があった

つまり俺とナツミは女神ヒルデと交信が出来なくなるという点だ

他人の神器で女神と交信することはできない

だから、この刀をサラに渡すまでは俺はこちらの状況を知ることはできない


しかし、どちらにせよサラを救出するまでは俺はカルダーノに向かうしかないのだから同じかもしれない

俺はナツミから手榴弾を受け取ると、カルダーノに向かった

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